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【契約社員と派遣社員】違いを知ってより良い条件での就業を目指そう

契約社員と派遣社員――。何が違うのか、今ひとつ分からない人は多いでしょう。単純に労働基準法における『労働者』として考えた場合、確かに大きな違いはないのかもしれません。

しかし、現実面での違いをあなどってはいけないのです。どちらが良い悪いではありません。違いを知ることで、より良い条件での就業を目指すことが大切なのです。

契約社員とはどういう働き方なのか?

就業先(勤める会社のこと)に直接採用されて、有期雇用契約を結ぶのが契約社員です。給料を支払うのも、社会保険などに加入するのも、すべて就業先の会社からとなります。その他には・・・

給与体系 → 時給、月給、年俸など会社によって違いがあるが、月給制が比較的多い。

交通費 → 支給されるケースが多い。

賞与(ボーナス) → 支払われる・支払われないは会社によってそれぞれ。

有給休暇 → 労働基準法第39条で定められた通りに適用。

派遣社員とはどういう働き方なのか?

登録した派遣会社に雇用されて、就業先の会社へ派遣されて働きます。給料を支払うのも、社会保険などに加入するのも、すべて派遣会社からですが、仕事の指揮命令は就業先の会社が行います。その他には・・・

給与体系 → ほとんどの場合が時給制。

交通費 → 時給に含まれていることが多く、別途では支給されないケースが多い。

賞与(ボーナス) → 稀に支給されることもあるが、まず無いと考えた方がよい。

有給休暇 → 労働基準法第39条で定められた通りに適用。

契約社員と派遣社員、どちらが得なのか?

上記の雇用形態だけを見ても、よく分かりませんね。実際にどちらが得なのかは、個別のケースによってまちまちで、断言することはできません。

例えば、契約社員としてボーナスや交通費の支給があるのなら、派遣社員よりも得だと思いませんか?ところが実際のところはそうとも言い切れません。

派遣社員の時給は、比較的高額に設定されていることが多いもの。そのためトータルで考えた場合、さほど変わらないか、もしくは派遣社員の方が手取りが多いことだってざらにあるのです。

残業をした場合はどちらが得なのか?

契約社員も派遣社員も、法定労働時間によって残業代が支給されなければいけません。ところが、契約社員は残業代が出ないと思い込んでいる人が多いのはなぜなのでしょうか?

まずは、固定残業代として毎月一定額が月給とともに支給されているようなケース。契約書にはその旨の記載があるのに「残業代をもらってない!」と思い込んでいませんか?問題なのは、常態的にサービス残業をしているケースです。

職場の常識として、残業代のことなどとてもではないが言い出せない・・・。そんな風にあきらめて働いている人もいるのではないでしょうか。これははっきり言って違法です。

派遣社員の場合は、そもそもがサービス残業になりにくい管理がされていることに注目すべきでしょう。それは、その日ごとに就業時刻をタイムシートに記入するケースが多いという点です。

時給制という時間管理のため、毎日退社時に派遣先上司に就業時間についてサイン(印鑑)をもらうことになります。つまり、おのずと残業すれば、その時間がはっきりしてしまうわけですね。

正社員につきあわせてダラダラ残業をさせてしまうと、派遣社員には25%増しの時給がちゃんとつくことになります。つまり無駄に残業させればそれだけ人件費がかさむことに。そのため、本当に必要な分しか残業をさせなくなるのです。

それなら派遣社員の方が契約社員よりも好条件なのか?

そんな単純な話ではありません。多くの場合、労働者の手取りが同額だとしたら、企業側から見るとコストがよりかかるのは派遣社員の方です。

そのため、人件費削減で派遣社員と契約社員のどちらかを削るとしたら、まず間違いなく派遣社員の仕事が終了となるでしょう。また、正社員への登用についても、自社で雇用している契約社員の方が、話をスムーズにまとめやすくなります。

もちろん、派遣社員が正社員登用されないわけではありません。しかし、もし紹介予定派遣などを利用するとしたら、企業は派遣会社に紹介料を支払うことになるため、コストは高くつくのです。

派遣社員として働いている企業から「直接雇用の契約社員にならないか?」と打診されたとします。私の能力を高く評価してくれている!と、よく考えずに浮かれて決めてはいけません。

単にコスト削減をしたいがため、という可能性もあるでしょう。ですから、契約内容をしっかりと精査して、契約形態を変更することが自分にとって不利につながらないか、しっかり確認しなければいけません。