• RSS

あえてのタスク化!相手に確実に作業をしてもらうための方法

要員に作業を依頼するにあたり、余計なタスクはなるべく少ないほうがいいと考えがちです。

しかし場合によっては、要因に確実に作業をしてもらうために、依頼内容をタスクに引き上げて作業量を増やすことで、確実性を増すという手法が有効です。一見逆説的なその手法を紹介します。

作業負担を軽減したはずが…… やってしまいがちな失敗例

<月曜日の朝>

リーダー「○○の件について、来週お客様に提出する資料の記載内容に間違いがないか、各自担当機能の部分を今週中に確認しておいてください」

メンバー「わかりました」(確認だけならすぐ終わるかな。他の作業もあるし、ギリギリでチェックすればいいか)

<翌週のある日>

リーダー「月曜日にお客様に○○の資料を提出したところ、△△の機能に関して『B案でやりたい』とのコメントをいただきました。確か△△の機能についてはA案でやることに決まったと報告を受けていたと思うのですが、△△担当の川原さん、説明していただけますか」

担当川原「はい、△△機能につきましてはリーダーにもご報告した通り、前回のお客様との調整会議でA案を採用することで合意しております」

リーダー「そうですよね。……しかし、こちらの提出資料では『△△機能:A案とB案の2案を並行して検討中、次回の調整会議で決定する』と書かれています。お客様はこれを見て、『次回B案に決定したい』と仰っているのですが……資料に間違いがないかは確認していただいたんですよね?」

担当川原(しまった、調整会議の後資料を更新するのを忘れていたんだ! チェックはしたけど、ちらっと眺めただけだし見落としてしまったか……)「申し訳ありません、チェックから漏れていたようです」

リーダー「私も内容を確認しなかったから、川原さんだけの責任ではありませんが……A案で進めていた作業は手戻りになってしまいそうですね」

担当川原「はい……申し訳ありません」

何がまずかったのでしょうか

リーダーは、忙しいメンバーのことを思いやって、「一週間」という長い期日で「記載内容のチェック」だけをお願いしました。しかし、メンバーは長い期間で簡単と思われる作業を依頼されたという軽い意識で向き合ってしまいました。そのため、ほとんどのメンバーが、期日直前に資料を一瞥する程度の作業にとどまってしまったのです。

今回問題が起きたのは△△機能の川原さんでしたが、他のメンバーの所でも同じ問題が起きたかもしれません。また、誰がチェックを完了したのか、直接担当に確認する以外にリーダーが知る方法もありません。これでは、問題が起きてしまうのも当然かもしれません。

タスク化してみよう

では、「チェックする」という簡単な作業を、もう少し大きなタスクに変えて作業依頼をしてみましょう。

<月曜日の朝>

リーダー「○○の件について、来週お客様に提出する資料の記載内容に間違いがないか、確認してもらいたいのです。資料に『調整会議』という欄を機能ごとに追加したので、『いつの調整会議で誰と合意したのか』ということを今週中に記入してください」

メンバー「わかりました」(いつ、誰と、か……議事録を確認しないといけないから少し面倒だけど、30分もあればチェックできるかな)

<木曜日の朝>

リーダー「川原さん、今週月曜日の朝にお願いした○○のチェックの件で、あなたの担当している△△機能の所はまだ空欄のようですが、なにか問題がありますか?」

担当川原「すみません、他の作業の進捗が遅れていたのでまだ記入できていないんです」

リーダー「期日は明日ですが、それまでに対処できそうですか? 月曜の朝イチでお客様にお渡ししたいのですが」

担当川原「はい、他の作業の期限が今日中なので、明日朝イチで確認いたします」

リーダー「解りました。それなら、明日必ずお願いしますね」

<金曜日の朝>

担当川原(あっ、資料に前回の調整内容が反映されていない! 危なかった……)

いかがでしたでしょうか。担当に大きな作業を振り分けて負担増になってしまっては本末転倒ですが、「資料に日付を記入する」「セルの背景色を買える」程度のあまり負担の大きくない作業であれば、それを追加し目に見える形でタスク化することで、進捗状況が明らかで、各担当も「自分の持ち作業」という意識が高まります。確実に作業をしてもらうため、この例のようにあえてタスク化をして担当に割り振ってみるというのはいかがでしょうか。