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泣いてわめいて大騒ぎ!コーディネーターが唖然とした登録者とは?

人材派遣の登録には日々いろいろな人がやってきます。共通するのは仕事を探している、ということでしょうか。もちろん、その本気度にも個人差はあります。どういう経歴を持ち、どのような人柄で、どのような働き方を希望しているのか。そのような細かな部分をコーディネーターは面談の中で探っていくことになるわけですが……。

謎多き19歳の女性?

派遣登録にやってきた19歳の女性。ニコニコと笑顔を絶やさず、また髪型や洋服などにも清潔感が感じられ、第一印象としては良い方でした。おまけになかなかの美人です。年齢が19歳ということで、高校を卒業後就職してすぐ辞めてしまったパターンだろうかと想像していました。

いざ記入してもらった登録申込用紙と履歴書を確認すると、学歴の欄には中学卒業までしか書かれていません。そして職歴欄には「なし」と書かれていました。実家が農家や商店などの自営業で、家業を手伝っている可能性もあります。たずねてみると、親は普通の会社員だとの答えが。では、中学を卒業した後から今までの4年間は何をしていたのか質問したところ――。

希望職種は事務だけれど…

15歳の時子どもを産み、実家でシングルマザーとして子育てをしてました、との答えが。これにはさすがにびっくりしました。あまりいろいろと詮索するわけにもいかず、質問の方向を変えることに。

この女性の希望職種は「一般事務」「経理事務」「営業事務」でした。そこで簿記等の資格取得についてたずねても、何も持っていないとの返事が返ってきます。さらには学校に通ったり資格取得の勉強をする予定もないとのこと。

しかし、話し方などはおっとりとして、とても感じの良い女性なのです。まったくの未経験でも可能な仕事であれば、こなせるかもしれません。そこで事務以外の仕事について話をしてみることに。

違う仕事をふってはみたけれど…

食品工場内での単純作業について話しをしてみました。ひたすら栽培されたエノキを根元から切り取り、パック詰めしていく作業です。経験は必要ありませんが、数名の女性と一緒に働くので人当たりの良い人の方が馴染みやすいと考えました。ところが…。「工場の中では働きたくありません」

では、衣類製造会社内での仕事について説明してみることに。これは工場内というより会議室のような場所で商品にタグを付けダンボールに詰めていくという単純作業です。ところが…。「体があまり丈夫ではないので動きまわらない楽な仕事がいいです」

こうなると、もう仕事の紹介は無理です。いくら事務職を希望したところで職務経歴がまったくない。さらには高卒認定試験を受ける予定もなく、また資格も含めて自分なりに勉強をしていない。

この状況で事務職で派遣することはムリだと説明したところ、彼女の表情ががらりと変わったのです。それはもう、マスクを外したのではないか?と思えるほどの豹変ぶりでした。「私が中卒だから事務職の仕事をさせてくれないんでしょう!!」いきなり大声で叫ばれて、本当にびっくりしました。事務所に帰ってきていた営業職の何人かが驚いて飛んできたほどです。

結局、彼女は何を期待していたのか…?

その後、わんわん泣きながら切々と自分の身の上を嘆いていました。いわく――。自分は毎日育児で大変な思いをしているから勉強をしている暇などない。これじゃあ、いつまでたっても事務職に就けないではないか、と。

とにかくなんとか気持ちを落ち着けようと、なだめつついくつか質問を続けてみたのです。まずはどうしてそこまで事務職にこだわるのかを聞いてみました。「事務職は楽だから」 ……言われてめまいを起こすかと思いました。

そこで、派遣は経験者による即戦力を求められることを説明すると、ようやく落ち着きを取り戻した彼女の口からとんでもない言葉が…!「えっ!? 派遣ってバカでもできるって聞きましたよ? だから経験がなくてもいいかと思って

……うーん、なんでしょうか。腹が立つを通り越し、あまりの無知ぶりにひょっとしたら誰かにドッキリでも仕掛けられているのではないかと勘繰ったほどです。その後その女性は「事務で派遣してくれないなら、もういいです」と帰っていきました。つくづく、世の中にはいろいろな人がいるのだな、と思い知らされた登録者でした。