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世相と共に変わる常識の本質を知ると、自分を成長させることが出来る

常識は世相とともに変化する

田園に住むものにとって毎日見慣れた田園風景は日常の景色であり、心を揺り動かすほどの景色として意識されないものだ。ところが観光客にとっては新鮮な景色であり、心揺さぶられることが多い。同じ人間の視覚ではあるが、この意識の違いは「慣れ」が生じさせているといえる。

この現象と同様に、職場でも「見慣れた景色」が時間とともに変化しているのだ。ここでの「見慣れた景色」とは「職場の常識」のこと。それは業務内容や業務量などによって日々刻々と変化しているのだ。毎日を同じ職場で過ごすことによって、わずかな変化は気付かずに積み重ねられる。

毎日の気付かぬ変化が時間の流れで積み重なって、以前とは質量共に異なる「見慣れぬ風景」に変化するのである。「見慣れぬ風景」もその職場で過ごした人にとっては「見慣れた風景」であり、変化とは感じられないのだ。

この手法はいろんな分野に利用されている。たとえば回転寿しのシャリの量(気付いている人は意外と多い)が少なくなったこと。課税を徴収されていると気付かれぬようにして徴収する方法、給料天引きは現金支払に比べて支出感が低いなどなど、気付かれないようにかすめ取る方法が社会ではまかり通っているのだ。

「気付かれない手段」によって社会の労働環境は大きく変化した。給料支払も「現金支給の原則」があるのにいつのまにやら現金支給から口座振替に合理化され変化した。これによって労働意識も「給料を得るために働く」から「仕事として働く」意識に変化している。この意識変化戦術の効果は大きい。

昔の常識もいまは非常識

このように社会は気付かれぬ用にして大きく変化しているのだ。昔ならば書類チェック方法として「読み合わせ」をしたが、今どきの職場でそんな光景を見ることは稀だ。そろばんで計算チェックしていたものがパソコンでの表計算に変化。ありとあらゆる業務方法が技術革新によって大きく変化した。もちろん業務量も激増していることはいまさらではない。

つまり、職場は常に変化の過程にあるということだ。その職場にいる自分自身も成長変化させなければ、「浦島太郎」になってしまうかもしれないのだ。変化に気付かない自分ではなく、変化に気付きながらも常に一歩先を見通せる目を持つこと。今日の「特別」が明日は「常識」になるということを知っておきたい。

特別は橋頭堡戦術で常識に変化する

では「特別」を「常識」にするための手段にはどんなものがあるのか。代表的な戦術として「橋頭堡(きょうとうほ)戦術」がある。これはまさに戦争のための戦術だ。

たとえば急増した仕事に対処する緊急手段として職種を超えた特別応援体制がとられることになった。この特別応援体制によって緊急業務を乗り切ることが出来たとしよう。しかしこうした緊急業務は乗り切ることによって再び発生するものだ。再発生した緊急業務には前例同様の特別応援体制が組まれ、乗り切ることとなる。

こうした「特別」事態を2度3度とくり返すことで「特別応援体制」が、単なる「応援体制」になるのだ。このように「特別」事態を操作するのが「橋頭堡」戦術だ。橋頭堡と橋頭堡をつなぎあわせることによって「特別応援体制」を通常の「応援体制」へと前線を引き上げることが出来るのだ。

橋頭堡戦術を気付かぬうちに実行している場合が多い。しかしその場合には戦術として理解されていないため職場には不満が蓄積するのである。「特別事態」を戦術として把握出来れば、職場環境も変化に合わせて強化することが出来るのだ。

職場常識を橋頭堡戦術によってどのように変化させることが出来るか。その変化のなかで、あなたの能力が職場の組織化戦術に欠かせない存在となるためには、職場常識の本質を見抜くことだ。常識変化を戦術として理解できるようになれば、あなたの職場組織化能力は飛躍的に高まることになる。

悪魔は「橋頭堡戦術を周囲に漏らすな」と忠告している

橋頭堡戦術を実行するあなたに悪魔は忠告する。「この戦術理論は周囲に漏らすな。おまえだけの秘密にせよ」と。この特別事態対処戦術が仕組まれた橋頭堡戦術であると周囲に知れ渡れば、戦術の仕掛人が窮地に追い込まれることになる。

業務多忙な職場にさらなる業務量を持ち込むという戦術の仕掛人があなたであると知れれば、あなたへ非難が集中することだろう。あなたは職場の仲間たちから総スカンされる可能性がある。

あなたがとるべき手段は、貧乏くじを引くことだ。たいへんな事態の矢面に立つことで非難ではなく「同情」が寄せられることになる。これによってあなたは戦術の仕掛人からもっとも遠い存在に位置することになるのだ。ズルイ手段に思えるが、これが戦術なのだ。戦術は策略、陰謀によって成り立つものだ。策略や陰謀も自由に扱えるようでなければ組織化戦術は成立しない。

もう一点忠告しよう。それはあなたから周囲に「同情」を訴えてはいけないということだ。あなたはグチの聞き役に徹すること。そしてひたすら貧乏くじを引き続けることだ。こうした行為にのみ外部からの「同情」は高まるものだ。

この「悪魔の忠告」を聞き入れることが出来れば、一回り大きな人間に成長することが出来るだろう。成長するためには「清濁併せ吞む」度量は必須なのだ。健闘を祈る。