Amazonはどのように生まれたか!ジェフ・ベゾスが語る創設秘話
いまやネット通販の代名詞とも言われるアマゾン。その創設者ジェフ・ベゾスがどのようにアマゾンを立ち上げたのか?アマゾンの創設秘話をユーモアも交えて説明します。
(参考動画)
こんにちは、私の名前はガース・フェイガンです。これからみなさんに振付についてお話します。(注:ガース・フェイガンはダンススクール経営者、これはジェフ・ベゾスのジョークです)
(笑い声)
今から約7年前、私にとってはかつて経験したことのない素晴らしい旅が始まりました。それはアマゾンという旅です。
当初はアマゾンという名前でなく、カタブラ株式会社と呼んでいました。アブラカタブラのカタブラです。アマゾンの前身となった会社でした。
その会社を設立するとき、設立者の一人に弁護士がいて、彼は私に電話でこう尋ねたんです。「それで、新しい会社の名前は何にするんですか?」
私が「カタブラ株式会社です」と答えると、彼は「カタブラだって?!」と耳を疑いました。
(笑い声)
それで、カタブラはあまり良くない名前だと分かりました。私たちは、数カ月後に会社の名前を変えました。
アマゾン設立のアイデア
私が会社設立のアイデアを得たのは、1994年の春、Web上のデータ使用量が年に2300%の成長率だったのを見ていたからです。
それは他の業界ではありえない成長率で、とにかくそれはもう非常に信じられない成長率でした。
データ使用のベースラインで2300%の成長率というのは、今日発信した情報が明日には世界中のいたるところに行き渡るということを意味しているのです。
その状況の中で会社を設立する際、問題はいったいどんなビジネスプランが意味を持つのか、ということでした。
私はいろいろな予算案を立てました。20種の異なる商品を検討しました。オンラインで販売するのに最もふさわしい商品を見つけようとしていたのです。
まず本、本はとても良いと思いました。実際、現在アマゾンの書籍はほかのどんな商品よりも豊富な品ぞろえを持っています。
世界には何百万もの書籍が出版されていますからね。そしてコンピューター関係の商品も豊富な品ぞろえを誇っています。
そして、オンラインでしか提供できないコンピューターサービスを打ち立てるアイデアもありました。
1994年当時のコンピューターテクノロジーはその種の、特別な販売戦略が要求されていたのです。
会社設立への決断「後悔の最小限化」
私が会社を興すことのアイデアについて、初めて家内に相談した時(家内は今、みなさんといっしょに座っていますが)のことです。
私の家内は比較的落ち着いた女性で、ちょっと天然っぽいところもありますが、当時彼女はウォールストリートの事務所でヘッジファンドにかかわっていました。
私たちにとって、会社を興すかどうかはとても難しい選択でした。私は何を根拠として決断すべきかを考えました。
このような重要な決断をするにあたって、その拠り所とする何かを探し求めていました。
そして私が見つけたものは「後悔の最小限化」でした。それは自分が80歳になった時を想像してみるのです。
そして、その時になって自分の人生を省みた時に、自分が80歳になって人生を振り返った時、自分の人生に対する後悔を最小限にすることです。
しかしそれは、当時の私にとって、そういうふうに考えることは、重要な決断をする上でとても分かりやすい方法でした。
私はこう自分に問いかけました。
答えはノーです。私は答えがノーだということを分かっていました。
そして、もうひとつわかっていたことは、もし私がこれに挑戦しなければ、私は常に後悔するだろうということ。
それは、つまりその後悔の念は、常に私を苦しませることになるだろうと。
アマゾンの設立へ
それは難しい選択でした。そしてアマゾンの設立当初は、他にも実に多くの物語があるのです。
たとえば私たちは、ソフトウェアの構築に約1年を費やしました。それ以外にも流通経路についてもエネルギーをそそぎました。
いよいよ販売を開始する日の前日、1995年7月、ソフトエンジニアのひとりが400スクエアフィートの配送センターを探していたのですが、彼は不安におののいて、「私は一体どうしたらいいのか分からない、信じられないくらい楽観的だ、いや、希望がないくらい悲観的だ」と言いだしました。
私たちは本当に分からなかったんです。お客様がいったいどんな反応をしてくれるか予測するすべがなかったんです。
それはインターネットテクノロジーの歴史上、黎明期でしたから。当然リスクもたくさんありました。
リスクと言えば、私の両親は私がアマゾンを立ち上げた時の出資者ですが、30万ドルの出資をしてくれましたが、それは彼らにとって、私の会社に投資しなければ、自分たちで安定運用することもできたお金です。
ところが、出資するにあたって私の父が私に尋ねたことは、「それで、インターネットって一体何だい?」
(笑い声)
つまり彼らは、会社のコンセプトに投資したのではなく、息子に投資したのです。私は、父に70%の確率で出資金すべてを失うかもしれないと言いました。
そうやって真実を彼らに告げるのは、私にとってとても重要だったのです。なぜならサンクスギビングデーに実家にディナーを食べに帰りたかったからです、何が起ころうともね。
(笑い声)
結果として、彼らの投資はうまく運び、私の会社が彼らに富をもたらしたことをとてもうれしく思っています。
しかし、ベンチャー企業を立ち上げるということは、とても危険ことです。普通は投資した額に対して、少しでも利益が出る確率は最高でも10%と思っていた方がいいのです。
私はそれを30%と誇張しました。私は、かなり自信過剰だったわけですが、とにかく会社はうまくいきました。
それは世界がインターネットで繋がり始めた初期のころでしたから、・・・要するにベンチャー企業の我々にとって世界がネットで繋がっていなければならなかったのです。
(笑い声)
私にはたくさんの失敗談があります。1995年7月に発売を開始した時、私たちはお客様の反応にショックを受けました。
販売開始から多くの注文が入りました
初めの30日間で私たちはアメリカの50州すべての州、そして45カ国の国から注文を受けました。
それはものすごく、ひどく私たちの予測をはるかに上回る数字で、その受注量に対応するために、私たちはすぐさま2000スクエアフィートの場所に移転しました。
それは地下倉庫で、天井は6フィートの高さしかなかったんです。従業員のひとりは6.2フィート身長があり、彼はいつもこんなかんじ(首を傾げた状態)でした。
(笑い声)
私たちは、社員全員で日々のすべての仕事をこなしていました、つまりコンピュータプログラミングから他の雑用まで、ベンチャー企業の立ち上げにはよくあることですが、10人の社員で雑用も含めたあらゆることを行っていたのです。
その日、午後まで商品の梱包に時間を費やし、それは本来なら午前中にやらなければならない作業だったのですが、私はその荷物をUPS(ユナイテッド・パーセル・サービス、アメリカの運送会社)まで、自分で運転して運び、彼らの閉店ぎりぎり数秒に滑り込む感じで、閉まっているガラスのドアをノックして入り、何とか船積みに間に合わせました。
私はいつも彼らの船積みを遅れさせていたわけです。
私たちはその準備ができていない時に、ありがたいことですが、多くの注文が殺到しました。
私たちはまだ、それに間に合う配送システムを整えられていなかったのです。私たちは冷たいコンクリートの床に膝をついて、自らの手で梱包していました。
私は当時の自分がいかに原始的で愚かだったかをよく覚えています。私たちにとって、たった一つ恐れていたことは配送の遅れです。
そのため社内すべての社員が一丸となって梱包の仕事をやっていました。
1つ1つの作業やアイデア積み重ね
ある日、私たちはブレインストーミングを行いました。そこで私の隣に座っていた社員の一人がこう言いだしたのです。「この梱包作業は私にとって非常につらい作業です。腰は痛むし、コンクリートの床に膝をついて作業していると、膝が死にそうなくらい痛みます。」
私は「それはとてもよくわかる。」と言いました。「そうだ、私たちに必要なものがある!」その時、私の頭にはとても素晴らしいアイデアが浮かんだのです。「そうだ、私たちに必要なのは膝サポートパッドだよ!」
(笑い声)
私は真剣に言ったのですが、その社員は「今までこんなバカな人間は見たことがない、俺はこんな愚かな人のために働いているのか?」とでも言いたげな感じで私を見かえしました。
そして、私にこう言いました。「私が思うに、私たちに必要なのは、梱包用の作業台です!」
(笑い声、拍手)
私は、しばらくその社員を見つめてしまいました。私は、彼のアイデアは、かつてない、最も素晴らしいアイデアだと思ったのです。
そして次の日、われわれの会社に梱包用の作業台がきました。おかげで、私たちは生産性を2倍に増やすことができたのです。
そんな感じで、アマゾンの初期のころ、私たちはまったく準備ができていませんでした。
そんな中で私たちにとってプラスになったことは、カスタマーサービスの精神をすべての社員が経験できたことです。
すべての部署において、すべての社員が、お客様のことを思い、荷物を遅延なく出荷しなければならないというプレッシャーを共有していたのです。
それは、私たちのカスタマーサービス精神を構築する上で、とても有益だったと思っています。
ガース・フェイガンへの質疑応答
では、そろそろ時間だと思いますので、質疑応答の時間にしたいと思います。
(笑い声)
では、時間の都合上、3名の方の質問にお答えしたいと思います。
質問者:今からインターネットベンチャー企業を立ち上げる人に対するアドバイスはありますか。
解答:私のアドバイスは、おそらくいかなる企業家が与えるアドバイスと同じものだと思います。
それは、あなたの好きなことに注目するということです。初期のインターネット関係の会社を見てみれば、彼らはみな、彼らがおもしろいと思ったことに注目して会社を興しています。
かつて、インターネットはあらゆる意味でトレンドでした。
私たちの場合、設立当初長い間利益を出せませんでした。初めの6年間私たちはずっと敗北者で、それは1999年まで続きました。
でも、私はその敗北の数年間が好きです。それは私に勝ちたいと熱望させる時期でした。
私が当時雇っていた社員の親御さんたちは、みんないてもたってもいられなかったでしょうが、結果会社は富をもたらし、その敗北の数年は、今から思えば、ある意味素晴らしい時期だったと思っています。
そして1999年、私たちの両親は、「息子はアマゾンで働いているんだよ」と誇らしげに言っていたものです。
つまり、トレンドを追いかけるだけでは駄目だということです。あなたが企業家として会社を設立する時に必要なのは、何か自分がおもしろいと熱中できることに注目するということです。
そして、それは潜在的に顧客を創造できることではなくてはいけません。そして、その道を進み続けること、そうすればトレンドがあなたに追いつきます。
質問者:こんにちは、グラハムといいます。他に何か考えていた商品の候補はありますか。それと書籍を販売されていますが、あなた自身は本をよく読まれますか?
解答:当時のその商品リストはメールで受注するものとして作られたものですので、常にサイズという点で制約がありました。
メールオーダーのサイズから考えて、枕はメールオーダーとしてはぎりぎりのサイズでした。当初、枕はリストのなかでもトップに近いところにありました。
しかし、最終的にリストでトップにあがってきたものは、書籍。書籍は、明らかにナンバーワンでした。
他には、ミュージック、ビデオ、コンピューターソフトウェア、コンピューターハードウェア、これらはいずれもリストのトップにあがっていたものです。
それと、・・・すみません、私は複数の質問に答えるのが苦手で・・・2つ目の質問はなんでしたっけ?
質問者:私の質問は、本をよく読みますか?です。
解答:ああ、そうでした、本を読むかどうかですね。はい、実際私はよく本を読みます。
私の両親は私をしつけやすかったと思います。私は知識を仕入れるのが好きでしたから。私は部屋にいて本を読むのが好きでした。私はサイエンスフィクションの大ファンだったんです。
私は多くの時間を祖父のところで読書に費やしました。それはメキシコではなくテキサスでしたが、ここから90マイルしか離れていないところですね。
当時その小さな町には、カーネギースタイルの小さな図書館があり、それは本当に小さな図書館だったのですが、私はそこにある本のうち、それは3000人ほどの人口の市民から寄付された本で、蔵書のうち3分の1がサイエンスフィクションだったんです。
なぜなら、その街にはサイエンスフィクションの大ファンだった男が一人いたのです。
それで私はサイエンスフィクションに、はまったわけですが、私の家内からも影響を受けたと思っています。まあ、でも私のお気に入りの小説は”The remains of the day”です。
質問者:こんにちは、イアンと言います。ロサンゼルスから来ました。アマゾンにはとても感謝しています。
私が他のショップで買えない本を提供してくれたのはアマゾンですから。私が質問したいのは、あなたの人生においてリスクとはどのような意味を持っているのでしょうか。
成功するためにリスクをどのようにマネージメントしたのか教えていただきたいと思います。
解答:私の人生でリスクはどのような役割も持っているのか・・・。
これはとても過酷な真理ですが、人生で何をするにあたっても多少なりのリスクは伴います。リスクは前進するために必要不可欠なものでもあります。
ひとは、みんなそれぞれ異なることをしようとしますが、私個人は探検することが好きです。物理的に探検することが好きです。
たとえば、アイルランド人の原点を探る旅なんていう探検をしたいと思っています。行った先には野蛮人たちがまだいるかもしれません。
でも、それは素晴らしいアイデアだと思います。地球にはまだまだ奥深いスポットがあります。それに宇宙もです。個人的に、いつの日か宇宙を探検してみたいと思っています。
これらすべてのことにリスクが存在します。この世のどんな物理的探検にも知識的探求にも、例えば科学の分野でもそれは同じです。
今日ここでスピーチを行うすべての参加者に、同じことを聞いてみてください。彼らが何をしたにしろ、すべてのことにリスクは潜在していたと言うと思います。
アマゾンはその設立に際して、あらゆる潜在的リスクを有していました。初期に貴重な資金を得て、私のケースでは30万ドルの資金を両親から得て、数百万ドルの資金を20名の出資者から得て、これらの貴重なお金にかかわるリスクを軽減するために、組織でもって、全力を注ぎました。
創立初期の段階において、会社の運命をコンロトールしなければならない、結果としてこれはチームにプレッシャーを与えました。
いまでは7000人の人がアマゾンにかかわっている現在、私たちはさらに大きなプレッシャーにさらされています。
会社の運命は私たちが握っているのですから。私たちは運営する上で常にリスクを負っています。
今、私たちがそれをコントロールして行かなくてはならないのです。残念な結果を招くわけにはいかないのです。
ご清聴ありがとうございました。