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派遣契約途中で解雇された!その手続きは正しく行われたものですか?

派遣契約の途中で、派遣先企業の都合により契約が解除されたとします。しかも、それを告げられたのがその月の半ば頃だったとしましょう。派遣元に言われたのはこんなセリフでした。

『悪いけど、派遣先の都合で今月いっぱいで派遣が打ち切りになったから。もちろん今月働いた分の給料は支払うから心配しないでね』

――これはまさに派遣会社が派遣打切りについての正式な対処をうやむやにしようとしているケースです。そのままあっさり受け入れてはいけません!

派遣労働者の解雇は正社員で働く労働者の場合と同じ

例えば一年間の派遣契約をして働いていたのに、半年を経過したところで打ち切りになったとします。この場合、派遣元はあなたに対して少なくとも30日以上前には解雇予告をしなければいけません。もしくは、30日分以上の賃金を支払う必要があります。

つまり、月の半ばになってから『今月分の給料は支払うから今月いっぱいで終わりね』…という言い分は労働契約法において認められない、ということになるわけです。

悪質な派遣会社は労働者を欺こうとすることがある

誤解を招かないよう、先に申し上げておきましょう。きちんとした派遣会社では労働者側が何も言わなくても、正規の手続きを踏んだ契約途中の解除をおこないます。さらには契約打ち切り後の仕事を速やかに紹介する努力をしようとするでしょう。そして、それが叶わない場合は解雇予告を支払うわけですね。

ところが、悪質な派遣会社によってはここを誤魔化そうとするのです。具体的に言えば、解雇予告手当てを払うことで身銭をきらないようにしようとするわけですね。しかし、これは本来おかしな話なのです。

なぜなら派遣先の都合で契約が打ち切りになる場合、派遣先は派遣元(派遣会社)にきちんと合意を取り付けなければいけません。当然そこには打ち切りまでに相当の猶予期間が設けられてしかるべきです。

さらには労働者に支払う賃金に相当する分の損害賠償も発生することになるでしょう。それなのに、なぜ上記のように労働者が泣き寝入りをするような形で事を済まそうとする派遣会社があるのでしょうか。

派遣先企業には逆らえない派遣会社の実情

派遣を依頼してくる派遣先企業は、派遣会社にとってはお客様です。派遣の枠1つに対し、複数の派遣会社が競合するなんてことは珍しくもなんともありません。ましてやそれが、複数の派遣を使ってくれる派遣先であれば、まさに派遣会社にとっては神様なのです。大げさに言えば、派遣先企業が「カラスは白い」と言えばカラスは白だとうなずくしかありません。

仮に1つの派遣契約が部署の都合で打ち切りになったとしても、他の部署では複数の派遣スタッフが働いていたとします。そうなると、途中で契約が打ち切られるからといって、『損害賠償を請求します』とはなかなか言えないわけですね。本来は言うべきでしょうが、「だったら次からはもうおたくには派遣を頼まない」と言われてしまえば損害はさらに拡大しますから。

そんな訳で、もしも契約を打ち切られるスタッフが何も異議を申し立てずにその月で終了して去ってくれたとします。すると、派遣会社は余計な損害を出さずに済むことになるわけですね。

しかし、きちんとした派遣会社であれば、万が一そういう事態になったとしてもスタッフには相当の解雇予告手当を支払います。契約途中で打ち切られることに派遣スタッフは何の落ち度もないわけですから、これは当然のことなんですね。

もしも不幸にも自分を派遣している派遣会社がそのような優良な派遣会社ではなかった場合は、きちんと解雇予告について問い合わせましょう。うやむやにしようとするのであれば、労働基準監督署などに相談して正当な手続きを踏むべきです。

大切なのはきちんとした派遣会社を選ぶこと。自ら労働者の権利をきちんと理解したうえで、派遣労働者として全力で職務を遂行すること。シンプルに思えるでしょうが、実はそれだけなのです。