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自己主張バリバリ全開!インドにおける面接風景の一コマ

アジア広しと言えども、インドと日本ほど対照的な国はないのではなかろうか。特に就職・転職活動の場面は最たるものではないかと思うほどである。

とにかく自分をアピールしまくるのである。「自分が如何に優秀か」を延々話出し、「いつ終わるのかなあ」と待っていても終わらない。途中で止めなければならないが、ただ単に言葉を遮るだけではダメで、止めるにはある種のコツが必要なのである。

そのことは後で述べるとして、まず面接に来た候補者は「みんなで話を合わせてきたの?」と言いたくなる程、持ち物が同じなのである。

まず、みんな必ずリュックを背負ってくる(男性女性問わず)。その中から取り出されるのは決まってクリアファイルである。

この中には小学校時代の成績表に始まり大学の成績表と卒業証明書、資格証明書などがびっちりファイルされており、彼らはこれを武器に面接官へ自分の優秀さをとにかくアピールするのである。

また、「できない」や「知らない」を言わないインド人。とにかく高速マシンガンの如く喋り続けるのである。

そんな感じなので日本人だけでインド人を面接するのは至難の技であり、日本人は途中でギブアップしてしまう。こんな時に威力を発揮するのはやはり餅は餅屋でインド人なのである。

信頼できる人事マネージャーと一緒に面接するとある程度コツがわかってくる。ただし、時間の流れは悠久であるインド人。現地の人事マネージャーはある程度までマシンガントークに付き合うのである。

一通り喋らせた後、少し疲れを見せ始めた候補者に要点を突く質問をするのである。その質問に対しすんなり答える候補者には次の質問を投げかけるのである。

そんな事を数回繰り返すと今まで自信満々であった候補者が「ウッ」と沈黙になる瞬間がある。これにより相手のスキルと経験を見抜くのである。

そこで追い討ちに突っ込んだ質問をすると「それはわかりません」とか「それは経験ありません」と素直に答え大人しくなるのである。

しかしここまでできる面接官には、相当のコミュニケーション能力と業務に対する知識と経験が必要である。日本の面接とは比べ物にならないハイレベルな面接がインドでは繰り広げられているのである。

とはいえ、実はインド流の浪花節が面接終了後に炸裂するのである。「彼はあの質問で詰まったけど人柄は良いよな。鍛えて経験を積めばこの仕事は出来るようになるから採用しようよ」とか「次のステップに進んでもらおうよ」となるのである。

日本の人口の9倍とはいえ、よほどの合わない候補者でない限り、どの候補者も似たりよったりになるので甲乙つけがたい場面が往々にしてある。ここで重要になってくるのが人格である。

多くの候補者がマシンガントークで来るのだが、その中でも面接官の質問をじっくり聞いてから丁寧に答えてくる候補者もおり、そんな「空気の読める」候補者が次のステップに進める可能性が多い。

よく例えで、「国際会議の場で日本人に発言させることとインド人を黙らせることが至難の技である」と言われるほど対照的な人種であるが、こと面接の場面では共通する日印のモノサシにそれほどの違いはないのである。

やはりどの国であっても、人と人が対峙する場で重要なのは人格や性格になってくるのである。また、インド人にとって案外日本人の「慎ましやかな性格」を新鮮で上品だと感じることが多いらしく、日本人を探しているインド現地企業も多い様である。

若い世代の方、特に20代の日本人には是非ともチャレンジしてインドで働いてもらいたいと思うのである。何でも便利で事足りる日本では味わえない不便さ。

でもそれを創意と工夫で楽しさに変え、たくましさと臨機応変さをインドという国で身につけることができれば、どんな国でも対応可能である。

そんなたくましい日本人が増えて国際化から程遠い日本を立て直して行くことが出来れば日本の将来は安泰である。