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資格取得のほんとうの目的とは?採用者側の視点に立って考える

資格取得のほんとうの目的とは?採用者側の視点に立って考える

就職活動をしている人たちにとって、資格の取得ということは気になるテーマでしょう。

一般的な企業の総合職の場合、採用試験そのものには必要な資格としては特別な条件はないものの、同じ条件の受験者が並んだ場合、資格の有無が合否を分かつのではないか、と思うのではないでしょうか。

そこで、少しでも採用に有利に働くように、手っ取り早く取得できる資格はないものかと考える人も少なくないようです。

あるいは、進路が決まっていなくても、とにかく取得できる資格は学生時代に手当たりしだいに取っておこうと焦る人もいるようです。

しかし、むやみに資格取得に奔走しても、その取得の目的をしっかりみつめないと逆に時間とモチベーションを浪費するだけにもなりかねません。

そこで、就職活動をしている学生が、どんな資格を取って就職活動に望むことができるかを考えながら、就職と資格の関係を考えます。

大学で取得できる資格

具体的な就職先が決まっていないという場合であっても、大学や短期大学で学んだ人たちは、すでに一定の仕事の方向性はおおむね限定されています。

就職先として、一般企業の総合職や公務員の一般行政職などの場合は、就職試験を受けるにあたって特定の分野の研究歴が問われることも、特別な資格を求められることもありません。

しかし教育学部系や医学部、看護や福祉系の学部で学ぶ学生などは、職業選択にあたって、すでに特定の専門的分野に絞られてくるでしょう。

それは、大学で所定の単位を履修することで、得がたい国家資格を取得することができるからです。

逆に言えば、それらの資格を取得するには、受験取得の道もあるとはいえ、結局は所定の大学で学び卒業することが一番近道である場合が多いのです。

大学での単位履修と卒業により、無試験で取得できる資格があります。その代表的な資格といえば、学校の教諭免状です。

特に、中学校・高校教諭の資格は、教育学部の学生に限らず、専門の課程と平行して取得できるようにカリキュラムが組まれていることが多く、そのため学校の先生になるかどうかにかかわらず、「一応履修しておく」という学生が多い分野です。

ただし、小学校教諭や幼稚園教諭の免状は、教育にかかわる単位履修や実習の用件が多く、教育学部の学生でない限り、専門と平行して取得するのはほとんど困難です。

したがって小学校の先生を目指す人は、教員養成過程をもつ大学に入ることになりますが、中には他の大学と連携して取得できる大学もあります。

また保育士の資格も、厚生労働省が認定する大学で必要な単位を修得して卒業すれば得られます。

少し変わったところでは、司書や学芸員の資格があります。司書は図書館に勤務する専門職、学芸員は博物館施設に必要な学芸員として採用されるための資格です。

このように、単位をとって大学を卒業するだけで、試験は免除される資格は、特に学校教育や生涯教育に関連する資格に多いのが特徴です。

国家試験の受験が必要な資格

大学等での単位履修と卒業だけでは不十分な資格もあります。たとえば、船舶の航海に携わる海技士の資格や、危険物の保安・管理・監督を行う甲種危険物取扱者などの、工学・産業分野にかかわる資格があります。

しかし一般的にひろく知られている代表的なものといえば、いうまでもなく医師免許や司法試験でしょう。

これらは、大学の卒業要件等はあくまでも「受験資格」を満たすだけで、その後の国家試験に合格してはじめて資格が得られるのです。

医師や弁護士資格だけでなく、卒業要件等に加えて国家試験に合格する必要がある資格は、他にも多数あります。

たとえば医師資格と隣接領域でいえは、心電図や脳波などの生理学的検査を行う臨床検査技師、生命維持管理装置を扱う臨床工学技士、診療用の放射線装置を扱う診療放射線技師などがあります。

また、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士などのように、身体的な障害をもつ人々や患者に対して機能回復の支援を行う専門資格もあります。

また医療従事者として看護師の資格も、国家試験で取得できるものです。看護師の場合は大学に限らず、短期大学や専門学校で必要な単位をとれば国家試験の受験資格を満たすこともできます。

ほかにも保険・福祉分野では、保健師や助産師、管理栄養士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士といった資格は、国家試験を受ける必要があります。

誰でも受験できる国家資格試験

以上紹介してきた資格の分野は、総じて取得までの道のりが比較的長く、ハードルは高めの分野になります。

職業選択との関係でいえば、大学等に入学する時点ですでに方向性が定まっていて、資格の取得がそのまま職業の選択に結びつきやすい分野ということがいえるでしょう。

そのため、大学卒業をひかえてから、こうした分野を目指そうとしても、無関係の学部だったり、そもそも自分の大学では履修できない分野だったりすれば、残念ながら取得は絶望的になります。

しかし、実は多くの国家試験は、受験資格自体には年齢制限以外に特別な学歴や単位取得要件を設けていない、すなわち誰でも受験できるものが多いのです。

よく知られているものでは、旅行業務取扱管理者の資格試験があります。また、通訳案内士の受験にも語学検定のスコアが求められることはありません。

司法書士や公認会計士、気象予報士といった難関で知られるの資格試験も、受験すること自体には特別な制限は設けられていないのです。

他にも、電気主任技術者、公害防止管理者、海上・陸上・総合無線通信士、液化石油ガス設備士などの産業分野の資格。

プロジェクトマネジャーやシステムアーキテクト、ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリストなどのIT・情報関連の専門資格。

中小企業診断士や不動産鑑定士、宅地建物取引主任者、土地家屋調査士、測量士・測量士補などの不動産・建築・土木関係の資格試験も、誰でも、実は受験を試みることはできるのです。

もっとも、これらの試験に合格するために自習で勉強することも大変困難であることは確かです。就職活動にあたって「付け焼刃」で簡単に得られるというものではなく、長い年数がかかることを想定した計画的な学習が不可欠です。

では、思い立ってからでも比較的容易に取得できる資格というものはないでしょうか。

講習の受講で取得できる資格

実は、国家資格や公的な資格の中には、実技講習を受講して修了試験に合格すれば取得できる、というものが多数あります。

国家資格の中で代表的なものは、産業関係の建設や工事現場などで必要とされる技能者や主任、監督者などの資格です。

たとえばガス溶接技能者や酸素欠乏危険作業主任者、特定化学物質等作業主任者、普通第一種圧力容器取扱作業主任者などがあります。

いっぽう、各種法定資格や公的な資格としては、福祉関係や保健衛生関係の現場で活躍する資格者の講習があります。

たとえば、福祉用具専門相談員や訪問介護員2級、食品衛生責任者などです。

これらの資格取得の大きな特徴は、受講にあたって学歴や実務経験の制限がないため、誰でも受けることができるという点です。

またこれらの実技講習会は、基本的に特定の事業現場で有資格者を配置することが法的に義務付けられているために行われている制度であり、したがって、総じて社会的需要が高い資格であるということがいえます。

もちろん受講にはそれぞれ開講のタイミングがあり、受講料も必要になります。また修了試験に合格することも取得の要件になります。

しかし前述のハードルが高い国家試験に合格することの難関さとは大きな違いがあり、自学自習の余裕の無い人や勤労者にも取得が容易な資格といえます。チャレンジする価値はあるでしょう。

資格取得の目的とは

しかしながら、そもそも資格を取得するのは何を目的にしてのことか、ということを、特に就職活動の最中にある時に、あらためて振り返る必要があります。

就職試験を受ける立場にある時は、ただ採用に有利に働くかどうかという点にだけ関心が集中しやすいものですが、翻って採用する企業から見れば、あくまでも業務上は、その資格が法定の必置要件か否かという意味でしかないからです。

学校の先生の採用試験や、医療従事者の採用試験などのように、ある資格の取得が採用試験を受けるための必要条件となっている場合、それはそれぞれの仕事に従事する者の条件が法律で定められているからです。

また、作業主任者のように、資格者を配置しなければ現場作業ができないという事情も、事業者側にはあるのです。

つまり、就職に有利にはたらくように資格を取得しようと考えるならば、その資格を取得する目的をまず見据える必要があるのです。

漠然と福祉関係の仕事を希望しているからといって、講習を受けて福祉用具専門相談員の資格を取ったとしても、この資格者は社会福祉士や介護福祉士が代行できる部分もあるため、期待したほど就職に有利に働くとは限らないのです。

むしろ採用を検討する事業所は、資格そのものよりも、自分のスキルを上げるために自らの意思で講習を受け、資格をとったという努力の形跡にこそ注目するでしょう。

就職に不可欠な要件としての資格は取得しなければなりませんが、少しでも有利に、と考えるならば、自分の身の丈に合い、関心の深い分野の資格に挑戦し、知識と技術を高めること自体を目的にする気持ちが大切です。

社会に貢献するという高い志

経済活動や社会的活動には、じつに数多くの資格が存在します。

それらの資格には、国家資格や公的資格、法定資格のほか、民間団体が制定した技能認定などがあり、その資格が認められる範囲もさまざまです。

とかく就職活動の間は、目の前の採用を勝ち取ることで精一杯になりますが、基本的に資格とは、人々の生命に直接かかわる作業に従事するためのものです。

人々の教育や健康にかかわる現場で適切な指導助言を行うため、あるいは危険を伴う作業で事故を未然に防ぐために設けられたものです。

つまり、人々が安心して生活できる社会を維持するための要件といってよいでしょう。単に就職活動のツールとしての狭い意識を超え、社会に貢献するという高い志を目的に、資格取得の道に挑戦したいものです。