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見かけの合格率に騙されるな!中小企業診断士試験の真の難易度とは

公表されている合格率

中小企業診断士試験は中小企業診断士(診断士)としての知識を問う1次試験(1次)とコンサルティング能力を問う2次試験(2次)があります。1次は経営の知識に関する7つの試験科目があります。

2次は筆記試験と口述試験があります。筆記試験ではコンサルティング能力を試す事例問題が4つの領域から4事例出題されます。そして、口述試験はその事例問題の内容を主な対象とした口頭による質問形式で診断能力やコミュニケーション力が試されます。

試験認定機関となっている一般社団法人中小企業診断協会の発表によれば、平成25年度の1次では、受験者数が16627人で試験合格者数が3094人となっており、試験合格率は21.7%となっています。

また、1次は科目合格制度をとっており、経済学・経済政策は2.1%、財務・会計は16.6%、企業経営理論は6.8%、運営管理は10.5%、経営法務は21.1%、経営情報システムは51.8%、中小企業経営・中小企業政策は16.9%、となっています。

2次では、筆記試験の受験者数は4907人で口述試験の受験資格を得た人数は915人。その結果、筆記試験の合格率は18.6%です。口述試験後の最終的な合格者数は910人で合格率は18.5%となっています。

数値上の難易度

平成13年度に本試験制度が改定されて以来、1次及び2次の合格率は改定直後の時期を除いて概ね20%前後となっています。

もちろん各年度で合格率のバラつきはありますが、それを平準化しようという傾向も見受けられます。例えば、平成23年度1次の合格率は16.4%、24年度は23.5%となっています。平成24年度の2次の合格率は25.0%、25年度は18.5%です。

このように前年の合格率が高ければ、次年は低くなり、前年が低ければ次年は高くなる、というような調整ともとれる動きもあるのです。

また、1次では科目合格制度が採用されており科目ごとの合格者数がわかるので、合格者数で科目ごとの難易度が把握できます。難易度の傾向は科目によって傾向が異なります。隔年で難易度が変わったり、2~3年で変わったりする科目あるので、試験対策上は特に注意が必要です。

例えば、経済学・経済政策の科目では、平成23年では合格率は8.6%、24年は24.8%、25年は2.1% となっています。この傾向から判断すると、26年度は比較的やさしい問題が出題されて合格率が上がることが予想されます。

このようなバラつきを無視して、合格率が異常に低い年の数値で試験全体を判断すれば試験が非常に難しく感じられるし、その逆もあります。

だから単年度や2~3年程度の合格率だけでなく、最低でも5年間ほどの合格率とその傾向をみて判断し、受験するかしないかを決定するべきです。また、受験の準備もそうした傾向を踏まえた対策を実施していかないといけません。

真の難易度

1次も2次も合格率は20%前後です。例えば15000人の受験者が試験を受ければ、1次では3000人ほど合格します。そして、その合格者が2次を受験すれば、600人合格します。その結果、トータルの合格率は、15000人中600人合格するので、4%です。

この4%とは他の国家資格と比較しても難易度は高いといえます。また、20%という数値も簡単とは言えないかもしれません。しかし、これはあくまで数値としての難易度であり、別の見方をすれば内容も少しは変わってきます。

例えば、個人の能力を無視して受験者の15000人が同じ内容の参考書を勉強し、同等の学習時間を確保して試験に臨めば、同等の結果が出る確率は高く20%以内に入るのは容易ではありません。

しかし、現実はそうではありません。診断士試験の受験対策として学習する量は少なくないため、初めて学習する人で1000時間以上の学習時間が必要ともいわれています。1日3時間勉強しても333日必要です。この数字は働いている社会人には優しいものとはいえません。

だから実際の受験者では、十分な受験準備ができた人とできなかった人との差が大きくなっていることがあります。対策に時間が多くかかる試験では、その準備が不十分な場合圧倒的に合格率が下がる傾向があります。

極端な例ですが、15000人中の半分の人が準備できて、残り半分はできなかったとしたら、結局の合格率は3000人7500人÷100%=40%ということになるかもしれません。

このように数値の表面的な合格率に惑わされないで、実質的な合格率やその試験に出題される問題の質で判断して、その試験の難しさを考えるべきなのです。