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就職活動を始める前に知っておくべき、企業が求めている人材の特徴

2000年初頭から叫ばれたグローバル化の波が雇用を直撃し、企業が日本型雇用から欧米型雇用に変化しようとしている中、経済状況も踏まえ企業の求める人材に変化が出てきました。グローバル化に備え社員の能力を海外でも活躍できる人材と見据えた書籍や専門家もいましたが、実際の現場では全く違う動きを見せました。

企業のホームページなど閲覧すればハッキリと分かる事ですが、海外などに支店がある大手企業でさえ採用基準の項目に英語などの言語力やコミュニケーション能力を上位に挙げていません。確かにそれらの能力は必須になり得ますが、それ以上に企業が求めているスキルがあり、就職活動をする人材に期待しています。

これまでは専門的な人材がこれからの企業には必要になると読まれていましたが、実際の問題としてはそれ以上に求められる一般的なスキルがありました。それが自主性です。「自分で考えて動ける人材」、これが求められるようになったのです。

現在の日本は不況です。その為、日々多くの問題が生まれその対処に追われています。専門的な人材は確かに必要なのですが、それ以上に現場での問題に対処する能力、とりわけ自主的に取り組む能力が求められるようになりました。自分で考えて動ける人材といっていますが、要はマニュアル人間ではなく自主的に動ける人材を必要としている訳です。

企業には商品やサービスを開発する事や、販売や営業、品質向上や問題処理の窓口、コスト削減や効率化の改善処理、そして専門性の高い金融業務や資産運用など数多くの部署や業務が存在します。好景気と言われていた過去の日本では、これらの部署がフル回転し生産性の高い仕事をしていました。

高度成長期などから続く日本型雇用はこの頃をベースに確立した為、総合職というどの部署にでも移動しても問題ない雇用形態となり、部署の移動を繰り返しコストパフォーマンスの良い部署に人材を配置する事ができました。自主的に動く事よりも、その環境で慣れる事を求められていた訳です。

しかし、この雇用形態は識者から異議が唱えられ、現在は欧米型への移行を求められています。欧米型とは、いわゆる職務契約を指しています。企業が採用する際、職務を決定し雇用する訳ですが、もし不況などで営業部署が苦しくなった時、日本型なら人員の足りない他の部署への移動で対処できますが、欧米型にはそれが契約によって出来ません。

日本はまだそこまでシビアな雇用形態ではありませんが、今後こういった流れに移行するかもしれません。そんな中、メディアや識者によって流布されたグローバル社会で活躍する人材と、実際の現場で求められる人材の乖離は進み、面接での質問で企業が求めている答えとはかなりズレたアピールをする人が出てきました。

現在の企業が求めている人材のベースは、あくまでも「自分で考えて動ける人材」です。他の能力や実績はその土台の上に成り立ってこそ、価値を生みます。確かに自分の能力に自信がない人などがいますが、アピールする方向性を間違えていてはいくらアピールを詰め込んだ所で意味がありません。

重要な事は企業が求めている事を満たしているかです。また今後の雇用形態を考えれば、企業も専門性を求めるようにならざるを得ません。しかし、日本の雇用形態を考えれば「潰しがきく人材」の方が、求められるのは明らかです。

いくら日本型から欧米型に変わって専門職がこれから必要だと叫ばれても、蓋を開けてみれば現場では何でもこなせる人材を求める筈です。その一例が「自分で考えて動ける人材」であり、現在の問題なのでしょう。

これまでの日本は、社風にさえ合えば部署移動で適正な人材を配置する処置が出来ました。しかし、これからの雇用は、欧米型を模倣しどんどんスペシャリストを雇い、ダメなら他の人材を求めるといった流れになっていきます。これは残念ですが、止められない流れでしょう。

そして困惑するのは現場の企業であり、応募する人達なのです。世間では専門的な能力こそ採用の近道と言われるでしょうが、企業が求める人材はそのせいもあってより「何でも出来る人材」になっていきます。ただ、何でもこなせる人材はなかなか応募してこないものです。

そこで、自分で考えて動ける人材を採用し、その人材が企業で独自に成長する事に期待する訳です。これからの就職はこういった些細なズレが内定の明暗を分けていきます。世間に踊らされる事なく、企業が求める人材が何か考えながら就職活動をして下さい。