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社風ってなに?どうしてその会社独特の空気が生まれるの?

1.言葉の定義は人によって違い、会社によっても違う

学生時代にディベートを学びました。日本語にすると「議論」と訳される事もありますが、いわゆる議論とディベートは似て非なるものです。技術論になりますが、ディベートの最初に行うことは「テーマの設定と言葉の定義」です。

例えば「子供は可愛いか憎たらしいか」というテーマでディベートすることにしたとします。Aは可愛いという立場に、Bは憎たらしいという立場に立ちます。ここで言葉を定義します。

子供とは何か。何歳から何歳までを指すか。赤ん坊は子供ではないか。親から見た子供か一般的な意味における子供か。可愛いとはどういうことか。可愛いの範囲に含まれる感情は何か。愛玩動物と子供に対する可愛いの異同。憎たらしいとは何か。可愛さ余って憎さ百倍という諺もあるが、憎たらしいに可愛いは含むのではないか。等々。

言葉には絶対的な「音」と相対的な「意味」があります。同じ言葉でも文脈によって意味が異なります。だからAとBが対等に意見を闘わせるディベートにおいては「言葉を定義する」という作業はとても大切なのです。

ビジネスにおいても相手方と「同じ言語で会話する」ということは必要最低限のルール。言葉はそれだけで意味を為しません。相手の言う言葉の一つ一つ、何を言わんとしているか、自分が受け取っている意味、ニュアンスは相手のそれとどれだけ重なっているかを常に意識するということは仕事を進める上で非常に大きな武器となり得ます。

2.会社にはそれぞれ独特の言語がある

「デフォルト」という単語があります。金融業界では通常「債務不履行」を意味しますが、システム業界では「初期値」「初期設定」を意味します。英単語ではどちらの意味もあるのですが、業界によって同じ単語でも意味することが全く違うということがあります。

また、特に和製英語に多いのですが、社内の間違って言い出したことが会社の中でだけローカルな意味合いを持つことがあります。例えば「キャッシュアウト」という単語。通常は「支出」という意味合いで使われます。「キャッシュイン」に対応する言葉です。ところがとある会社ではこの言葉が「債務超過」という意味合いで使われていました。「その会社キャッシュアウトしてる?」といった具合に。

また「トレース」。通常は「追跡」「原図を書き写す」といった意味合いで使われます。プログラムを追跡する、などの場面で使われる事が多いかと思います。これまたある会社では「対客」のことを「トレースする」と表現していました。

こういった言葉は共通言語として社内で通用している分にはいいのですが、社外の人に使うと「?」怪訝な顔をされます。言葉の本来の意味と、自分の会社で使われている意味を二元化して理解しておくことが必要です。

3.言葉と社風の関係

社風の話でした。社風と一口に言っても随分漠然としていますよね。会社における言語の使われ方が独特であればあるほど、その会社の社風は際立っている傾向にあります。独特の言葉を生み出し社内に浸透させる=文化を醸成する、ということだからです。

これから会社に入る皆さんは、先輩社員の話し方や言葉の使い方に注意して見ましょう。違和感のある話し方や単語の使い方をしている場合は要注意。その違和感はあなた自身とその会社の社風の間にある齟齬を意味しているかもしれません。

独特の言葉があることは決して悪いことではありません。アンテナを働かせて自分の言語感覚に合う言葉の使い方をしている会社=社風が合う会社を探してみてください。