• RSS

ワーキングマザーのリアル私達が今の両立スタイルにたどり着くまで

編集ライターS子(35歳)の場合:出勤と在宅勤務の混合で保育園からの急な呼び出しに対応

S子は29歳から都内の出版社に正社員として勤務。各種雑誌や企業広報誌などの原稿を書いたり編集をしたりする仕事をしていました。

31歳で第一子を出産。当時、夫が役者業をしていたため彼に「主夫」をしてもらい、1歳になるまではそのまま正社員として勤務。保育園の送り迎え、子どもたちの食事の世話は夫が担当していました。

その間も順調にキャリアを積み、長女が3歳になる直前に、ある雑誌の編集責任を任されることに。その場合、保育園の呼び出しなどで早退することが難しくなり、残業もさらに増やさなければとても対応できないことが目に見えていました。またプライベートでは、夫が役者をやめ就職することになっていたため、S子はもう少し家庭に軸足を置きたいと考えていました。

そこで、退職を覚悟で上司に相談。雑誌の編集責任はできないこと、その場合、会社に居られなくなるならば辞職することも仕方がないと思っているということを正直に伝えました。上司は、仕事を辞めることはないと即答。会社とS子で一番良い働き方を探そうと提案してくれました。

そこでS子は子どもの送り迎えができる「時短勤務」にするために、当時かかえていた全ての仕事とそれぞれにかかる時間をリストアップし、1ヵ月にどのくらいの労働時間が必要かを計算。また各業務が必ず出勤しなければできないのか、家に持ち帰ってできる仕事なのかどうかを区別していきました。

それはS子が「在宅勤務」をしたいと考えていたからです。S子の職場と保育園は離れており、子どもの体調不良で呼び出されてもお迎えに行くまでに1時間以上かかることが気になっていたからでした。

その結果、他の社員からのクレーム対策として(なぜS子ばかり勤務時間が自由なのか、など)、「契約社員」になりましたが、福利厚生は一般社員とは変わらず、平日5日のうち2回は在宅勤務、残り3日の出勤日も15時までの勤務時間となり、好きな仕事もやりながら、子どもとの時間も多くとれるワークライフバランスを手に入れることができました。

介護職K子(40歳)の場合:子育ての経験が生かせる仕事に満足

K子は12歳と10歳と7歳の母親。子どもが3人いて教育費がますますかかるため、一番下の子が小学生になったことをきっかけに仕事を探し始めました。そこで思いついたのが人手不足が叫ばれて久しい介護職。最初は人手不足なら簡単に採用されるかなと軽い思い付きで選びました。

まずはパートとして介護施設に就職。小学校の授業に合わせて平日の日中の時間帯に働くことにしました。そこでホームヘルパー2級を取得(現「介護職員初任者研修資格」)。介護職は施設利用者の食事の世話やおむつ交換、入浴の手伝いなど育児との共通点を発見。中には認知症の影響で暴言を吐いてしまう人もいますが、3人の子どものイヤイヤ期を経験しているので落ち着いて対処できています。

そういう仕事ぶりが評価されてか、職員から正職員への打診がありました。実務経験をさらに積めば介護福祉士、ケアマネージャーへステップアップできることから前向きに検討しています。

現在、パートを始めて1年経ちましたが、信頼を寄せてくれる利用者の方も増え、やりがいを感じています。子どもたちもそんなK子の姿を見てか、食器の後片付けや翌日の授業の準備をすすんで行うようになり、自分が働きはじめたことで子どもたちの成長を頼もしく思う日々です。

ネットショップオーナーM子(36歳)の場合:働くことで家族の絆が強くなった

22歳で結婚し、2人の女の子を出産して、ひたすら子育てに励んだ7年間。下の子が幼稚園に入るのをきっかけに、「何かしなきゃ」と考え始めました。それまで専業主婦だったため、夫が帰ってくるまで他の大人とは誰とも話をしない日が多くあり、社会から取り残されたような気持ちになることがあったからです。

取りあえず、身近に家で何かできないか…服飾関係の専門学校を出ているから手芸は得意だし…と自分ができることを並べて考え、自宅で子ども服屋さんができないかと考え始めました。そのために情報収集をしている最中、市の広報で「小さな店の女性経営者のための起業支援セミナー」を見つけ、即座に参加。話を聞いて、やるしかない!と思い立ち、初期投資が小さいネットショップを開業。

半年経った今、家族の絆がスゴク深まったことを実感しています。夫はパソコン関係の仕事なので、DMをつくってくれたりビジネス面でも的確なアドバイスをくれたり。甘えん坊だった娘たちも服のデザインを一緒に考えてくれたり、モデルになってくれたりと家族に感謝する日々です。

とはいえ、M子は家族に仕事であまり迷惑をかけたくないと、洋服づくりは朝の4~5時に起きて行ったり、子どもを寝かせたあとの夜9時から深夜までを作業時間にしています。でも自分の好きなことだから大変だとは思っていません。今はネットショップの他に実店舗も持ちたいという夢をもっています。