面接なんて怖くない! 新卒者のための面接突破対策
学生生活を送ってきた新卒者が、就職試験で特に不安をかかえているのは面接ではないでしょうか。
筆記試験を受けることには慣れていて、その対策にもそれなりに自信はある。ところが面接となると、一体どんな対策が必要なのかわからない、という人は多いことでしょう。
学校の入学試験とは違い、企業はクライアントから仕事を得て、成果を出すところです。
そのため知識が豊富なだけではなく、魅力的な人間性をそなえたひとりの社会人として、企業が投資に値する人物かどうかが総合的に判断されます。
ここでは、とかく学生にとって不安が大きい面接試験について、望まれる基本的な態度を紹介し、不安を「やる気」に変える対策を考えてみます。
面接試験の傾向
企業によって就職試験の方式はさまざまです。小規模の事業所などでは筆記試験を課さない場合もありますが、面接をしないで社員を採用するというケースは、一般的にはありません。
そのため、いずれの学生も面接試験にむけた対策は必須になるのです。
ただ、面接試験の方式にはさまざな種類があります。受験者が多い企業では、一次試験の筆記をパスした学生で、後日二次試験として面接が行われるのが一般的です。
その面接も、一度きりの場合もあれば三次面接まで行われることもあります。複数回行われる面接では、現場担当者や部課長、役員といった役職の異なる面接官と対面するケースが一般的です。
このような面接方式の場合は、回を重ねるごとに面接官が変わるのが普通です。そのため、現場レベルの専門的な話題から、社会人としてのビジョンにかかわる話題へと、意識を切り替えて準備する必要が出てきます。
いずれにしても、こうした面接の場合、事前に提出するエントリーシートをもとにして行われる傾向があります。
エントリーシートは、形式的には履歴書と同じようなものです。
ただ、所定の書式が配布され、それに記入するケースが多いでしょう。その場合注目したいのは、市販の履歴書用紙とどこが違うのか、という点です。
多くの場合、志望動機や自己PRの欄が多めにとられ、長めの文章で記述することが求められます。
また近年は履歴書とはまったく異なる独特の設問で構成されるものも増えてきました。
一般的な履歴書との違いを発見できれば、どんな点を重視して評価しようとしているのかを推察できるのです。
エントリーシートの特性を分析できれば、面接で質問されることになりそうなポイントも絞ることができます。
また、どんな人物が求められているのかも、エントリーシートの設問から透けて見えてくることもあるのです。
面接に臨む心がけ
面接がうまくいかないという新卒の学生に多くみられるのは、面接に臨む姿勢そのものが、学生特有の「受け身」になっているという傾向です。
授業を受けることに慣れている学生は、質問に正しく答えるという習性が身体にしみついているものです。
しかし就職の面接は、先生と生徒の関係とは違います。むしろ、自分という逸材を会社に売りにきた営業マンに近いというべきかもしれません。
つまり、面接を「受ける」という意識を疑ってこなかった人は、主客を逆転させたアグレッシブな姿勢を強く意識することが必要です。
志望の意欲は「聞かれるもの」ではなく「言わせてもらう」もの。その攻撃性が熱意を表現するのです。
学生という気持ちを卒業し、働き手となるべき自分を「商品」として扱う「ずうずうしさ」も、面接では必要といえるでしょう。
もし幸福にも内定がもらえたら、今度は数十歳も離れた人たちと一緒に仕事をすることになります。
わずか数歳違う人たちとの付き合いで完結していた学生の世界とはお別れですなのです。
とはいっても、背伸びをする必要はありません。自分とまったく違う人生を歩んできた先輩の話を素直に理解できるか。
そして、自分の考えをきちんと伝えることができるか。その単純なことを確認するのが面接なのです。
そのために、なるべく歳の離れた目上の人とコミュニケーションをとることが、面接の基本的な練習になります。
面接のスタイルにこだわる必要はありません。相手の考えを理解し、自分の考えを伝えることから始めましょう。
基本的なテクニック
話す「内容」で合否が決まる、という思い込みは、面接に苦手意識をもっている人の大きな誤解のひとつです。
企業の面接で注目されるのは、他の誰も経験していないよう特殊なエピソードではありません。
どれほど理路整然とした志望動機をかかげても、大切なのは「何を」考えているかよりも、それを「どのように」伝えるかというコミュニケーション能力なのです。
扱う商品がまったく同じでも、営業マンによって売り上げが大きく違うのは、相手に合わせながら「どのように」語るか、その方法に差があるからです。
そこで、必要になる基本的なテクニックとして身につけたいことがあります。
まずは、結論を先に話すことです。
理由や経緯を長々を語り出すと、相手はいつになったら知りたいことに到達できるのか、いらいらしてきます。まず、単刀直入に結論を述べ、次にその理由を説明するのです。
二つ目は、ごく短く語ることです。
とかく自分が得意な分野は話が長くなりがちです。また自信がない分野でも、それを隠すために言葉を重ねて説明してしまうものです。
複雑な考えをなるべく単純化して説明する練習が必要になります。
三つ目は、この二つのコツを、いわば「目次」にあたることを意識することです。
つまり面接官に、もっと中身を知りたいと思わせるのです。詳しく話したいことを隠し持っていて、その表題(結論)とサブタイトル(概要)でひきつけるように話し、面接官がさらに質問を重ねるように仕向けるのです。
ここで紹介した基本的なテクニックを身につけるには練習が必要です。
しかし、同年代の学生や、気心の知れた身内を相手に練習をしてもあまり効果は得られません。
なるべく世代が離れていて、なるべく共通の話題をもたない、会話しにくい相手が、面接の練習には適しています。
そのためには、就職エージェント会社が行う面接指導を利用するのが最も実践レベルに近い訓練になります。
また、日ごろから地域の人たちと話す機会を意識的にもち、相手に耳を傾け、自分の考えを伝える練習をしてみましょう。
学生の世界から一歩外に踏み出し、社会に関心をもつこと。それが、面接に臨む自分の心を鍛えるスタートになります。