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長所をアピールすることに気をとられていると失敗につながりやすい

就職活動の中で自己紹介をする場面は何度かおとずれます。エントリーシートであれば、納得するまで推敲し、書き直しができるでしょう。

しかし、グループ面接や個別面接など、自分の口で語らなければいけない場面ではそうはいきません。カチカチに緊張した中で原稿もありませんから、まさしく勝負の時になるわけです。

なんとしても自分の良さをアピールしたい――。しかしその必死さが逆に失敗を招いてしまうこともあります。

自己紹介は自分を売りこむ場ではない

自己紹介の場でよくやってしまう失敗の一つに『長所の売りこみ』があります。

  • 私はみんなをまとめていくリーダー的な役割を担っていました。
  • サークル活動を通してかなりの人脈をひろげることができました。
  • 私は社交的な性格で学内学外問わずたくさんの友達がいます。

緊張すればするほどこんな表現で自分の長所をアピールしようとする人がいます。しかし、上記のような表現は第三者に言われることで初めて効力を持つセリフだと気がついていますか?

  • みんなをまとめていくリーダー的役割を担っている、と思っていたのは自分だけの思い込みじゃないのか?
  • サークル活動を通して広げた人脈って、ガキの集まりがどれほど役に立つと思っているのか?
  • 自ら社交的と言ってしまう人間の言う友達というのは、果たしてどの程度のものなのか?

――意地悪なようですが、つまりはツッコミどころ満載というわけですね。第三者に言われてこそ初めて価値のある表現は、自分で使えばただ単に薄っぺらいだけです。まるで、売れたくて懸命になっている芸能人の売り込みのような印象を与えてしまうんですね。

必死さが滑稽に映る残念な例の典型とも言えます。自己紹介は自分のことを話していても、客観的な視点を忘れてしまうと確実に失敗のもとになることを忘れてはいけません。

長所を語ることに気をとられ過ぎて周りが見えていないと失敗のもと

あらかじめ自己紹介で話すことを必死に暗記してきた挙句、それを暗唱しようとするあまりに周りが見えなくなる…。こういう失敗も面接においては致命的になることがあります。

用意周到な人だと、与えられた時間によって30秒、1分、2分などバーション違いまで用意しているかもしれません。仮に完璧にそのセリフをスラスラ言えたとしても、重要なのはその後の面接官とのやりとりです。

面接官の質問とは微妙にズレた答えをしてしまう――。けっこう多いんですよね、こういうタイプ。質問されたことに対して答えていく、これは自己紹介と違って相手から投げられたボールを的確な位置に返球することです。

それだけに暗記してきた自己紹介とは違い、個々の力量が如実に出てしまうんですね。面接官がどちらを重視するかは火を見るよりも明らかです。

また、話し方にも大きな差が出ていることに気づいていない学生が多く見られます。一字一句間違えまいと暗記し、流暢に語り終えた自己紹介。ところがいざ質問が始まると自己紹介とは別人かと思うほど、稚拙な表現が混ざるその受け答え。

こういう展開はかなりの致命傷になる可能性が高いでしょう。自己紹介が流暢であれるほど、その後の粗が大きくクローズアップされてしまうのですから。

だからと言って自己紹介をたどたどしく話せと言っているわけではありません。要は、自己紹介では肩肘を張り過ぎずに自分が経験したことだけを話し、そこに自分勝手な評価を付け加えないこと。

そして、稚拙な受け答えにならないよう、普段から目上の相手と話し慣れておくことが大切です。たかがそれだけのことですが、一朝一夕で出来ることではありません。

つまり、付け焼刃の面接対策などというものはほとんど役に立たない、ということを肝に銘じておきましょう。