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就職する上で取得しておいた方がよい資格は簿記

就職する上で取得しておいた方がよい資格は簿記

よく、就職に有利な資格は何かと尋ねられることがあります。どんな資格でも持っていて損をすることはありません。しかし、逆に、資格を持っているということが即就職試験でプラスポイントになるかといえば難しいのが現実です。

なぜなら、資格だけを持っていても実務経験がない以上、あくまで、その人の潜在能力としての評価の域を出ないからです。が、その中でも特に取得しておいた方がよい資格があるとすれば、それは何でしょうか。

簿記について

民間企業に就職するのであれば、どのような職種であれ、簿記の資格は取得しておいた方がよいでしょう。なぜなら民間企業は当然ですが、利益を生み出すために日々活動をしていますから、必ず決算期に帳簿を集計して、企業の活動成果を評価します。

そのため、提示されるデータや資料の読み方が全くわかっていなければ、どのように反省して次の活動方針をどのように定めればよいかわかりません。

まして、自分が上司になって、部下に指示を出すのであれば、尚更、どのように指示を出せばよいのかわからなくなってしまいます。こうした理由から、会計に関する処理ができるようにしておくことが必ず自分にとってプラスになるのです。

ただ、ここで誤解のないように説明しておきますが、簿記と経理は似ているようでも違います。簿記の資格取得自体がそのまま経理の仕事につながるというものではありません。

ここでは、民間企業に勤務する者の一般常識として身につけておくべきであるという観点で簿記の資格取得をおすすめしているのです。

では簿記検定にはどのようなものがあるのでしょうか。最もポピュラーなものとしては日商簿記検定があります。

ほかに全商簿記検定、全経簿記検定などがあり、それぞれ処理の仕方などに若干の違いがありますが、ここでは日商簿記検定に照準を合わせて説明したいと思います。

日商簿記検定について

まず、日商簿記検定は4級、3級、2級、1級と分かれています。

3級と4級は個人商店を対象にしたもので、2級は株式会社を対象としたものです。そして1級は企業会計を理解し、経営分析や経営管理ができるようにするためのもので、公認会計士や税理士試験を受ける人にとっては登竜門といえます。

今、ここでは、一般企業への就職に必要なものという観点で考えますので、日商簿記検定3級と2級に照準を絞って説明したいと思います。

日商簿記検定3級

日商簿記検定3級は全て商業簿記ですが、ここで学ぶべきことは取引の基本、簿記の考え方、仕訳、そして貸借対照表や損益計算書などです。

よく、簿記3級を軽視する人がいますが、それは間違いです。簿記の技術習得はもちろんですが、手形、有価証券、有形固定資産など社会人として知っておくべき一般常識を学ぶという観点においてとても重要な段階なのです。

また3級取得のための学習期間ですが、一週間とか、極端な人は3日という人もいますが、検定試験に合格すればいいというものではありません。

簿記の基礎や考え方をしっかり身につけて、2級以降の学習につなげようと思うのであればやはり少なくとも1か月ないし2ヶ月はしっかり腰を据えて学習しましょう。そして簿記というものを様々な角度から見ることができるようになるまで勉強しましょう。

勉強の仕方として注意すべきは、よく簿記の勉強イコール仕訳であると勘違いする人がいますが、そうではなく、取引の中身をまず理解するということなのです。取引を理解できれば、自ずと仕訳もできるようになってきます。

問題を読んですぐに仕訳を書き始めるのではなく、必ず、流れ図を描いた上で、それをそのまま仕訳として書き写すというつもりで問題を解きましょう。

この流れ図を描くという作業は、3級だけでなく、その後の2級商業簿記、そして、特に工業簿記の考え方を理解し、問題を解く上でとても大切なプロセスとなるのです。

仕訳を中心に簿記をとらえている人は、2級工業簿記の学習をする際に大きな壁にぶつかってしまうのです。

・日商簿記検定2級

そして、3級を取得後は2級にチャレンジしましょう。2級は、商業簿記と工業簿記に分かれます。

商業簿記は、3級の延長線上で取り組みやすいでしょう。もちろん、取引の種類は非常に多く、3級の比ではありませんが、3級の勉強をしっかりやっていれば、2級の内容の理解もしやすくなります。

一方の工業簿記は、慣れるまでに時間のかかる人も多いですが、原価計算の仕方を学ぶ上では非常に重要な考え方なのです。

流れ図を自分で作成しながら、一連の経過を把握できるようにすることが、工業簿記を制覇するための第一歩です。特にメーカーへの就職を希望する人にとっては2級の工業簿記の考え方は不可欠といえます。

さて、こうして苦労して取得した資格は、履歴書に記載するためだけのものではありません。

試験に合格したらもう内容を忘れてしまったというのでは取得した意味がありません。就職してからも、簿記に関する知識や技術は絶えずブラッシュアップできるようにしましょう。

特に簿記の考え方や処理の仕方は変更されることがあります。いつまでも古い考え方しか知らないというのでは世の中についていけませんので、資格を取得したからといって油断しないようにしましょう。