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メリットやデメリットなど主婦になって考えるパートという働き方

主婦になって考えるパートという働き方

女性の社会進出といわれながらも、世界的にみれば女性の雇用環境は日本はまだまだ未成熟です。

そのため社会人となって仕事に打ち込んできたものの、結婚を機に退職する女性は今も少なくありません。

しかし、もともと仕事のスキルを積んだ女性ほど、子どもが大きくなり、育児から解放されたあとに、もう一度仕事をしたいと思うようになるでしょう。

そこで多くの女性に雇用の機会になっているのがパートという働き方です。

もっともその動機は、生きがいとしての仕事というより、経済的な理由が大きいといわれています。子どもの教育にかかる費用の助けにするための収入が必要になるからです。

ここでは主婦になってから始めるパートについて考えてみましょう。

パート勤務のメリット

パート、すなわちパートタイム労働者とは、文字通りの解釈としてはフルタイムの労働者の対義語になります。

正規雇用の社員とは違い、部分的な時間や期間に限って雇用される働き手を指します。したがって「アルバイト」も「パート」も厳密には違いはありません。

ただ一般的なイメージとして、パートは一定時間に限って仕事をしたいという主婦向けの働き口として日本では広く認知されてきました。子どもと家庭をもつ主婦が、正規雇用の社員として勤務するのは、少なくとも現在の日本ではなかなか難しいのが実情です。

その点、一般的な主婦にとって、部分的時間の労働という勤務条件がむしろ好都合である場合が多いのです。

第一の理由は、パートの仕事以外にも、彼女たちには子どもの養育や家事などと掛け持ちをしなければならないという事情があるからです。

子どもを幼稚園に迎えにいくまでの時間だけ働きたいとか、週に3日なら働けるといったそれぞれ家庭の事情があります。

フルタイムの社員となると、そのようなフレキシブルな働き方は困難ですが、パートを雇用している職場はそのような事情を調整してシフトを組むことを前提にしているのです。

パートが好都合である第二の理由は「稼ぎ過ぎない」ことにあります。

多くの場合、夫が主な稼ぎ手で、主婦の収入はその補完的な関係にあります。

その場合、主婦の年間の稼ぎが一定の額をこえると課税対象となり、あるいは夫の配偶者控除がなくなり、年金や健康保険の免除が受けられなくなってしまうからです。

そのため多くの主婦は、いわゆる「103万円の壁」をこえない範囲での勤務を望む傾向にあるのです。

こうした主婦たちにとって、融通の利くパート勤務はむしろ好都合な働き方といえるのです。

パート勤務のデメリット

しかしながら、フルタイムの正規雇用者との比較でいえば、パート勤務にはさまざまなデメリットも目につきます。

大きな点では、会社の業績が悪化すると真っ先に人員削減の対象になりやすいことがあります。

また、給与は時間給として決められていることが多く、賞与や昇給がないことが一般的です。

経営が順調に機能している限りは、労働力の提供と給与との関係はシンプルです。これは家族の副収入として働く主婦達には計画が立てやすいものですが、その反面、不安定な立場にあることも確かです。

また、多くのパート勤務は、補助的な仕事内容である場合が多く、スキルを身につけたいと考える若い年齢層の働き手にとっては満たされないと感じるかもしれません。

将来的に正規雇用の就職を目指す人には、経歴として評価されにくいという弱点もあるでしょう。

ただ、パート勤務といっても、その職場や仕事内容はさまざまで、必ずしも一般的なパートの勤務条件が当てはまらないケースも存在します。

中には企業の研究室のような専門性の高い部署で、特殊な業務を担うケースもあります。将来的なスキルという点では、本人の資質や職場の環境が大きく左右するといえるでしょう。

パート勤務として働く目的

パートタイム労働者として働く「主婦」たちの目的でもっとも多いのが、将来に向けた貯蓄、子どもの教育費にあてる「家計補助」という傾向です。

これは、最低限の生活費を稼ぐ目的や、趣味などへの支出を目的にしているというより、あくまでも家計の「補助」としてパートの働き方が選択されているといえるでしょう。

この傾向は、パートの主な働き手が子どもをもつ親であること、年間の収入額が103万円以内であることといった傾向がそれを裏付けています。

ただし、子どもが大きくなって手がかからなくなった世代の主婦たちは、生活のためというよりも、自分たちの生きがいを求めてパート勤務に従事している状況がみられます。

子どもの養育に手がかかる時期は家計にも時間にも余裕がなく、子どもが親の手を離れると、家計にも時間にも余裕が生まれます。しかし皮肉にも、余裕ができてから「働きたい」という意欲が湧くものなのかもしれません。

パート勤務としての働き方には、収入やスキルアップの面で厳しい条件が多い傾向にあります。しかし自分の適性に合った職場と出会うことができれば、生涯を通じて働くことの楽しさを満たしてくれることもあるのです。

日本全体の労働者の中で、パートやバイトなどの非正規雇用労働者の割合はゆるやかな増加傾向にあります。

特に顕著なのは、15から24歳の若年層であることは注目すべき点でしょう。

結婚後の主婦の働き口としてよりも、正社員になれないためにパートやバイトをせざるを得ない、いわゆる「不本意非正規」が増えていることを示しているからです。

この点については、正規と非正規の格差是正の必要性が叫ばれていますが、主婦層にとって、補助的な労働の機会が安定的に維持されることは大きな魅力であることは確かです。

職場の環境によって働き手のやりがいは左右されますが、歳をかさねても生きがいを見いだせる場として、主婦たちにとってパートという働き方は今後も必要とされると考えられます。