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異職種への転職に成功するには-経験の自己プロモーションが鍵

異職種への転職に成功するには-経験の自己プロモーションが鍵

終身雇用が当たり前だった昔と違い、現在では働き方次第で仕事を変える人も珍しくありません。

特に、新卒から入った会社を2~3年で辞めて転職する若い人たち、いわゆる第二新卒者も、就職戦線で相当な割合を占めるようになってきました。

そのような中で、現在のキャリアとは違う職種に移りたいと考えている人は特に慎重になってしまうのではないでしょうか。

仕事を辞めて未経験の分野に飛び込むのは、それだけリスクが大きいからです。

ここでは、未経験の異職種に転職したいと考える第二新卒者が、転職を成功させるために心がけるべきことは何かを考えてみましょう。

キャリアを上回る資質に賭ける

転職のケースにはさまざまありますが、その中でも「職種変え転職」は特にハードルが高いと考えられています。

たとえば食品メーカーから自動車メーカーへの転職は、「異業界」に移るという点で大きな変更に見えますが、同じ営業職という分野での転職ならキャリアは継続するのです。

ところがタイヤメーカーから自動車メーカーへの転職であっても、営業職を辞めて企画開発に応募するというのは、前職のキャリアがリセットされることを意味するのです。

企業側としては、もともとキャリアのない新卒者を採用するのとは違い、仕事を辞めてくる異職種経験者を採用することに、ある程度慎重になるのは確かです。

しかし、異職種経験者の採用に比較的寛容な企業や職種があることも確かです。事実、転職か社内異動かを問わず、新採時の配属から定年退職までの間に職種が一度でも変わったという人は非常に多いものです。

そこには、特定の職種に特化した専門的な技能や経験よりも、長い目でみた場合のビジネスマンとしての資質や人間的魅力を評価する、という会社側の意思が機能しているのです。

つまり両者を天秤にかけ、後者に投資する価値があると評価されることが、異職種への転職成功のカギになるといえるでしょう。

それだけに、転職前のキャリアがまだフレッシュである若い社会人ほど、成功のチャンスは高いと考えられます。

このことを踏まえた上で、転職先として希望している会社の採用職種が、未経験者や異業種経験者にどれほど寛容であるかを調査することが大切です。

募集にあたって問い合わせを受け付けているようであれば、直接担当課を訪ねて、率直に質問することも有効なアピールになります。

転職の動機は「経験」で語る

資質をアピールする上で、何よりまずしっかり固めておかなければならないことは、転職の動機です。

仕事を辞めてまで異職種に移りたいと考えるに至ったのはなぜなのか、その理由と職業観、人生設計を具体的に語ることが求められます。

新卒の学生は、社会人としての経験がないだけに、職業観についてはどうしても理想的な夢を語りがちです。しかし第二新卒者は、仕事をすることの意味や社会の常識を現実的かつ論理的に理解していることが前提になります。

この点が、新卒の学生の場合と決定的に違うところであって、単に異職種への転職に夢を描くだけでは不十分なのです。

その職種に求められる資質を分析し、自分がその仕事に就くことで会社の将来にどのように貢献できるか。また未経験者である自分には何が足りないかを冷静に自己分析し、それを乗り越える勝算を具体的に提示する必要があるでしょう。

この説明に説得力をもたせるには、具体的な経験からストーリーを組み立てるのが有効です。

たとえば、営業の仕事をしながら、クライアントの要望にかなった商品がないことに悩んだこと、それを克服するために考え、実践したクライアントへの提案などです。

異業種の経験はなくとも、現在の職種を精一杯こなしていることをアピールし、その結果として転職を決めた必然性を整理して語ること、それが説得力をもちます。

物事を現実的にとらえ、課題解決の具体的な対策をとることができるか、そしてそれを実践する行動力があるか。

このことを自らの経験を使ってアピールできれば、未経験者というハンディを上回る資質を評価してもらいやすくなるでしょう。

経験を使って自分をプロモートする

転職の動機をしっかり整理した上で、次に行うべきは、それをどのようにアピールするか、という方法論を練ることです。

その方法論が発揮される場面は、いうまでもなく面接試験と、そのもとになる履歴書やエントリーシートへの記述になります。そして、そのキモになるのが「経歴」と「志望動機」、「自己PR」といったテーマです。

ここで気をつけなければならないのは、現職で「営業担当」といった客観的な事実だけを書いて安心しないことです。「営業職で○○などを行う」といった具体的な実践経験を、可能な限り書き加えましょう。

そして、この○○の部分には、転職を希望している職種に少しでも関係する素養を選び出すことが大切になります。

同じ営業職の経歴でも、目的意識をもつことで違う表現になるものです。

たとえば「在庫管理の見直しを提案し、商品提供の効率化を実現した」と書く場合。これと「クライアントのニーズを集約し、メーカーに新たな商品開発の提案を行った」と書く場合とでは、ずいぶん印象が違うでしょう。

活用できる現職での経験を総動員して、未経験の職種に挑戦することにした必然性を随所でアピールするように慎重に配慮しましょう。

このように自己PRを慎重に組み立てるのは、自分の資質を客観的に分析し、相手のニーズに合わせてプロモートできることを表現することに他なりません。

経験が乏しいこと、苦手なことを隠して事実と違う内容を演出するのではありません。

現実を直視して課題を乗り越えることができることを論証する。それが、異職種への転職にチャレンジする人に求められる資質になるのです。

転職を決意するだけでも、初めての人にはかなり大きな精神的ストレスになります。それが異職種への転職となると、さらに大きな賭けになることは間違いありません。

それだけにリスクを避けて結局あきらめる人も多いものですが、実際に成功して活躍している人たちがいることも事実です。

企業の採用傾向は、景気の動向や少子化の流れが複雑に関係して変動するものですが、職種や会社の事情によって、難しい時期もチャンスの時期もあります。

チャンスを逃さないように、職種ごとの詳細な情報分析を怠らずに、つねに準備しておきたいものです。