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英語の資格取得は必要?学習目的から考えるスキルアップ

英語の資格取得は必要?学習目的から考えるスキルアップ

さまざまなビジネスシーンで、資格の取得を目指す人が多い代表的な分野は、やはり英語関係の資格です。英語の能力は、特定の分野に限らず、外国とのコミュニケーションが発生する場面で必要不可欠なスキルだからに他なりません。

その英語関連の資格というと、一般的には英検やTOEIC、TOEFLなどが広く知られていますが、実はこれだけに限らず、民間資格や公的資格など実にたくさんの種類の資格が存在するのです。

例えば、国際公務員試験に必須になる「国連英検」、留学に必要な「IELTS」や「SAT」など、主要なものを数えただけでも数十種類は存在します。

こうした英語関連の資格を取得するための学習の意義について、最終的な「目的」と照らし合わせて考えてみましょう。

意外に知られていない専門分野の英語資格

英検やTOEICなどの資格取得に挑戦する上で、その受験者の本業が何であるかは問われません。留学や移住に必要な英語も、その人の業種や専門分野とは関係なく、英語を使いこなすための一般的な能力を検定するものです。

こうした一般的に知られている汎用の英語検定試験に対して、ある特定の業種や有資格者を対象にした専門分野の英語の技能試験や資格試験も存在します。

例えば、特許翻訳の従事者が受験する知的財産翻訳検定、産業分野では工業英語能力検定という試験もあります。

また、旅行・観光業に従事している人が国際的な業務に就く際の足掛かりになる観光英語検定試験、会計業務に従事する人の国際会計検定、アメリカでの医療従事者に求められるCGFNS(看護師)やUSMLE(医師)などがあります。

英語資格を取得する目的を明確に

このように、英語の資格と一口に言ってもさまざまな種類の検定試験がありますので、資格取得をめざそうと考える人は、まずはその本来の目的を明確にすることが必要です。

例えば、自分が就きたい仕事やポストがあって、そのための必要条件として資格を取得する必要があるのか。あるいは、仕事で海外との取引があるために実務的なスキルを磨きたいのか、それとも、国際関係の仕事に就きたいために有利になる資格を取りたいのか。

そのような自分の目的をはっきり自覚して初めて、チャレンジするのにふさわしい検定試験を見定めることができます。

例えば、英語を使うことを生業とするプロの翻訳家や通訳者ともなれば、現実の仕事上で、こうした資格の有無はほとんど関係しません。

狭い意味での英語の資格を持つことよりも、古今東西、森羅万象、さまざまな知識を貪欲に吸収し、母国語を軸とした豊かな言語表現を磨くことでこそ、能力を高められるという世界だからです。

つまり、「資格の取得」そのものが、自分の目指す仕事に不可欠なのかどうかをよく考えて、その上で、自分の夢の実現に本当に必要な努力に時間を割く必要があるでしょう。

具体的な資格取得が目的の場合

就職や転職の試験で、あるいは海外事務所への異動にあたって、会社がTOEICなどの一定のスコアを条件にしているケースもあります。また、現在専門的な職種にあって、さらに国際的な場での活躍をめざして検定試験を受けることになるケースもあるでしょう。

このような、取得をめざす資格がすでにはっきりしている場合は、WEBサイトなどで情報が流通しているので、勉強の対策をたてることは比較的容易です。とりわけ一般に日本人が苦手なリスニングに関しては、タブレット端末や携帯電話が発達している昨今、通勤時間を利用して学習時間を確保する人が非常に増えています。

ただし、そのような英語能力の向上が、業務の上で必要不可欠なものである場合、業務としての研修を認めている企業や自治体も実は少なくありません。したがって、あわてて先走る前に、まずは会社の研修制度や手当の支給制度をよく確認してみるとよいでしょう。

スキルアップが目的の場合

具体的に求められているわけではないものの、就職や昇進に有利と考えて、英語検定の資格取得をめざす人も少なくありません。また、自己啓発のためにチャレンジする人も多いでしょう。

このようなスキルアップを目的にした人の場合は、あらかじめ取得する資格が定まっているわけではないため、たくさん存在する様々な資格の種類の中から、自分のレベルや目的に合ったものを選択することになります。

ただし、このようなケースの勉強は、スコアの点数や試験の合格そのものが最終目的ではない、ということを見失わないように留意することが重要です。

一時的な猛勉強で高スコアをマークしたとしても、「ツール」としての英語を使いこなす意義をしっかりもっていなければ、時間がたつにつれて、身体的な経験値は失われていくものです。

英語のスキルを磨く努力

英語の資格取得を目指す人の数は非常に多いのが現状ですが、さまざまな資格取得の道の中で、英語は特殊な分野だということは認識しておく必要があります。

それは、専門的な能力やスキルという性質のものではなく、あくまでも、その能力を国際的な舞台で発揮するための「ツール」にすぎないからです。

日本の社会で、日本語だけが出来る人が戦力にならないのと同じように、英語だけに磨きをかけても活躍の場があるわけではありません。

ある分野で秀でた人が、英語ができなくても世界で活躍している人がたくさんいます。英語のスキルを磨く努力は、自分の職種の専門性と人間性を鍛える日々の努力と両輪で行うべきものといえるでしょう。