• RSS

時代も変わってきた!国際化に対応出来る英語力向上と指導法

英語教員の英語力はどれくらい必要?

ここ数年、教員採用試験において、英語教員は英検準1級かTOEIC730点以上の英語力が求められています。私もずいぶん前にこれらを受験し、クリアしました。しかし、高い英語力を持っていること、教え方が上手いこととは違います。

英語のことわざに、"To know is one thing, to teach is another."という言葉があります。私は最近、この言葉の意味を痛切に感じています。英語教員の英語力アップや指導力向上を目指す研修会はたくさん開かれています。しかし、高校に入学してくる肝心な生徒の英語力は年々下がっている傾向にあります。アルファベットもまともに書けない生徒も多くいます。

現在の中学校の通知表は、昔のように相対評価ではなく、絶対評価になっています。5段階では、1はまず付きません。本人の努力次第で3にも4にもなるのです。私の勤務校では、スポーツの指定強化選手で入学してくる生徒が8割います。他の教科もそうですが、学力的には中1レベルの生徒も多くいます。結局、教える側と学ぶ側のギャップが大きくなっているのは確かです。

英語の授業を英語で行う秘訣とは?

最近、文科省の通達で、「英語の授業は英語で行う。」というのが、高校でも中学校でも原則になっています。ベテランの先生ほど嫌がっています。若い先生ほど海外留学経験も豊富で英語も流暢な発音で普通に話すことが出来ます。

「英語の授業は英語で。」という言葉を一般の人が聞くと大変だなあと感じる人が多いと思います。私自身は英語で授業を行うことにあまり抵抗がなく、逆についにそういう時期が来たという感じでした。というのは、私が研修で行ったマレーシアやタイ等は英語の授業はもちろん、数学等の教科も英語で行っています。

日本の高校教科書レベルは、マレーシアやタイ等では小学生レベルです。私が現地で日本文化を英語で説明しているとレベルの低さに恥ずかしさを感じたくらいです。マレーシアの高校生は中華系の家庭も多く、英語、マレー語、中国語の3ヶ国語を話します。とてもじゃないですが、日本の高校生は太刀打ち出来ません。

英語の授業を英語で行うには、コツがあります。すべて英語で通そうとするからしんどいのです。その学校の生徒のレベルに合わせて、例えば、指示は日本語、リーディングの練習やペアワーク、グループワーク等の活動を英語で行えば良いのです。

指示まで完璧に英語で行おうとすると、生徒は何をしたら良いのか分からず、お互い戸惑ってしまいます。いくら教員に英語力があったとしても、いかに分かりやすい英語を使って、ゆっくりはっきり、幼い子供に話しかけるような感じで英語で指示をする必要があるのです。

これが意外と難しいことなのです。それと、板書においては、ダラダラ和訳のような日本語を書くのは厳禁です。生徒は何でもノートに書きますから、これでは国語の時間になってしまいます。あくまで頭に英語を残すことがメインですので、たとえ単純な単語を覚えさせる活動であっても、日本語を見て、英語を書くことに徹することが大事なのです。

私も今まで色んな英語教員研修に参加し、モデル授業も見てきました。レベルの高い公立高校では英語ディベートや英語でグループ発表をしているところもありました。当然、先生の指示も英語です。先生のこんな英語の指示だけで、生徒はよく動けるものだなあとつくづく感じます。

多分、発表用に何度も練習しているのと、国際コースに在籍している生徒の英語力も英検準1級レベルだそうです。見栄えは素晴らしいですが、こんな優秀な生徒ばかりいる高校は氷山の一角で、大半の高校は、英語よりも日本語を多く使う授業になっていると思います。この現状をこれからどういう風に変えていくかが、その学校の英語科の方針と組織力だと思います。

英語資格試験受験は失敗を恐れず、気楽に!

私の勤務校では年々英検受験者が増えてきました。私の勤務校の場合は、準2級、2級の受験者が多いです。生徒には「受験しろ、勉強しろ、これをやったら点数は取れる。」等、教員はよく言っていますが、教員自身も資格試験に挑戦する必要があると思います。費用は掛かりますが、自己研鑽のためにも、生徒への指導のためにもどんどんチャレンジすべきだと思っています。

最近、私自身も趣味感覚で積極的に受験しています。少々点数が悪くても仕事がクビなることも無いですし、TOEICは年10回も開催されています。自分自身の英語学習の課題が見つかります。リスニングが弱いと思うと、CNNの英語番組も集中して聞くようになるし、速読のスピードが必要だと思えば、英字新聞も時間を決めて、集中して内容把握に努めます。英語教員は他の教科の教員と違い、絶えず英語を使う環境にいることが大切なのです。