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やりたくないクレーム対応・・・本気で取り組み信頼回復例

営業マンにとって、最も辛い対応は「クレーム」ではないでしょうか?筆者自身も30年の営業歴の中で会社に大損害を与え、逃げ出したくなる様な大クレームを3度程経験しました。しかも、相手は会社の大きな取引先だったのです。

どうやって解決したのか?今回はその時のクレーム対応をご紹介します。

それは単純なミスからはじまった

当時の筆者は30代の営業マン。法人営業を担当し、バリバリ活躍する社内でもトップクラスの実績を上げていました。クレームの相手企業は誰もが知る企業。(A社とします)電話回線を使って、A社の端末に日々データを更新しています。その数全国に数万台。筆者はそのインフラネットワークのコンサルティング営業でした。

ある日A社の担当者から、ある端末をインフラネットワークから外す様に指示されたのです。その日は奥さんの誕生日でレストランの予約をしていて早く帰る予定でした。本来ならオーダーは自分で記入するのですが、レストランの予約時間も迫っている事もあり事務員に指定された端末の解除を依頼し、レストランへ向かいました。

レストランで食事をしている最中、携帯電話が鳴りました。A社の担当者からです。

「全国の端末が全くデータの更新ができなくなった」

それは、A社が提供しているサービスが停止している事と同じです。「すぐに会社に戻り原因を調べます!」レストランの食事は途中で辞めて、すぐ会社に戻りました。原因はすぐに分かりました。

オーダーを依頼した事務員は全ての端末をネットワークから解除していたのです。

すぐにA社の担当に原因を報告すると・・・当然「激怒」です。「すぐに復旧させろ!」「もうお前のところには頼まない!」「どう責任をとるんだ!」そう責められました。いつも穏やかなA社の担当者とは思えない暴言がどんどん出てきます。

「ここから逃げ出したい・・・」「夢であってほしい」そんな気持ちになります。間違ったオーダーをかけた事務員への恨みにも似た気持ちになりました。

原因は自分自身

社内の技術者へ連絡し、復旧作業を始めました。この時間は21時。何度もA社の担当者に連絡を取っている内に、「A社の担当者も上層部に報告するのは辛いだろうな。」そう感じ始めA社へ訪問しました。

A社の担当者の怒りは収まっていませんが、正直に自分がオーダーを入れず事務員に間違って伝えた事を詫びました。1時間ごとに進捗状況を携帯電話で確認し、A社の関係者へ報告します。少しづつ復旧した端末が増えるごとに歓声が沸きました。

まるで違う会社なのに、チームで活動している様な気分になりました。そして翌日10時に全ての端末が復旧しました。

クレームは相手の立場を考えて

ネットワークの復旧後、あらためてA社の関係者全てにお詫びをし、日を改めて上司と一緒に謝罪に伺うと伝えたところ、A社の担当者が「いやぁ~、5年かけて作り上げたネットワークを君は一晩で復旧させたね。おたくの会社の神業を見せてもらった。他社ではこうはいかない。」あれほど罵声をあげていた担当者が言いました。

この1件以来、筆者と担当者はもちろん、A社と会社の信頼関係はさらに厚くなり共同でサービスを開発していく事となります。

筆者の慢心から引き起こしたクレーム。「自分の責任だ」と思わなければ解決しなかったでしょう。クレームの解決方法にヒントがあるとすれば・・・

  • 現実から逃げない

  • 原因をつきとめ再発防止策を伝える

  • 相手の立場で考え、心から詫びる


クレームを出さない事が重要ではありますが、発生するものです。解決しないクレームはありません。クレームは自分自身を見直し、成長するきっかけとなります。クレームが発生した時は果敢に立ち向かって解決してください。