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ブラック企業の経理で働いた実録体験と求人に見る特徴

とある中小企業に5年ほど経理として勤めていました。社員は常時70名ほどでしたが業界では大きい方で、年商5億を売り上げる制作会社でした。

好景気時代

最初の2~3年間はとても景気がよく儲かっていて4~5年勤めれば平均して40万円から50万円の月給がもらえます。

残業や休日出勤も多かったですが、業務自体は待ち時間が多く、DS等のゲームをやったり漫画を読んでもOK。性格にあっている人には居心地が良い職場でした。

社長もいい人で、個人の自由を尊重し規律などはうるさく言いません。一度居場所を作ってしまうと 長く居座ってしまうらしい。ともかく、ブラックとは程遠い、善良な会社でした。

もちろん、途中で入社してきた人の中には、「残業は多いし、みんな勝手なことやっているしで合わない」と言ってすぐに辞めてしまう人もいました。上司に怒られて辞めてしまう人もいました。

そういう人に限って「あの会社はブラック企業だ!」とよそで言いふらしたりして仕返しをしたり。そんなことは多少ありましたが、社長の人柄で丸くおさまっていたようです。

リーマンショックによるリストラ

そんな会社も、リーマンショックの波を徐々に受けました。仕事は減りませんでしたが値引きさせられて、忙しさは前と変わらないのに売り上げばかりが落ちていく、いわゆるデフレ不況。

特に「利益は社員に戻したい」という社長の人柄上、もともと給料の割合がかなり高く、同時に社会保険料の支払いもかなりの額に。銀行からも改善を求められ、リストラして3分の2にするようにと指令を受けたそうです。

「リストラ対象者を選ぶことはできない」と「給料一律30%カット」の道を社長は選びました。社長自身は随分前から必要最小限の給料しかもらっていなかったようです。

リストラの結果

当然、若くて仕事が出来る社員から辞めていきました。普段は業務などしない年配社員も必死でパソコンを覚え夜遅くまでかかって作業しましたが、給料は減ったのに人手不足でものすごく忙しくなりストレスも限界。追い打ちをかけるように給料延滞が増えていきました。

給料が半分しか支払われない日が続き、年末の給料では一人5万円ずつという悲惨な状況に陥ってしまいました。ストレスを抱えて 持病が悪化してくる人もどんどん出てきました。辞めるのも職活地獄、会社に残るのも地獄という状態だったのかもしれません。

ブラック企業への道

未払金が膨らみ、何人かの社員は結束して退職願を出し、労働基準監督署に訴えてきました。私も何度も労働基準監督署に出向き代表の代わりに交渉しました。

訴えていた退職者とは和解が成立し、未払金は1年かけて返済しましたが、その分在職社員へしわ寄せが来てしまいました。それでも仕事はたくさんあり、とにかく仕事を入れないと返済できないからと仕事はたくさん取ってきていました。

今の人員だけでは仕事が回らないからと新しい求人をハローワークで募集し、最低賃金で働いてもらっていました。このころ入社した人はさぞかし驚かれたことでしょう。まさにブラック状態です。

こんな状態が1年以上も続いていたわけですから周りのベテラン社員たちもピリピリしています。職場環境は最悪と言ってよいでしょう。数週間でやめてしまい、未払金請求の裁判を起こす人もいました。

それから1年余りで会社は破産手続きに入り、残った主力の社員は新会社を作ってきれいな状態で会社を始めました。

面接前に十分な事前調査を

様子がおかしい会社は面接の時にわかります。試用期間中にもわかります。「受かりたい」ということばかりに取られず、会社をチェックするつもりで面接を受けましょう。

面接者の人柄だけでは分かりません。むしろブラックほど面接官の人柄はよく、面接ではその人の入社を熱望してくれます。帝国データーバンクなどで情報を調べるのも方法です。

中小企業だから悪いとも言いきれません。大企業でも人減らしによる酷務はよくあります。リストラが激しい会社ほど 非公式などで求人を出してます。良い会社に巡り合うには運にもよりますが、十分な調査と観察をし確立を高めましょう。