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勤勉ビジネスパーソンかブラック企業の虜か、それが問題だ

最近巷でよく聞かれる「ブラック企業」という言葉。ネットで検索すると、信じられないようなエピソードがあふれています。

しかし、中には「それくらいはどこでもやってるのでは?」なんて話があるのも事実です。

結局同じ状況でも、社員の感じ方によってブラックであったり、そうでなかったりするグレーゾーンが存在するということです。これは、その個人の耐性や経験に基づくものだと思われます。そして、世の中には、ネットで言われるような激しいブラックエピソードまでいかなくても、十分ブラックと思われるような過酷な状況と言うのは存在します。

ある建設コンサルの話

雑誌の編集などをやる仕事が、会社に寝泊まり当たり前みたいな過酷な状況なのは有名ですが、建設コンサル業界も負けず劣らず過酷な環境だそうです。下請けがメインの建設コンサルの社員が、クライアントから要求されたデータをようやくまとめて、夜中の1時過ぎにメールで送ったところ、その1時間後には返信が来てた…なんて話はよくある話だとか。

大元の発注者が自治体だったりする関係上、年度末にかけて忙しくなり、それこそ1月から3月までの間は戦場のような状況が続くそうです。毎日徹夜かのような時間まで作業し、土日出勤が当たり前…1年中そうではないにしても、何とも過酷な環境ですね。

あるシステム関係の一流企業の話

コンピューターのシステムなどを構築するのが仕事のこの会社も、建設コンサルに負けず劣らず過酷な環境です。大きな物件を任された社員たちは、納期に向けて何カ月も走り続けます。毎日のように終電で帰り、必要とあらば土日でも出勤することになります。

一流企業だけあって、任される物件の受注金額も半端じゃなく、それは社員たちにもの凄いプレッシャーとなって襲いかかります。ある優秀な社員などは、その優秀さゆえに大きな仕事を任され、やっと納期を乗り切ったと思った矢先に、他の炎上している物件の助っ人に回されたりしたこともあったとか。

二つの企業に共通すること

最初の建設コンサルも、次のシステム関係の企業も、ネットで話題になるようなブラック企業では、けっしてありません。しかし、そこに属する社員たちは、とにかく過酷な状況に追い込まれてしまいます。

共通しているのは、どちらも納期がある仕事だということ。その納期に間に合わせるために苦しまなければならないのです。さらに、どちらの社員も会社に「クビにするぞ!」などと脅されたり強要されたりしているのではなく、納期を守るために自主的に遅くまで働いているのです。

そして、入社当時は仕事人間ではない人たちも、経験を積むことで仕事に責任を持つことの重要さを知り、物件を任されるようになると、いつの間にか仕事人間になっているのです。

こうなってしまえば、企業にとってはしめたものです。特に強要しなくても、社員たちは深夜まで働いてくれるのです。しかも、「あまり残業するなよ」と言っておけば、自主的に残業をしてないことにしてくれたりもします。

「残業代は出さないからな」と言えばもちろんブラック企業認定ですが、社員が自主的に残業申請しないのであれば、それはブラックではありません。帰りにくい雰囲気、残業を申請しにくい雰囲気、有給休暇を取りにくい雰囲気、この「雰囲気」によって、ブラック企業じゃないにもかかわらず、社員たちが疲弊していくわけです

もちろん「そんな企業はブラック企業だ!」と言えるのかもしれませんが、そこで働いている社員たちは、必ずしも自分の会社をブラック企業だとは思っていないのも事実なのです。

人生に必要なものは

最近の若者の中には、出世も望まず、収入も暮らしていけるだけあればいいという価値観の人がいるとか。価値観は人それぞれですから、どれが正しいとか間違っているとか言う判断はできないのかもしれません。

仕事が生きがい、仕事大好きという人なら毎日深夜まで働いても問題ないでしょう。しかしそうでない普通の社員たちには、生きるために仕事をするのであって、仕事のために生きているのではないでしょ、と言ってあげたいです。

もちろんお金がなければ生きていけませんから、仕事は大事です。しかし、健康を害してしまって会社を辞める羽目になったとしても、会社はそのあとの面倒まで見てはくれないということは、忘れないでいてください。