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英語、使ってます?国内企業における「仕事英語」の実情

楽天、ユニクロ(ファーストリテイリング)、の社内公用語の英語化は有名だが、この2社以外にも部分的な英語化は、日産、SHARP、SMK株式会社、日本板硝子などで進められている。

求人情報の採用条件を見れば、TOEICのスコアを具体的に掲げている企業は相当な数だ。ママたちは0歳から子どもを英会話教室に通わせ、文部科学省も小学生5・6年生で英語を必修とした。

確かに英語が社内公用語となれば、会議・社内文書・社内イベントすべて英語となる。楽天では昇格の条件としてTOEICのターゲットスコアが設定されている。しかし、リクナビNEXTが2012年に一部上場企業1000人を対象に行ったアンケートでは、業務で英語を使う機会があるか、との問いに61.4%が「ない」と答えている。

enパートナーズ倶楽部が2010年に行った、中小企業も含めたアンケートでも、英語が必要な業務はあるか、の問いに49%が「ない」と回答。今後必要になる可能性についても、「ない」「ほとんどない」を合わせて52%に上った。また英語が必要な業務があっても、その割合については、「1割未満」が54%となった。

これを見る限り、英語力が生かされる機会がどの程度あるのか疑問もわいてくる。業務に必要ないのに、何故企業はTOEICスコアを基準に採用するのだろう?企業の見栄が背景にあるのではないか、と指摘する声もある。ハードルを高くすることで、自社のブランド感を高める効果を狙っているということだろう。

また、英語を使う業務内容としては、「英文で書かれた文書の読解」が31.2%、「英文でのメール交換」が21.3%であり、「英語でのビジネス交渉」は7.2%、「英語でのプレゼンテーション」は9.3%となっている。つまり「会話」より「読み書き」を必要とする場面の方が多いようだ。採用条件を満たすためにTOEICのスコアアップを目指すのは仕方ないとしても、英会話教室に通う必要があるかどうかは考える価値のある問題だ。

結局のところ仕事ができることと英語ができることとは違う。英語だけが堪能でも仕事にはならない。楽天の三木谷社長によれば、ビジネスでの英語は1000語で足りるという。とすれば、本当に必要になった時に始めても遅くはないのではないだろうか。今必要に迫られていないのなら、英語以外のスキルを磨いておくのもひとつの戦略かもしれない。