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ランチミーティングを薦めない理由3~自発的な仕事の話の重要性

前編では会社にとってのランチミーティングのメリットを、そして中編では社員にとってのランチミーティングのデメリットをお話してきました。

もちろん、ランチミーティングがうまく作用すれば、社員にとって考えられるデメリットを打ち消して、会社にとってのメリットを抽出することもできます。しかしそれには、高いマネジメントスキルや自由度のある采配が必要となります。安易に導入するのは考え物です。

ところで、普段からランチは職場の同僚と一緒に取ることにしており、ランチを取りながらの話題はもっぱら仕事のことである、という人もいるかと思います。職場の同僚と話す場合、仕事は共通の話題ですから、特に意識せずとも自然に仕事の話になることも多いでしょう。

特に仕事上の問題を抱えている場合は、それについて話してしまいがちです。そういう人にとっては、ランチタイムを同僚と仕事の話をして過ごすことに対してあまり抵抗はないでしょう。しかしながら、ランチタイムに仕事の話をすることとランチミーティングとは、決定的な違いがあります。

ランチミーティングは上からの押し付け、参加者に参加するかどうかの選択の自由がない

自分が選んだ同僚と、自分が選んだ店に行き、自分が選んだメニューを食べながら自分の意志で仕事の話をする、そこにはきちんとあなたの判断が存在しています。しかしランチミーティングは上司やリーダーから押し付けられて開催されるものであるため、「今日は仕事の話っていう気分じゃないな」というときでもその話を終わらせることはできないのです。

ランチタイムに仕事の話は、同僚との自発的な会話の流れで生まれるものである。

また、ランチタイムの話題に仕事の話を選ぶとき、「さあ今から仕事の話をしましょう」なんて仕切りはありません。その場にいるお互いがなんとなく仕事の話をしたいという気持ちになったから仕事の話をするわけで、その時の気分がスポーツなら野球やサッカーの話になるかもしれませんし、子供や妻のことなら過程についての話になるかもしれません。

つまり、仕事の話になったとしてもそれは単なる雑談の一環です。雑談ですから、いつ話題を打ち切ってもいいし、もちろん結論が出なくてもいいのです。それは責任も何もなく、気楽で楽しい会話です。一方それがミーティングとなると、必ず伝えなければならない伝達事項や、結論を導かなければならない検討事項など、気楽に話せない内容も含まれてしまいます。

このような違いがあるからこそ、ランチタイムは法に定められた休憩時間として心と体をリフレッシュするのに用い、ミーティングには工数をケチらず、作業時間を充てるようにしたほうが、結果的に社員が長く勤めあげることができるのではないでしょうか。

ランチミーティングのすべてを否定するわけではありませんが、もし軽い気持ちで導入を考えているリーダーの方がいらっしゃいましたら、本当にランチミーティングの必要があるのかを今一度考えなおしていただきたいものです。