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朝礼は時間の無駄?上司側と若手で対立する朝礼の存在意義とは

あなたの会社では「朝礼」は行われているだろうか。始業時に部署ごとに集まって、現在の成績、今後の目標、今日の予定が共有され、上司からの訓示が付いてくる。

かつては、どこの会社でもみられる風景だった。しかし、情報がメールなどで共有されるようになったこと、フレックスタイムの導入で始業の時間が揃わなくなったこと、などから朝礼を廃止する企業も出てきた。

シチズンホールディングスが2012年に新社会人への意識調査を行ったところ、無駄に感じる時間として「朝礼」が21%でトップだった。新人に限らず、朝礼を不要と感じる若手は多いようだ。理由としては「上司の訓示が長い」「スローガンの連呼に意味があると思えない」「その時間を仕事に充てたい」「スピーチさせられるのが嫌だ」などを挙げている。

一方朝礼を廃止した側の上司達は、なんとなく出社して、なんとなく仕事を始める風景に、物足りなさや不安を感じるようだ。「顔を見て声を聞いてこそ、組織としての団結が強まる」「情報共有だけが目的ではない」と朝礼の効能を改めて説く。

そんな中、個性的な朝礼で注目を集めている企業もある。全国にチェーン展開するある飲食店の朝礼は、外部から多くの見学者を集めている。朝礼時間は15分。内容としてはスピーチ、ナンバーワン宣言、あいさつとハイの訓練、最後に店の目標を宣言と一本締めとなる。これだけみると、それほど特異とは思われないが、実際の様子はかなり濃密だ。

スピーチはその日ごとにテーマが用意され、参加者がいっせいに挙手し、司会者が最も意欲的な参加者を指名する。「スピーチ」はチャンスであり、そのチャンスを自分の手で掴め、というメッセージが込められている。話し終わると拍手と肯定的なコメントが送られる。

ナンバーワン宣言では、参加者全員が何らかの点において「世界一」に「なる」宣言をする。挨拶の練習では、早いテンポで営業中に必要となる挨拶が唱えられ、全員で復唱する。常に大きな声で、元気に、高いテンションで進んでいく。

あまりにもテンションが高く、初参加の見学者は圧倒されるだけなのではないかと感じるが、「感動した」「次回からはもっと積極的に参加したい」「自分の職場でも同じような朝礼をやりたい」などの感想が出てくる。

このようなハイテンション型の朝礼に対し、ローテンション型の朝礼を工夫している企業もある。都内にあるコンサルティング企業では、テンションの代わりに「感謝」を中心に据えた朝礼を行っている。元気よくしかし大声にならないようにし、一緒に働いたスタッフに感謝する内容のスピーチをする。

規律正しくするために、開始時間を厳守する、姿勢を正すなどの細かいルールもある。急激な効果ではないが、感謝し感謝されることで、少しずつ社内の雰囲気がよくなっていったという。

情報の共有だけならメールで可能だからこそ、スタッフ全員が顔を合わせる機会を大切にし、効果的な時間とする工夫が必要なのかもしれない。