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社内で営業の立場が弱いと衰退する?営業部隊に発言権を!

あなたの会社はどちらでしょうか?技術肌の製造現場が発言のイニシアティブを持っており、営業が虐げられている会社でしょうか?それとも営業に発言のイニシアティブが有り、製造現場は営業の言いなりになっているのでしょうか?理想の社内体制を紹介します。

とある製造業の会社の話です。その会社はお客様からのオーダーメイドで高性能パーツを作っています。まず営業がお客様の所へ行き、お客様から図面を渡されて、「この部品を作りたいから見積もりを下さい」と依頼されます。

そして社内工場の製造現場と打合せをして、作れるかどうかを検討し、製作可能であれば予測制作時間チャージから見積もりを出します。他社も同様に見積もりを提出するので、その中から入札となります。

製造現場がイニシアティブを持つと

そんな中で、知識を持っている製造現場はどうしても発言のイニシアティブを持ってしまいがちです。お客様のニーズに対して営業が答えようとしても、知識の乏しい営業は製造現場に頼らなくてはならなくなります。社内営業を行う必要が出てきて、更に製造現場の強い発言権に拍車をかけてしまう事になるのです。そうなると営業は製造現場に頭が上がらなくなってしまいます。

この例の製造会社では、製造現場の日々の業務が営業よりも優先され、レスポンスが遅くなったり、加工時間に余裕を見すぎて見積もりが高くなったりしました。お客様のニーズにも、競合の落札価格にも、全く合わない自社目線の状態に陥ってしまったのです。

営業の逆襲

しかし、営業は知恵を絞りました。実はこの会社、工場の限られたキャパシティーから、売上全てを社内の製造現場で賄う事が出来ていなかったのです。約3割を外注先に依頼していました。社内工場に入りきらないものを外注先へ依頼する、という構図が完成していたのです。営業達は、時間がかかる社内工場との調整を嫌って外注先への依頼を増やしていったのです。

顧客からの質問に対して、社内工場に質問をすると、この部分の知識をもっと付けなさいとか、加工法をもっと覚えなさいなど、製造現場視点での回答が返ってきて、場合によっては、1度自分で考えてラフなパターンを出してから、もう1度質問してくるように、などという回答が返ってくる始末。回答を待っている顧客目線ではなく、自社目線のやり取りが続いていたようです。

一方、外注先に質問をすると、当然こちらがお客様になる訳ですから、丁寧で親切な回答が迅速に返ってきます。その内容で営業は知識を付けながら、客先へ迅速に回答をする事の両立が出来た訳です。

結果的に、社内工場の稼働率よりも外注先への注文の方が上回るという、経費のかかる現象が起こってしまいました。反面、回答が迅速で、市場に合った価格を提案出来たために売上は伸びました。営業の売上が伸びているのにも関わらず、社内工場の稼働率が下がるという事態に、経営者は憤慨しました。

社内体制の変更

そのような事態を受けて、皆でアイデアを出し合い、社内工場も外注先と同様に相見積もり制度に変更となりました。営業が仕事を取ってきて、それを社内や外注先に相見積もりをかけ、その中でレスポンスや価格に応じて客先に見積もりを提出するという方式に変更したのです。

それによって、井の中の蛙だった社内工場は市場価格を知ることが出来、その価格に合わせるために加工時間を短くする工夫をしました。営業へのレスポンスや対応が悪ければ稼働率が下がるために、営業に対してきっちりと対応をしました。

その対応のお陰で更に営業は効率的に仕事が出来て、売上が伸び、社内の稼働率を上げる事となりました。まさに全社一丸となった取り組みに変わったのです。

しかし、今度は営業がイニシアティブを取り過ぎて、お客様に言われるがまま社内に質問や依頼をする事になり、営業力が低下しました。そこで、経営者は今までルートセールス主体だった営業に新規営業の司令を出し、営業を鍛えました。こうして、営業と製造現場の力関係のバランスが取れたのです。

この会社と同様の事がホームページ制作会社にもありました。最初は制作する部署が力を持っていましたが、営業が外注に振りだして、制作物が社内に回らなくなってから営業の言葉を聞くようになりました。

今度は営業が大きな顔をするようになりましたが、変化の激しい市場で淘汰されて丁度良いバランスとなったのです。売る人と作る人を抱えている会社で働く人は、是非ご参考にされ、御社での理想のバランスを模索して下さいね。