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手書き履歴書は日本特有で非合理的という言い訳は己の首をしめるだけ

履歴書は手書きの方がいい――。これは就職活動においてはわりとよく言われることだと思います。それに対し、「手書きの履歴書は非効率的でナンセンス」という反対意見を耳にしたことはありませんか?その理由としては以下のようなものが挙げられます。

  • 手書きは面倒で書き間違えた時の修正に手間がかかるから。
  • 海外の多くは履歴書をパソコンで作成しているから。
  • 筆跡だけでその人の性格など判断することはできないから。
  • 字が上手いからといって仕事ができるとは限らないから。

……まあ、おおよそ、こんなところでしょうか。言いたいことはわからないでもありません。確かに、履歴書を一枚一枚手書きで作成するのは、かなりの労力を使いますから。しかし、基本的な部分にたち返って考えてみたいと思います。そもそも、いったい何のために履歴書を作成しているのでしょうか?

履歴書は何のため、誰のために提出するものなのか?

履歴書は、就職活動において自分が入社したいと希望する会社宛てに提出するものですよね。『私は御社への入社を希望するこれこれ、こういう経歴の持ち主です、どうぞお見知りおきください』――そう書面で自己紹介をしているわけです。それなのに、相手が見てどう感じるかではなく、自分が大変だからパソコンで作成するのですか?

「だったら、相手が読みやすい分手書きよりパソコンの方がいいじゃないか!」そんな反論が聞こえてきそうです。まあ、そうですね。確かに手書きの文字より印字されたものの方が読みやすいことは確かでしょう。ただし、あくまでも読んでもらえれば、の話ですが。

印刷された年賀状の中で、一言手書きメッセージが書いてあると、ついそこに目がいきませんか?そして、それ以外の印刷されたところはせいぜい名前ぐらいしか確認しません。

印刷された履歴書にも、実は似たようなことがおきていることに気がついていますか?さすがに名前しか確認しないというわけではないでしょう。しかし、せいぜい学歴と免許欄ぐらいにざっと目を通すといったところでしょうか。

もちろん、二次、三次となってくれば話は別です。しかし、ごまんと集まる最初の応募段階ではどうでしょうか?印象に残らない履歴書がするりと手元を通り過ぎていっても何ら不思議はありませんね。

何も採用担当者は手書き履歴書の筆跡鑑定をしているわけではない

こういう字を書く人は、こういう性格をしていることが多い――。手書きの履歴書だとそんなふうに判断されてしまうが、それは迷信だから無意味だ、という意見があります。しかし、採用担当者は手書きの履歴書を見て何もプロファイリングをしているわけではありません。明らかに使いまわしをしている雑なものや、どう見ても書きなぐったと思われる文字には不快感を示すでしょうが…。

よく、自分は字が下手だから手書きより印字したものを使います、という人がいます。これは大きな勘違いをしていると声を大にして言いたいと思います。履歴書というものは、例え字が下手であっても丁寧に書こうとした心意気は伝わってくるものですから。相手が読めないほど字が下手だからと言い訳をしますか?それは、はっきり言って履歴書云々とはまた別のところに大きな問題があることに早く気づきましょう。

海外のスタンダードは印字されたものだという意見もありますが…

確かに、海外での履歴書は圧倒的に印字されたものが多いでしょう。アルファベットをタイプする歴史は、日本語をタイプする歴史とは100年以上も差がありますから。外資系の会社に英語のレジュメを提出するのであれば、印字で作成した方がいいと思います。

しかし、日本の会社に日本語の履歴書を提出するのであれば、そこだけをとって海外を引き合いにだすのはやめておきましょう。場合によっては履歴書を作成するのが面倒なことの言い訳に聞こえてしまい、自分の首を絞めることになりかねませんから。

海外に比べて日本は…、などという議論は切羽詰った就活の場面では何の意味もありません。もしも、就職を希望する日本の企業が「履歴書を手書きするのは非合理的だ」と言っているのであれば、当然パソコンで作成するべきです。相手が望む形を事前に酌み取ることは、社会人として求められる資質でもあるのですから。当然のことながら、臨機応変に対応するべきでしょう。

履歴書を手書きしようが、パソコンで作成しようが、それは個人の自由です。ただし、面倒だからという理由のくせに、手書きの履歴書は合理的ではない、などと言い訳をすることだけはやめておきましょう。