【お仕事図鑑】SE（システムエンジニアー）への就職を考えるなら
システムエンジニア＝SEという職種は、IT産業の目覚ましい発展とともに今や一般的な仕事の一つとなった。
今回は某企業にていくつものプロジェクトを手掛けてきた現役SEのKさんに、SEとはどのような仕事なのか、またSEになる為にやっておきたいことをインタビューしてみた。
現役SEに聞く！SEってなんですか？
SEというと、何かのシステムを作る人…。漠然としたイメージしか持てない不勉強な筆者にもわかるように説明してもらえますか？
「SEというのはおおまかにシステムを設計する人、そしてそのプログラムを作成する人に分けられます。」
作るシステムは多岐に渡るものの、業界ではシステムの設計をする仕事を上流、システムをプログラミングする仕事を下流と呼ぶそうだ。上流では客先の要望を元にシステムの設計を行い、下流でシステムの作成、動作のテスト等を行う。
わかりやすく説明するために銀行のATMを例に挙げてみよう。まず客先である銀行と「どのようなシステムがATMに必要であるのか」を上流であるプロジェクトマネージャーが打ち合わせをする。その内容を元に必要なシステムを設計していくのだ。
ATMのTOP画面には「預金」「引き出し」などいくつかの項目が用意されている。ここでは「引き出し」を選んだとしよう。引き出しをタッチパネルで押すと、カードや通帳を挿入するように促す指示画面に移行する。カードや通帳を認証すると、銀行口座にアクセスして残金の確認、引き出す金額の処理を行う。
これらのシステム上の設計を行うのが上流のお仕事。もちろん客先が提示した予算内で、要望に沿ったシステムの作成、人員の確保を行わなければならない。それらの企画を含めたものとなる。
そして上流から届いた設計図を元にシステムを実際に作っていくのが、下流と呼ばれるプログラマーの仕事だ。ホームページを作成する過程を考えてもらえばわかりやすいかもしれない。一つ一つのページの作成をし、それらを設計図に沿ってつなげていく。完成したら次は動作確認だ。もちろんシステムにミスがあれば修正をしながら、設計図通りの商品を作り出す。
動作不良を出すことなく、いかに正確に、リアルタイムで作動するシステムを作成するか。大きな仕事では指揮官であるプロジェクトマネージャーが数人いる中で、設計の辻褄が合うように綿密な連携を取りながらの作業になるという。
ちなみに気になる初任給の相場は上流の場合、２０万前後。下流の場合は２０万弱程度だという。休日は会社や納期により多少の変動はあるものの、基本的には客先に合わせた休日となるため、土日祝日は休みの職場が多いそう。繁忙期には目をまわす程忙しい時もあるようだが、概ねプライベートの時間は確保できそうだ。
特に上流の職種に関してはKさんが所属しているような大企業での働き口も多い。福利厚生もしっかりしていて、堅実な職業に就きたいと考える人にとっては大きな魅力といえるかもしれない。
SEとなる人が目指す先。それによって必要なスキルとは？
ではSEになりたい人が、やっておいた方がいいことってありますか？
「その質問は会社訪問に来た学生からもよく出ますね。それはまずSEとなって自分が目指す先を見据えてからの話になります。」
先ほどSEは「上流」と「下流」と呼ばれる職種に分けられると紹介したが、上流の場合目指すのは「プロジェクトマネージャー」。下流の場合「スーパープログラマー」を目指すことになる。
「スーパープログラマーを目指す場合には、HTMLや専門的な知識がある方が有利かも知れませんね。ただし入社後の研修や実務を通して成長していくことができるので、最終的には知識の吸収に対する貪欲さ、真摯な姿勢が必要となるでしょう。」
意外なことに始めからプログラミングにさほど精通していなくてもいいらしい。それはプロジェクトマネージャーにも共通しているという。「プロジェクトマネージャーを目指す場合、システムに関する知識は研修でみっちりと教え込まれます。それよりも大切なのはコミュニケーション力です。」
プログラムマネージャーはシステムに関して専門知識のない客先の話を聞き、何が要望であるのか汲み取りながらシステムを設計しなければならない。また完成度の高いシステムを構築するためには、組織の中で物事を正確に伝達することが必要不可欠である。コミュニケーション力がなければお話にならないのだとKさんは語る。
「ですから学生さんには時間があるからこそ沢山のことを経験して下さいとお話しています。どんな職種であっても重要なコミュニケーション力ですが、様々な物を見聞きし、自分の糧にすることで伸ばすことのできる能力ですから。」
当然システムに関しての知識は入社後詰め込まなければならないが、まずは就職の為に「コミュニケーション力」を磨くことをおススメする。
