１年間で同期が半分？テレアポ業界、離職の現状について
テレアポ、という業界を知っているでしょうか？テレアポとはテレフォン・アポインターの略ですが、簡単に言うと、電話接客業です。
企業の通話者から電話をかけて、案内や営業をするのが、アウトバンドと呼ばれ、カタログや通販番組を見て客がかけてきた電話を受けるのがインバウンドと呼ばれます。
どちらにせよ、コールセンターと呼ばれるところで一日中電話通話し続ける仕事です。この業界における離職率、どのくらいかご存知でしょうか？ここでは、筆者が実際に見てきたテレアポ事業をやっている企業をベースにお話します。
業界全体での離職率は23％前後との噂？
テレアポ業界の離職率は、全体で23％前後だと言われています。アウトバンドとインバウンドのコールセンターでは、おそらく離職率も異なるでしょう。筆者が見たのはアウトバンドのコールセンターですが、新卒の離職率は1年でなんと、30％強でした。全て正社員です。ちなみに、アルバイトも含めた1年の離職率は65％でした。さらに、5年目の正社員の離職率は、80％とのこと。
確かに退職する社員は1年、3年目が多いので、5年後に残っている社員は少ないのかもしれませんが、それにしても、同期が1年で3分の1、というのは驚きの数字です。しかしそれも、コールセンターの業務内容によります。
アウトバンドで電話をかけ、「今お時間空いていますか」とアポをとり、上の人に交代するだけの業務のコールセンターと、1ヶ月以上営業研修を受け、自分で最初から最後まで電話営業をするコールセンターでは、離職率も大きく異なります。
交代するだけの業務はある意味楽なので、楽で給料がもらえればOKの人にはもってこいですが、やりがいはあまり期待できません。反対に、1から10まで営業電話をかけるコールセンターでは、契約をとれた際の達成感は感じられますが、1日中契約をとる為に電話をかけ、時には理不尽なクレームを受けることもあり、ストレスは溜まります。
契約がとれるならアルバイトで十分
アウトバンド業務の場合、大抵は歩合制です。契約がとれればとれる程、当然ながら給料は上がります。正社員ならば固定給にプラスして歩合で賞与がもらえますし、アルバイトは時給にプラスで賞与です。
契約があまりとれない人で、フルタイムでないならば、正社員の固定給の方が上です。しかし、契約が一定以上とれ、かつ、そこそこ長時間のシフトを組むならば、アルバイトの方が得です。正社員がどれだけ働いても固定給なのに対し、アルバイトは時給制なので、契約のとれない正社員の給料を時給換算すると、アルバイトの時給の方が上であることが多々あります。
若い人が、今後長くフリーターとして働く場としては、スキルアップも大して望めないし、そこそこ契約が取れるレベルの人では、他に時給の良い仕事をした方が良いでしょう。
おそらく、一番得なのは、お小遣い稼ぎ程度にパート感覚で働く主婦層の方々でしょう。一家の生計を立てる為の収入源のメインは、大半の方が夫の給料。そして自分達の稼ぐ給料は、あくまで家計の助けになるサブ的な目的と、自分達の娯楽用のお小遣いです。
アルバイトは基本が時給制なので、収入を増やしたければ、仕事に出る時間を増やせば良いし、契約が一定数以上取れれば、賞与金も受け取れます。短時間で効率的に契約を取れる人が一番得をします。
一方、正社員はどれだけ契約を上げても、賞与は出ますが、常にフルタイムで働いているので、拘束時間が長く、時給換算すると低い傾向にあります。また、特殊なスキルを必要とする職種でもない為、大したスキルアップも望めず、転職しようにも武器がないことも多いようです。
3年働けば耐えた方？実際のところこの仕事は・・・？
全てのコールセンターで共通かどうかは分かりませんが、筆者が見たコールセンターの社員が言うには、「3年ここで続けば、すごい。耐えた方に入る」んだそうです。一般的には、最低3年というにも関わらず、業界の離職率の高さを物語る言葉です。
一日中電話をかけ、あるいは受け、ひたすら笑声で、営業・案内をする。時には苦情や、理不尽なクレームを受け、陳謝する。もちろん、苦情だけではなく感謝の言葉や、楽しい雑談をする時もあります。要は、これらを給料が貰えるなら楽、と考えるか、割に合わないと考えるかです。
お小遣い稼ぎ程度や、副業としてなら割に合わないことはないでしょう。クレームを受けて不愉快な思いをすることはあるかもしれませんが、責任はそのコールセンターの責任者である正社員がとってくれます。
一方で、正社員としてあるいは若いフリーターの方がメインの仕事として働くには、割に合わない仕事かもしれません。もちろん、下積みとして入り、フリーターなら途中で正社員に転向し、リーダーなどその企業あるいは同業種でステップアップするなら悪くない仕事でしょう。
