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志望理由が「早く仕事を任せてもらえる」ベンチャー、その本当の意味は?

就職活動でベンチャー企業を受けようと思った、あるいは受けた人はいるでしょうか。就職支援サイトの募集要項を見ると、多くのベンチャー企業が「実力主義」「早くから仕事を任せます」「昇進が早い」などと記載されています。

実際、ベンチャーを選んで受ける就活生も、「早くから仕事を任せてくれる」ところに魅力を感じているからでしょう。言葉そのままの意味としては間違っていないでしょうが、本当にその意味を理解してベンチャー企業を選んでいる人はどのくらいいるのでしょうか。

そもそもベンチャー企業って?

ベンチャーはもともと冒険という意味です。本来、ベンチャーというのは、新しい事業や分野に冒険していく、ということ。つまり、ベンチャー企業というのは、新しい事業を興す会社。簡単に言えば、ここで言うベンチャー企業は、設立されて日が浅い新しい会社ということです。

新しい企業では、人材やスキルが不足していたり、まだ制度や方針などが確立されていなかったり、収益が未確定で、殊更不安定だったりします。大手企業では当たり前に存在している福祉や教育の制度がきちんと制定されていないことも珍しくない。最初の数年は特に、何でも屋のような仕事をすることが多いでしょうし、逆にどの分野もできないと、仕事が回らないなんてことも多々ある場所です。

ベンチャー企業を選ぶ学生

さて、そんな不安定要素満載のベンチャー企業。そこに飛び込みたい、という就活生は毎年少なくないのではないでしょうか。彼らの志望動機は何か?大半の就活生の答えが、「成長できるから」「早く責任ある仕事を任せてもらえるから」というもの。本当にそうなのでしょうか。

間違ってはいません。大手企業では営業部、人事部、情報管理部、などと分野別に分けられている職種も、1人でいくつか掛け持ち状態になることが多いのです。仕事量も多く、当然、否が応でもスキルアップはするでしょう。

責任ある仕事だって、半年後には任されて当然です。なにせ、人材が不足しているのですから、任せないと手が回らないのでしょう。しかし、これは本当にベンチャー企業だけの特権なのでしょうか?

結論から言えば、違います。大手企業は、新卒を採用したら、まず研修があります。期間は会社によって異なりますが、長いと1年くらいでしょうか。新人の為に、長い時間と多大なコストをかけて、研修を行ってくれるのです。それが、成長に繋がらないと言えますか?

ベンチャー企業が求めてる人材とは?

一方で、ベンチャー企業が求めている人材はどんな人なのでしょうか。大手と違って、長い時間も、多大なコストもかけられません。そんなベンチャー企業が求めるのは、即戦力。だからこそ、責任ある仕事を半年後には任せるのです。

では、即戦力とはどんな人なのか?ずばり、あらゆる分野において能力が高い人。営業でも経理でも管理でも、複数の分野で活躍できる人が望ましい。経験値があると尚良し。あれ?それって、大学を卒業したばかりの新卒に求めるの?って思った人。悪い事は言いません、ベンチャー企業はまたの機会、転職時にしましょう。即戦力が求められるということは、それ相応にキツいということだけは覚えておきましょう。

つまりベンチャー企業は!

一般的に、大手からベンチャーへの転職は可能でも、逆は難しいとされています。というのは、大手やそこそこの中小企業では、新卒にきっちり研修をつけて、ビジネスマナーから考え方までを教育するわけです。

一方、ベンチャーではそんな余裕はない(ことが大半)なので、とりあえずこの仕事ができればOK、というスタンスです。そして、その為かベンチャーは若い人の割合も高いし、学生ノリが非常に強い。研修がないに等しいので、また、自分で自分を成長させるような管理能力がないと、かなり厳しいです。

大手で教育を受けた人は、ベンチャーに中途で入る事が容易いですが、中途採用には新卒研修などはないので、逆はかなり難しいということです。もう少し言えば、ベンチャーに行きたいなら、大手の研修を受けて、2、3年働いてから転職するのが一番ベストでしょう。

もちろん、きちんと考えた上で、それでもベンチャーでやっていく自信と能力があるならば全く問題ありません。学生ノリもそうですし、個人主義でやっていける職場なので、それが合う人もいます。ですが、成長が早いだとか、責任ある仕事を任されるとか、安易な考えで飛び込むのは、無謀だということだけは、覚えておいて下さい。