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「企業」という組織で働くということ。フリーで働くということ

書店のビジネスコーナーに行くと、ここ数年、フリーランスについての本が増えてきたように感じる。

あるいは話題としてとりあげられている。フリーで働くということは、組織で働くことと比べて、どのようなことなのか。

雇用されない、自由にやれる、と言えば聞こえはいいが、営業や経理、仕事のスケジュール管理など全てを自分で回さなくてはいけないのは、かなり大変だ。ではなぜ、こんなにもフリーランスが提唱されているのか。

フリーランスという働き方とは?

フリーランスとは、会社という組織に身を置かず、個人として仕事をする働き方。会社に入れば普通、どの仕事をする場合にも、◯○社の誰々、と会社名が前面に出される。例えば、1人が取引先と揉めたり、仕事を失敗したり、あるいは成功したとして。それらは全て、会社に責任の所在や評価の的になる。時にはそれが、有利にも不利にも働く会社名だが、フリーの場合には、それがない。自分の言動の全てが、自分「個人」の名前に対する責任・評価になるということだ。

また、会社に属していれば、部署や役職ごとに役割があり、自分の分の仕事だけをこなせば良い。一方、フリーで働くなら、自分の仕事に加え、その仕事をもらう為に営業をしなければならない。人を雇わない限りは経理も自分でしなければならないし、事務作業なども全て自分1人でやることになる。一方、会社員ならば定められている始業・就業時間や、上司部下などの人間関係、服装など。フリーならばこれらからは解放される。

フリーランスのメリット

フリーランスのメリットとは、①時間に縛られない、②場所に縛られない、③仕事内容に縛られない、ことだろう。

①の時間について。これは、暇な時間が増える、という意味ではない。フリーになった場合、生活できる収入を得ようと思うならば、そんな時間は全く取れないこともある。ただし、会社に時間を決められているわけではないので、納期などを守りさえすれば、いつ仕事しようが、休もうが構わないのである。趣味や旅行の為に長期間の休みが欲しければ、仕事の受注や納期の調整次第で可能になる。

②については、フリーランスの人々にはノマドと呼ばれる人が多い。ノマドとは、もともと遊牧民という意味で、今はオフィスではない様々な場所で仕事をするスタイルのことだ。ネット環境と、ノートパソコンやスマートフォンの普及で、どこにいても仕事が可能になった。会社員でなければ、自宅やカフェなど様々な場所で仕事をすることができる。

③については、当然といえば当然だが、自分1人で回す仕事なので、内容には縛られない。会社ならば、いくら仕事を任されていても、最終判断は全て会社の方針によって決定してしまう。しかし、フリーならば自分の決定が会社の決定。どんな仕事を受けるのも、こなすのも自分の意思で決めることができる。

フリーランスのデメリット

では逆に、デメリットを挙げてみよう。①仕事が入ってこないリスクがあり、収入が不安定、②仕事に波があり、生活が不規則になりがち、③責任の所在と保障の無さ、あたりだろう。

①は、当然自分で営業をして仕事をとってくる必要があるわけだが、上手く行かずに仕事がない、というリスクを常に抱えている。前職などのツテで始めは仕事があってても、他の仕事が一向にとれなかったり、最初の仕事が切れてそれっきりだったりする。すると当然、収入も不安定になる。会社員のように一定の収入はない。

②について、スケジュールの調整次第だが、少なからず受注の多い時期と少ない時期があり、納期までが短い仕事や、ダブルブッキングしてしまった場合は、かなりハードなスケジュールになる。徹夜になることもあるし、決まりが無い分、きっちりとした休みの日もない。

③は、上でも述べたように、個人として仕事をするようになるので、誰も庇ってくれない。責任は全て自分にあるし、次に仕事をする場合にも、前の仕事の評価が大きく影響する。そして、会社という後ろ盾がないので、税金や貯蓄の管理も全て自分でやらねばならないし、国民年金になるので将来の年金受取額も下がる。

それでもフリーが良いなら

上で挙げたように、フリーランスというスタイルは、メディアが持ち上げるような華々しい働き方というわけではない。リスクも大きい。だがしかし、それでもフリーになりたい人は大勢いるし、なって良かったと思う人もいる。

では、フリーで成功するには?これには、前もって入念な準備が必要だ。フリーになる前に、会社員として実績を積み、人脈を作り、自分だけの専門性を得る必要がある。今は多くのフリーランスを目指す為のノウハウ本があるので、大変なリスクがあっても挑戦したいと言う人は、詳しく調べてみてほしい。多大なリスクはあるが、人によっては、確かに有意義な働き方だ。