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セキュリティ重視のメール管理術・2 メーリス活用

「コンピューターウィルスに感染してホームページ改ざん」「ファイル交換ソフトを悪用されて機密情報漏えい」「セキュリティホールをつかれて顧客情報流出」等々、情報化社会において情報セキュリティに関する事件は多く発生してきました。

その結果、社会でも情報セキュリティに対する問題意識は非常に高まっており、一つのセキュリティ事故が会社のイメージを一気に失墜させるようなことにもなりかねません。特に「きちんと対策すれば防げる」ような内容の事故に対しては世間の目は非常に厳しく、うっかりミスで済ませることは最早できません。

本シリーズでは全5回にわたり、メール管理に関連するちょっとした工夫をお伝えします。個人レベルで少し気を付けるだけで、うっかりミスなどによるセキュリティ事故を防ぐことが出来るかもしれませんので、あまりきちんとメールを管理していないという方がいらっしゃったらぜひ取り入れてみてください。第2回は「メーリングリストの活用」についてです。

複数のアドレスをまとめて登録しておくことで、いつも同じ人たちにメールを送りたい場合に逐一全員分のメールアドレスを指定しなくてもよい便利な機能、メーリングリスト(以下メーリス)。プロジェクトのお知らせなどをするときに、設定漏れや抜けを防ぐためには非常に有効で、送り間違いや連絡漏れを防ぐのにとても有効です。しかし、メーリスは、便利で簡単なものであるため、うっかりミスも起きやすいという問題があります。活用する際に注意すべき点を以下に上げますので、定期的にメーリスのメンテナンスを行って、ミスが発生しないようにしましょう。

メンバー更新はしっかりと

一度メーリスを作成すると、ずっとそのメーリスを使い続けるという人もいるかもしれません。しかし、そのメーリスのグループに新たに追加される人がいたり、あるいは無関係になって外れるべき人が出てきたりするのは当然のことです。

例えばプロジェクトのメーリスであれば、プロジェクトに新規に加わる人がいれば、その人も追加してあげなければいけません。また、プロジェクトから外れた人がいれば、メーリスからもその人はすぐ外すべきです。

(よくある事故の例)

ある日プロジェクトリーダーがプロジェクトのメーリスを利用して、メンバーに周知したい情報を一斉に送信しました。そのメールには、次回プロジェクト会議の予定や、新しくお客様側のキーマンとして加わった方の個人情報(名前・所属部署・連絡先メールアドレスおよび電話番号等)が記載されていました。

後日、プロジェクト会議が開催されたのですが、下請け会社として発注しているP社担当が来ていません。リーダーがP社担当であるBさんに連絡を取ったところ、Bさんからは「プロジェクト会議があるという連絡は受けておらず、今は自社におります」という返事でした。

実は下請け会社のP社で配置換えがあり、担当者がAさんからBさんにかわっていたのですが、メーリスのメンバー登録を修正していなかったため、お知らせメールは今までの担当であるAさんに届いていたのです。リーダーはBさんにお知らせ漏れをお詫びするのはもちろんのこと、Aさんにもメールを削除し、お客様側のキーマンの情報を口外しないように改めて依頼するなど、その後の対処に追われました。

このように、メーリスの事故としてよくあるのが、「古いメンバーが登録されたままになっていて、不要な情報を知らせてしまった」というものです。今回の例では内々に処理することで特に問題はありませんでしたが、場合によってはその情報が悪用されて大きなトラブルになることもあります。要員に変化があったら、その都度対応するようにしましょう。

メーリスのグループ名はわかりやすく!

メンバー管理をしっかりすることが一番ですが、さらに補足として、どういう人がメンバーに含まれているのかが一目でわかるようなグループ名をつけておくとなおわかりやすいでしょう。

観点としては、「社外の人がいるか/社内メンバーだけか」「上司やリーダー、社内別部署が含まれているか/実務担当者だけか」のように、知らせる情報のレベルに差がある場合や敬語表現等のレベルが異なる相手が含まれているかどうかがわかることが目安となります。グループ名の頭に[社外][上司]などを添えておくだけで間違いは激減します。

メーリスを使っての間違いも多いため、会社によっては使用を禁止していることもあります。禁止されている場合は勿論使用してはいけませんが、そうでない場合はうまく活用すれば便利なツールであることに変わりはありませんので、トラブルが起きやすい上記の観点に特に注意するようにして、しっかり管理するようにして、上手く利用していきましょう。