• RSS

楽しく仕事していますか?「働く」ってどういうことなのか?

私の友人の話である。以前は精肉店の社員として働いていたが、経営者である店長に理不尽な責任を負わされ、またその店長の暴力により心身ともに疲労してしまい廃人のようになってしまったところを救ってくれた、ある中小企業の社長がいた。その社長は彼の本来の姿が回復するのを待って、自分の会社の社員にした。まず復帰直後に社長が言った。「仕事は楽しくせなあかん」。

もちろん仕事には苦労はつきものである。努力も必要である。しかし仕事に望む気持ちは楽しくなければお客さんが逃げていくというのだ。確かにそうだ。暗い弱気なセールスマンから誰も商品を買おうとは思わない。気が明るく、楽しそうな人から買いたいと誰もが思うはずである。

その後彼はとんでもない行動に出た。営業で持ち歩くアタッシュケースにクリアホルダーを貼り、社長が毛筆で書いた「楽しく仕事してますか?」の紙をクリアホルダーに挟み込み、道行く人に目立つように堂々とカバンを持ち歩いて営業したのである。

彼曰く、「罰ゲームさせられているのですか?」と言われたこともあるらしいが、彼はそれを今では全く意に介さない。逆にそれをネタに、全く知らない人と3分以内で打ち解ける技を身につけたのである。彼はこう言う。「今の日本、よっぽど楽しく仕事している人おれへんみたいや。みんな病人みたいやで」と。

しかし我々は、今まで楽しく仕事をしたことがあるだろうか?ほとんどの人はそんなことも考えず働いていることであろう。私も楽しく働けたと言えば僅かな期間でしかない。しかしよくよく思い出してみると、楽しく仕事していた時期というのは、確かに誰かの役に立っており、仕事に充実感を覚えていた時である。それでは最近そんな仕事をしているかと言えばそれはNOである。

何か年々ギスギスして来てきたような気がしてならない。この当たりでもう一度働き方を考え直す必要があるのではないかと思い始めた。何か人の役に立ったり貢献できる事はないかと思うのである。

人生を全うできる仕事を見つける事が中高年に最も必要とされるのではなかろうか。かと言って、最もお金が必要となるのがこの時期である。住宅ローンに教育費。今の生活を維持するには我慢を続けるしかない。それでも我慢しすぎて壊れてしまうと元も子もない。

今は大変難しい時代である。しかし、こんな混沌とした時代だからこそ楽しく仕事をしなければならないような気がする。少し生活のランクを落としても、お父さんが楽しく仕事をしている姿を見せるのが子供にとって一番の教育ではないかと思うのである。楽しく仕事をすること。これは働く者にとって永遠の課題である。