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役に立つ「就職浪人」にならないための豆知識アラカルト

就職活動に失敗すると、いわゆる就職浪人になります。来年までの1年間、再び就職活動をすることになるわけですが、現役よりもハンディが大きいことは否めません。

では、就職浪人にならないための策はあるのでしょうか。ここでは、就職活動でのちょっとしたアイデアやアドバイスを紹介してみますので参考にしてください。

就職ガイドなどを見ていると、自己分析に関わる記述がよく目にとまります。自分に何ができるのか、自分とは何か。具体的に書き出していくと、大学時代の専攻やゼミ、クラブ活動、趣味など多岐にわたって書いていくことになります。さらに、自分の性格や体力、知力などの総合的な評価をしなければならないことに気づきます。

しかし、すべてを書き尽くせたところで、自分の何が分かるのでしょうか。ここで普通は、分析を中止してしまうものです。ところが、さらに分析をするいわゆる自己分析パラノイアと呼ばれる種類の人たちは、分からない自分を探すために就職浪人してしまうケースがあります。

自分とは何かを探すために旅に出る人たちの気持ちは、分からなくもありません。バックパックを背負って旅に出ると、さまざまな人たちとの出会いがあります。助けられたり、助けたり、そこには、ドラマがあります。

自分のしてもらったことで嬉しかったことは、他の誰かが同じようなケースで困っているときの手助けになり感謝されることにもなるでしょう。そのことを学ぶことは、価値のあることです。しかし、それで自分が何者か、という答えは見つけられません。自分の深層心理を知ったところで、次へのステップに行き着くわけがないからです。

エントリーシートには、自分は何者かという設問はありません。企業の欲しがっているものは、使える労働力です。あなたが商品だとして、エントリーシートは、ただのカタログにしか過ぎないのです。

当然、売り込むあなたは、エントリーシートにあなたの性能やデザイン、コンセプト、将来性を書き込むはずです。企業が欲しがるような志望動機=キャッチコピーも書かなくてはなりません。それが書けない、というその時点から行き詰っているのならば、就職活動そのものが不毛な行為にしか思えないでしょう。

会社に就職することは、自己実現の方法の一つです。仕事をして報酬をもらって、その資金で何かの事業を起こそうと考えているなら、最初からその道のスペシャリストを目指せばいいだけの話です。

就職して企業に勤めることを選択する限り、中途半端は通用しません。そのような考え方を人事の面接官の目は、エントリーシートを見ただけで見抜いてしまうかもしれません。

仕事が自己実現の方法になるには、その職種が好きで追求したい魅力を持っていることが条件になります。そこにこだわって仕事をしている限り、つらいときにも頑張りが効くはずです。

就職浪人になる可能性のある人は、自己分析パラノイアに陥った人の他に、マッチングに失敗して内定をもらえなかった人のケースがあります。後者の場合は、会社訪問の時からその会社の雰囲気や仕事内容に違和感を覚えている可能性もあります。

面接では、志望動機について詳しく聞かれますから、最初から違和感があったとすればそのことを面接官に見抜かれて内定を取れなかったことも考えられます。また、企業の欲しがっている人材と自分の能力のギャップが大きすぎることも原因になります。

あくまでも正しい自己評価が求められます。それがあれば、自分の身の丈にあった就職先を見つけることができるでしょう。しかし、それは、まだゴールではありません。海洋冒険家の堀江謙一さんは、その著書「太平洋一人ぼっち」で、アメリカ上陸前夜、こう書いています。

「考えることが、いっぱいありそうだ。しかし、何も浮かんでこない。安心したらあかんで。そればかりを自分にいいきかせる」

それまで誰もやったことのない太平洋横断の快挙を前にして、なぜこのような心境を吐露したのでしょうか。就職は、自己実現への第一歩に過ぎないのです。

具体的な自己評価もできない学生に人生の第一歩を記す権利はないでしょう。堀江健一さんは、緻密な計算と準備に時間をかけ、自分にできる全てのことをやりきって太平洋へ乗り出しました。

ゴール目前で自分に言い聞かせることとは、油断しないことに違いありません。就職浪人になりたくなかったら、準備万端整えて最後の最後まで諦めずにチャレンジすることです。