• RSS

文化系就職先の花形、新聞記者の仕事と編集者の仕事の違い

新卒で新聞社や雑誌などの媒体を就職先に希望する文化系の学生は多いと思います。社会的に認められた存在なので、安定した生活が保証されることも確かです。しかし、仕事の実態については、あまり世間には知られていない部分も多いので参考にしていただければと思います。

新聞記者の仕事事情

新聞記者として就職すると、まず最初に地方に配属されて記者としての基本を身につけることになります。

就職に際しての重要ポイントは、体力です。いくら知性があっても、夜間の呼び出しなども多い激務なので、体力がなければ基本的に務まりません。呼び出しの他にも、特定情報をうるための張り込みや、夜討ち朝駆けと呼ばれる取材などでプライベートな時間はかなり削られます。入稿時間までにデスクに記事を届けなければ、たちまち評価も下がって、ヘタをすれば一生地方記者として過ごすハメにもなりかねません。それだけのスタミナと集中力、プレッシャーに打ち勝つ精神力がなければ、新聞記者は務まらないのです。

知り合いの新聞記者は、元ラグビー選手でした。彼は、履歴書の第一次選考に残るため、特技の欄にラクビーの猛特訓のことを書いたそうです。それほど有名校ではないのに、彼は一次選考に残りました。このエピソードのように、新聞記者にはスタミナが求められます。

彼の二次選考面接でのエピソードも紹介しましょう。彼の特技は、ラクビーの他にもう一つありました。クラブの中でもすば抜けて酒豪だったことです。さすがに、それは履歴書には書けなかったので、面接官に他の特技はないかと問われたときに、ここぞとばかりにアピールしたそうです。新聞記者は、呼び出しのありそうな時期とそうでない時期があり、時間に都合のつくときには、けっこう飲みの機会が多いのです。

結果、彼は三次選考に残り、人柄も認められて新聞記者になることができました。

新聞記者の悩みの種は、拘束時間の長さにあります。四六時中、仕事ということもまれではありません。友人の結婚式に呼ばれて、披露宴もたけなわの時間帯に呼び出しがかかることもあります。子どもが生まれるときに妻の傍にいてやれず、徹夜で仕事に没頭することもあります。よほどこの職業に憧れて就職しても、ストレスに耐え切れずに脱落する記者も多いのです。

編集者の仕事は、ものづくりの職人

雑誌記者のような編集者の場合は、少し様相が変わります。編集者の仕事は、新聞記者の仕事と違って流れ作業のようなところがあります。

基本的な仕事の流れは、最初に編集方針を決定するところから始まります。何を対象にして、どのような切り口で、どんなふうにまとめるかが決まれば、次は計画の段階に入ります。それにともなった予算付をして、企画案全体が決まれば事務的な手続きを踏んでいよいよ記事の作成に入ります。記事の作成には、外注を含めてライターへの依頼や、会社関係ならその会社の広報との打ち合わせをするためのアポ取りが入ります。地方に記事案件がある場合は、取材出張もあります。その後、記事作成が終了すると、代割を作って記事掲載のための標準作業と呼ばれる工程が始まります。この段階になったら、次の新しい企画を出すためのロケハンなどの作業が入ってきます。

編集者は、常にあらゆる情報に目を通して感覚を研ぎ澄ませておくことが必要です。力の入った記事をまとめあげても、次から次へと企画案を生み出していかなければならない仕事なのです。基本的には、週刊誌も月刊誌も同様の手順を踏みます。しかし、仕事のサイクルが違うので一概に一緒とは言い切れません。企画案も、超短期のものから長期のものまでさまざまなケースがあります。柔軟に対応できる頭脳と感性が必要不可欠の仕事となります。

新聞記者の仕事をグイグイ押していくような機関車だとしたら、編集者の仕事は、物づくりをする職人と言えるでしょう。同じように文章を書いて生計を立てる職業ながら、違いは歴然です。学生諸氏は、この違いに着目して就活することが大切です。