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地産地消に着目してフードコーディネーターになろう!

各地に誕生しているフードコーディネーター養成スクールは、養成を主目的としてカリキュラムを作っています。一般的に、2年間で基礎学習と応用範囲の広い分野別の専門家を育てることを目的としています。

しかし、実際には、経験値の少ないフードコーディネーターには活躍の場所が少なく、中途半端に資格を取得しても実践で使えないと言った話をよく聞きます。

では、この資格を最大限に活かすためには、何に注目すべきなのでしょうか。地産地消のプロデュースに注目して運用方法を探ってみました。

哲学の考え方には、2つの方法があります。帰納法と演繹法です。帰納法は、さまざまな事象に規則性を見つけてカテゴリーを作る方法論です。演繹法は、過程から推論してさまざまな事象に規則性を見つける方法論です。

プロデュースの基本は、成功事例をモデルケースに演繹法を使って新しい事象を作り出すことにあります。フードコーディネーターになるには、通信講座でも取得できます。大切なのは、何をプロデュースするのかという目的意識です。

地産地消の野菜や果物をプロデュースする場合、結論が安心安全な食作り、という安易な発想をしていては有能なフードコーディネーターにはなれません。最初の着想が大切です。

例えば、食べてくれる人が自然の贈り物に感謝するというテーマを提案したとします。ここから連想して、自然、贈り物という着想があり、みずみずしい野菜を前面に出した料理の企画案が生まれてきます。

主人公を誰にするのか、何をどのようにしたいのか、そのためには料理に何を主張させるのか、そのための舞台演出をどうすべきか。そこから地産地消の食材の産地からくるイメージが乗せられ、香りづけが企画されて、見た目と食感、味わいなどの着想が膨らんでいきます。

地元の食材を使ってメニューも豊富、酒類も充実しているのに、今ひとつ売上が伸びない店舗があるとします。従業員の質も悪くない。店舗の立地条件もいい。しかし、客足が伸びてこない。いろいろな条件を考えて改善策も試みている。

なぜ、この店に結果がついてこないのでしょうか。答えは単純ではありません。原因をさまざま探ることはいいのですが、この店の売りは何で、お客は何を求めてきているのか店の人は気づいているのでしょうか。

売上の伸びない店の典型的なパターンは、斬新さ、面白さに欠け、マンネリ化していることです。フードコーディネーターの仕事は、そういう店のプロデュースをして問題点に気づかせることにあります。

もう一度原点に立ち返って、店の魅力を再確認してもらい、新しい視点で食材の一つ一つを見直すことから始めてもらうのです。有能なコーディネーターは、最初に店のコンセプトを提案し、お客さんに喜んでもらえるその店ならではの持ち味を引き出していきます。

地産地消をテーマにしようと思ったら、その土地の素朴な味わいを引き出すような料理の名称、風景が見えてくるような料理の盛り付け、その地方独自の味付けを前面に押し出すべきでしょう。

野菜、牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類、海藻類、麺類、小麦粉、そばなど、地元で取れる食材全てがその土地に住む人々を生かしている原動力です。もっとイメージを膨らませて、その土地で暮らす人々の相互扶助、風習、人情などの要素も地産地消のテーマの中に含めていきます。新しい料理の創造は、それらの要素が複雑に絡み合ったものになっていくでしょう。

先進的な取り組みをしている飲食店は、コンセプトやテーマといった土台がしっかりと固まっています。ただ、美味しい料理が出されてくるだけで満足するようなお客は、わざわざ遠くから訪ねてきたりはしません。

もう一度行きたいと思ってもらえる店を作るには、外からの視点も大切にする必要があります。その役目を担うのが、フードコーディネーターの仕事と言えるのではないでしょうか。

しっかり彼らが仕事をした店を訪れると、従業員一人ひとりが生き生きとして気持ちのいい対応をしてくれます。活気にあふれた店の雰囲気は、それだけでも気持ちのいい空間を演出してくれます。そんな店には、共通点があります。どの店も好奇心旺盛で研究熱心というところです。

フードコーディネーターが使えない、という理由は、資格に頼って、感性や直感力、想像力を基盤としたプロデューサーとしての能力不足に原因があるはずです。有能な彼らの仕事は、店を最大限に魅せることにつきます。

運用次第では、養成期間中に覚えた技能も役に立ってくるはずです。使えない、と言われるコーディネーターは、そのあたりをもう一度見直してみるべきではないでしょうか。