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志望動機で「御社の業務内容にやりがいを感じました」がNGな理由

――どうしてウチの会社に入りたいの?

こう質問されると、けっこうな数の学生が言います。「御社の業務内容にやりがいを感じました」…と。

おそらく本当に「この会社の仕事ならやりがいを持って取り組めるに違いない」と考えているのだ、…とは思います。しかし、こればかり聞かされる立場としては「またそれか…」と少々ウンザリしてしまうのもまた事実。

もちろん、一人ひとりの学生が考えていることがまったく同じだとは思いません。就職活動に一生懸命なのもわかります。

しかし、あまりにも安易な答えは、単に手垢まみれの返答にしか聞こえません。さらには「個性のない学生」という悪印象にまでつながる恐れだってあるのです。

こんなことを言われると「一生懸命自分の考えを話しているのに、そんな言い草はないだろ!」と腹立たしく思うかもしれません。

しかし、就活には期間が限定されています。結果が伴わなければむなしいだけではないでしょうか。

面接官が感じていること

面接する側だってヒトの子。いくら「この子とあの子は別人」だとわかっていても、同じようなことばかり聞かされるとうんざりしてくるんです。どっちもどっちの答えだな。――なら、どっちも必要ない。と。

そんなふうに思われてしまうエントリーシートを提出したり、面接で受け答えをしていて採用になると思いますか?。間違いのなさそうな当たり障りのない答え並べたてた挙句、スタートラインに立つこともできなかった、では意味がありません。

「御社の業務内容にやりがいを感じました」って言うけど、まだやったこともないのに何でやりがいがあるって思えるんだろうな?これは実際に面接担当者同士でディスカッションした際に聞かれた意見です。

そもそも「やりがい」って何なのでしょう?

社会にでて働き始めると、想像していた以上に自分の思い通りにならないことの連続です。仕事の内容しかり、周囲との人間関係しかり。多かれ少なかれ、「こんなはずではなかった」と思うことに必ずぶつかるものなのです。

この会社の仕事ならやりがいがあるはずだと信じ、実際に目指した仕事に見事就くことができたとします。そのように順風満帆の人生を歩んでいるように見える人でさえ「何かが違う…」とジレンマを感じることなど珍しくもありません。

まともに働いた経験のある社会人なら、多かれ少なかれそうした思いを一度ならず味わっているものなのです。だからこそ、何も知らない青二才に無闇に「やりがい」を語られると興ざめするのでしょうか。

ですから、わかっている風な口をきくぐらいなら、むしろ青臭い自分の思いをきちんと語りましょう。「あの学生は青臭いなぁ。でもおもしろい!」と思わせることができたら上々です。

そのためには、付け焼刃で面接に臨まないことです。もちろん漫然とした態度や考え方など御法度以外の何ものでもありません。

どの会社が相手でも通用しそうな内容は、聞く側の印象には何一つ残らないことを自覚してください。学生、企業の双方にとって時間の無駄にしかなりません。

本当にやりがいを求めるなら

さらに言えば、「どうせこの学生は数打ちゃ当たると思ってるんだろ?」などと判断されて採用になると思いますか?まずならないでしょう。

もし仮にそんな甘い考えのあなたを採用してくれる会社があるとしたら、会社側も同じ気持ちなのかもしれません。「どうせすぐに辞めるに決まってるから、とにかく頭数だけそろえて入社させておけ」…と。

こんなことでは「やりがい」どころか、「や」の字もありませんね。新卒に求められているのは、まともな社会人になれる素養と、磨けば光ると期待させる瑞々しさです。新卒がすぐに戦力になるなどとは誰も思っていないのですから。

最初の数年は、新人は会社に利益をもたらすどころか、お金をもらいながらせっせと教育してもらっている立場だということを忘れてはいけません。それをきちんと理解して就職活動に勤しむ人なら、安易な内容で面接を乗り切ろうなどとは思わないはずです。