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知らないとこんなに損をする!退職時の雇用保険の手続き

知らないとこんなに損をする!退職時の雇用保険の手続き

一般的にフルタイムで継続して勤務していると、必ず事業主の手続きによって雇用保険に加入させられているはずです。

対象期間において雇用保険に12ヶ月以上加入していれば、何らかの理由で退職した際に次の仕事を安心して探せるように失業手当を支給したり、育児や介護によって長期休業をしなければいけなくなった時に給付金を支給してくれます。

雇用保険の制度を知らず、会社まかせにしていると思わぬ損をしてしまうこともあります。もし退職などで雇用保険を利用しようと考えているなら、手続きの流れを知っておきたいものです。

雇用保険の手続きは事業主次第

退職が決まると会社などの事業主は雇用保険の手続きに必要な以下の書類を用意します。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職証明書
  • 退職届
  • 直近12ヶ月分(満たない場合は雇用期間)の勤務実績が確認できる書類
  • 直近12ヶ月分(満たない場合は雇用期間)の支給実績が確認できる算定簿

これらの書類が揃ったら人事担当者などがハローワークに持参します。ハローワークでは書類を確認して雇用保険の資格喪失の手続きをします。

そして、手続きが終わると持参した雇用保険被保険者離職証明書は返却され、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書が新たに発行されます。

このうち事業主控を除いたものが「離職票-1」「離職票-2」として退職者本人に渡されるのです。

小さな会社であれば退職の翌日にでも手続きが終わりますが、大きな会社のように別の部署で手続きしていたり、本社やアウトソーシングなどで一元管理している場合はさらに時間がかかる可能性があります。

退職届の提出は希望日の少なくとも30日前までに済ませておくのが良いでしょう。

手続きが遅れるリスク~次の就職先が決まっている場合

次の就職先でもフルタイムで勤務するなら必ず雇用保険加入の手続きが発生します。この時に前の勤務先でハローワークでの手続きが終わっていないと、次の就職先がハローワークに行っても手続きしてくれません。雇用保険の二重加入になってしまうからです。

また、離職票が届いていなくて雇用保険被保険者番号が分からないと手続きが出来ない可能性もあります。ハローワークによっては前職が分かれば個人を特定し紐づけてくれますが、事前に確認しておいた方が安心です。

退職してから雇用保険の資格喪失手続きまでにかかる時間を考慮した上で、今後の就職の日取りを決めた方が良いでしょう。

手続きが遅れるリスク~次の就職先を決めていない場合

失業手当を受け取りながら仕事を探すなら、ハローワークに前の勤め先からもらった「離職票-1」と「離職票-2」を提出して手続きする必要があります。

失業手当の給付が認定されるまで最低でも手続きから7日間の待機期間があります。また自己都合で退職した場合は、さらに3ヶ月の給付制限期間が発生します。前の勤め先の手続きが遅れると、給付に至るまでの日数がさらにかかってしまうのです。

失業手当は条件によって最大360日支給されますが、実際に支給できるのは退職日の翌日から1年以内という期限があるので、手続きが遅れた分だけ受給者の不利益になってしまいます。

これって「自己都合」なの?

退職理由が自己都合だと判断された時は、会社都合での退職よりもさらに3ヶ月の給付制限期間が発生します。また失業手当の支給期間も大きな差があります。

例えば6年働いた30歳の人が会社都合で退職した場合は180日ですが、自己都合だと90日です。勤務期間が長かったり年齢が高いほど、その差はさらに大きくなります。

一般的に「会社都合」とは倒産や正当な理由のない解雇、賃金の未払いや低下などを原因とする退職を指します。

よくある間違いとして、雇用契約期間があらかじめ定められていて、特に問題が無ければ自動的に更新される場合、3年以上勤めていると契約期間が満了したという理由で退職しても「自己都合」とみなされてしまいます。

これは会社側では引き続き契約する意向なのに、本人の都合で継続して勤務することを断ったとみなされるからです。

ただし、会社側の手続きで「自己都合」と判断されても、本人の説明次第では「会社都合」になる場合もありますので、不服があればハローワークの窓口で相談してみましょう。

知っておくと便利な雇用保険の制度

ハローワークでは離職者の新たな雇用に繋がるように「公共職業訓練」を実施しています。職業訓練を受けると、失業手当の給付期間に関係なく、職業訓練を受けている間は手当を受給することができます。

また職業訓練の開始日が3ヶ月の給付制限期間中であっても、失業手当を受給することができるようになります。

他にも失業手当の給付期間中に就職先が決まった場合は、給付日数が3分の1以上残っていれば「再就職手当」が支給されます。また求職のために遠方へ行く際には「広域求職活動費」が、遠方への就職が決まった場合は「移転費」がそれぞれ支給されます。

このように雇用保険は安心して就職活動ができるように補助してくれる便利な制度なのです。残念ながらあらかじめ誰かが教えてくれることはあまりないので、自らこのような制度があることを知っておくと損をしなくて済むでしょう。 失業手当を受けるのであれば、退職時には必ず離職票を請求したいものです。