分散とスイッチが決め手! 効率的な仕事の集中とリフレッシュ
学校時代を思い出してみましょう。小学校では45分、高校では50分の授業ごとにチャイムが鳴り、小休憩が入りました。1日の時間割がすべてこのリズムで動いていたものです。
しかし、通常大人の仕事の場面では、昼休みや、せいぜい午後の休憩があるのみで、あとはぶっ通しになります。
そこで、社会人となって仕事の効率を高めていくには、自分で仕事のリズムをつくっていく必要があります。
ここでは集中とリフレッシュの賢い切り替えのコツを紹介します。
1.マイ休憩タイムをつくる
一般的に人間の集中力というのは50分程度が限界といわれています。
もちろん、90分の映画を見たり、講演を聴いたり、私たちは50分を超えて同じ姿勢で集中していることは日常少なくありません。
けれども受身の行為を持続することと、失敗が許されない緊張した環境で労働を持続することでは、疲労のたまり方、あるいは疲労の質がまったく違うものです。
そこで、長時間の持続をともなう仕事に就いた場合、意識的に自分で集中とリフレッシュの切り替えを設けることが大切になります。
まず、よく試みられているのが、座ったままや立ったままなど、仕事にスタンバイした状態のままで手軽にできるストレッチ運動を導入することです。
もちろん、仕事といってもさまざまな職種があります。机に座りっぱなしで数字と向き合い続ける事務職や、常に身体を動かし続ける労務系の仕事、あるいは受付など終日お客さんの目にさらされ続ける接客業もあります。
しかしどんな仕事でも、蓄積する疲労感というのは基本的には、長時間同じ箇所の筋肉に力が加わり続けることに起因すると考えれています。
したがって50分ごとに首や肩を回したり、重心をかけている足を左右交代させたりといった変化を加えることが有効になるのです。
また対外的な問題がない職種であれば、ひとつまみのチョコレートを口にするのも、集中力を持続させるのに効果的です。
2.昼休みを充実させる
仕事の種類にかかわらず、リフレッシュの時間の代表的なものといえば、やはりランチタイムです。
このランチタイムとは、基本的にはお昼ご飯を食べる時間となりますが、おおむね1時間程度の昼休みは、お昼ご飯をたべてもなお若干の余裕がある場合がほとんどでしょう。
そこでこのランチタイムをリフレッシュの時間として大いに活用し、効率よく午後の仕事を再スタートできるように利用したいものです。
そのために強く意識したいことは、いったん仕事から離れている状態であることをしっかり堅持し、充実した昼休みにすることを心がけることです。
とかく忙しいからといって、パソコンの前でモニターを睨みながら簡便な食事で済ませる様子もみられますが、仕事モードの脳を中途半端に継続することで、逆に午後の仕事の集中力が低下してしまい、結果的には、その日1日の仕事の効率は総じて下がることにもなるのです。
そのために昼食をとる際は仕事に関わるものを退けて、食事を楽しむ環境を自ら保護する気持ちが大切になります。
携帯電話さえも、なるべく机に残していくことをおすすめします。
また社員とのコミュニケーションやお客様への接客など、人間関係の調整が主な仕事である場合は、時には同僚と一緒の食事を避けて、外の空気を吸いながら自分だけの静かな時間を確保することも有効です。
外を歩く人を眺めたり風に揺れる街路樹をみながらお弁当を食べることで、心がリフレッシュされることが多いものです。
なお、肝心の食事の中身が重要であることは言うまでもありません。
栄養が偏った簡便な食事で済ませると、脳の活動に必要な栄養が摂取されなくなり、午後の仕事の集中力が奪われてしまいます。
適切な量でバランスのよい食事を、ゆっくり時間をかけてとることが大切です。
また食事以外のあまった時間を利用して短い仮眠をとることも非常に効果的です。
3.仕事の効率化
私たちの集中力はおよそ50分程度しか持続しないということはすでに述べました。つまり適切に小休止をとりいれることで、分量の大きい仕事でも持続が可能ということです。
このことは、一つの仕事の効率を高めるということだけでなく、内容のまったく異なる複数の仕事の総合的な進め方においても応用できます。
つまり、一つの学習を一気呵成に終わらせることを繰り返すのではなく、分割させた複数の仕事を適切に組み合わせる「分散型」の処理方法が効果的になるのです。
心理学ではこれを「分散効果」と呼び、仕事の効率を高めるものと考えられているのです。
そこで、一つの仕事に取り組んだら、それを今、どこまでやるかという目標をたてて、たとえ調子が乗ったとしても、区切りを入れて一旦手を離すことを、意識的にコントロールすることが重要になってきます。
このように区切りを設けた仕事をいくつか同時に用意し、短い時間、比較的まとまった時間といったそれぞれの時間のタイミングに合わせて、仕事を上手に切り替えながら処理するのです。
ただし、このような進め方には「コンテキストスイッチ」によるロスも生じることは意識しておきましょう。
コンテキストスイッチとは、一つの仕事から別の仕事への切り替えのことです。切り替えるごとに、始めた仕事の出だしでは本調子に乗るまでの「助走」時間を要する、ということなのです。
しかし助走の時間は、実は無駄になる時間ではありません。前回途中までやった仕事を思い出すことを繰り返すことは、一見効率が悪そうに思えますが、実は記憶力も肉体的経験も、知らず知らずのうちにスキルが上がっているのです。
また前の仕事を思い出しながら仕事のスイッチを切り替える、わずか数分間の助走が、無意識のうちに筋肉に集中的にかかる緊張感をやわらげ、気持ちをリフレッシュしてくれるのです。 v 学生時代には、授業のコマが決められていて、学習とリフレッシュのリズムは外的に決められていました。
しかし社会人となると、自分の仕事のリズムは自分でコントロールしなければなりません。
集中と効率のよいリフレッシュを自分のスタイルに合わせて工夫することが、仕事の成果にもつながっていくのです。