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ワークライフバランスの企業の取組とアンケートに現れる従業員の本音

近年企業で提唱されている「ワークライフバランス(仕事と生活の調査)」。その活動の一環として、新年会や忘年会などの結節以外でも社内の交流を目的とした飲み会が開催されたり、休日を利用したバーベキューやボーリング大会などのイベントが開催されたりと、会社のあり方が変わってきています。

これについて一般社員はどのように考えているのでしょうか。筆者の部署で実際に行われたワークライフバランス活動に対するフィードバックアンケートの結果を一部引用しながら、一般社員の本音を探ります。

アンケート1.ワークライフバランスの推進にあたり会社に期待することは?

1位:家族も参加できるBBQやキャンプ

2位:スポーツイベント(マラソン・野球・サッカー・ゴルフ)

3位:社内食事会(豪華なケータリング・高級料理店の貸切)

4位:定時退社日の復活

1位は「家族も参加できるBBQやキャンプ」でした。既婚で子供もいる社員からは、どうせ会社のイベントで休日がつぶれるなら、その日についでに家族サービスが出来たら楽だという声が寄せられました。

2位は、もともと弊社では趣味でスポーツをしている社員が多いため、その活動を会社で公式にバックアップしてほしいということのようです。3位は独身者からの支持を集めた回答で、普段個人ではいけないような高いお店に会社のお金で行きたいということのようです。

注目すべきは4位。一度導入された定時退社日が諸事情により撤回されたのですが、その復活を望む声が……イベントなんていらないからとにかく休みたい、というのが本当の気持ちなのかもしれませんね!

アンケート2.イベントの参加料で妥当だと思う金額は?

1位:500~1000円

2位:1000~2000円

3位:0~500円

通常の飲み会の自己負担額よりもずいぶん低額な500~1000円が全回答の1/4程度の支持を集め1位でした。また2位は、それよりやや上の1000~2000円となりました。

通常の飲み会などもあるのに、これ以上負担が増えてしまうのは厳しいという本音と、タダではやれないだろうという大人の理解がせめぎ合った結果、通常の飲み会の半額以下程度ならやむを得ないと考える人が多くいたということでしょう。

しかし、3位には0~500円がランクインしており、こちらも実際のところ会社都合で開かれるイベントにお金を使いたくないと考える社員の意見が反映されています。若手は全然お給料が上がらないですし、中堅以上の社員は子育てや保険などプライベートでお金がかかる時期ですから、無駄な出費を抑えたいという気持ちはどの世代でも強いのかもしれませんね。

アンケート3.飲み会に参加しなかった理由は?

1位:業務都合(顧客調整・出向等含む)

2位:体調等の理由

3位:その他

ワークライフバランスの一環として社内で開かれた飲み会(一般社員の自己負担は無料でした)に不参加である理由を聞いたところ、ダントツで「業務都合」という回答が多くなりました。

しかしこれは、実際は他の理由がありながら、角が立たないように業務都合と回答した人もいるようですね(実際筆者の同僚は、緊急度の低い業務しかなかったにもかかわらず、飲み会に出るのが面倒くさいからと言って仕事を優先していました)。

一方で「無料だから参加したかったけれど、仕事量がありすぎてどうしても時間の都合をつけられなかった」と残念がる人もいました。アンケート1の4位に定時退社日の復活を望む声もありましたが、まずは社内イベントに参加したり十分に休息をとったりできるよう、業務量を減らしてほしいというのが一番の社員の望みなのかもしれません。

いかがでしたでしょうか。アンケートの一部、公開の許可を得られたものだけをご紹介させていただきましたが、一般社員の本音が見えてきませんでしょうか。

実際のところ「ライフは自分の好きにやりたいから会社がイベントなど企画してくれなくていい、お金も時間も自由に使うから、そのための退社だけさせてくれればいい」というのが本当のところかもしれません。

ワークライフバランスという活動が言われるようになった理由には、日本人の就業時間が長く、人生がワーク(仕事)に偏りがちという背景がありますが、社員自身が望んで長時間の仕事をしているのではなく、長時間の仕事をせざるを得ないだけで本当はプライベートも充実させたいと願っていることがわかります。

会社がすべきことはイベントの実施ではなく、社員がプライベートを充実するための時間や体力を確保すること、つまりは適切な人材マネジメントなのではないでしょうか。