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スピーチコンテストで感じた素晴らしい表現力も持った子供たち

私は高校の英語教員をしています。一般企業に勤務されている方はあまり分からないと思いますが、教員によっては普段職場で英語を教えるだけでなく、色んな出張があります。本校では特にクラブ活動を強化していますので、強化指定クラブの顧問になると試合や遠征で頻繁に出張で出かけています。

私の場合は、英語科の教科主任として英語関係、国際交流関係に関する出張がメインになります。先日も私の勤務校がある市立の小中一貫教育の一環であるスピーチコンテストに校長と一緒に出かけました。その内容について述べたいと思います。

スピーチコンテストの目的と小学生の部

我が市の教育目標として、国語を大切にし、自分の思いを堂々と伝えることが出来る子供、ならびに英語を使い世界へ目を向けることが出来る子供の育成というものがあります。もう1つは、表現活動を意欲的に行っている子供たちに発表と賞賛の機会を作ることを通して、言語活動の充実を図るというものがあります。

 

このスピーチコンテストには、市立の各小学校から6年生が1名から2名ずつ最終審査に選ばれて、合計15名の発表がありました。テーマは3つの中から選択します。①私の夢②未来の私たちの市③私の宝物です。

どの生徒も素晴らしい内容で、原稿を見ずに人前で堂々と話をしていました。話し方もそうですが、おそらく先生方の熱い指導のもと、相当練習してきたのだろうと感じました。時間は1人4分くらいでした。

特別出演として、小学校6年生が6名で、英語パフォーマンスを行いました。スライドを背景に寸劇のようなものでした。どの子もしっかり英語を覚え、堂々と話し、演技も素晴らしかったです。最後には外国人講師も含めた多くの審査員からの表彰がありました。

賞を取れるのはもちろん素晴らしいですが、学校代表になれるだけでも素晴らしく、その努力に頭が下がる思いです。こんな立派な小学生がいるものかと改めて感心しました。

教員の立場の視点から見ると、文章構成の型が決まっているように思いました。例として、私の夢は獣医になって動物の命を助けることです。そう思い始めたのには、理由が3つあります。1つ目は~です。2つ目は~です。最後に~です。4月から中学生になりますが、この夢を追い続け、何事にも精一杯取り組んでいきたいと思います。というパターンです。

一番基本的な導入、展開、まとめの形式です。しかし、これが意外と重要で、難しく、私が高校生に小論文対策で指導していることはこの内容です。高校生でも、まともな文章を書いたり、話したり出来る子は少ないと思います。特に私の勤務校の生徒は全く出来ないのが現状です。

スピーチコンテスト中学生の部

私の市では近年国際交流に力を入れています。中学校の英語教育においてもネイティブの先生が多く派遣され、生きた英語や異文化に触れる機会を多く持つようにしています。

英語学習にはやはり動機付けがとても大切だと思っています。単に受験に必要だからでは、英語嫌いを増やすだけです。今回のスピーチコンテストの中学生の部では、課題文と自由英作文の2つがあり、中学校1年生、2年生から7名が最終審査に選ばれて、発表を行いました。

単に暗記するのではなく、感情を込めた動作やスライドを使ったり、紙芝居風にした生徒もいました。最後に、特別出演で中学校3年生2名が、次世代リーダー養成塾での3日間、未来の私たちの市というテーマで日本語スピーチを行いました。

高校生や大学生でもおそらく出来ないような素晴らしい内容のスピーチでした。こういう才能を持った生徒を今後いかに伸ばすことが出来るか、教員の指導力も問われることになると思います。

勤務校の現状

こういう素晴らしいスピーチが出来る才能を持った小学生、中学生がいる一方、私の勤務校では、漢字も小学生レベル、英語においてもアルファベットもまともに書けない高校1年生もいます。極分化しているように感じます。

新学習指導要領で昨年4月より英語表現の科目が入ってきました。しかし、英語表現Ⅰの教科書の内容はどの出版社のを見ても文法重視になっています。数学の場合は年間目標として教科書が終わるように授業展開をしています。しかし英語は教科書を終わらせる必要はありません。教科書を教えるのではなく、教科書で教えることが目標です。

英語指導法も大きく変わっています。文法学習の行き着くゴールは、覚えた文法事項を使って英語を話せるようになることです。板書事項を写して、書き換えや選択式の問題集をやって終わりではありません。外国人と話をする際、4択式の問題が出ることは無いのです。

瞬時に文のパターンが出てこなければ意味がありません。そういった意味からもスピーチコンテストであった課題文の暗唱というのは、コミュニケーション活動につながる良い訓練だと思いました。