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派遣だと思っていたら偽装請負だった!?違いを正しく理解して働こう

自分では派遣のつもりだったのに、実は請負で働いていた。そういう人は、実は1人や2人ではありません。それは単なる勘違いなのでしょうか?もしかしたら、実際には派遣のふりをした偽装請負だったのかもしれません。派遣と請負は似て非なるもの。ところが違いが分かりにくいため、多くの人が混同しがちです。

派遣契約とはどういう働き方なのか?

派遣社員を雇用するのは派遣会社です。そして派遣会社が「労働者派遣契約」を結んだ派遣先で働くことになります。ですが、その派遣社員に実際の現場で指揮命令をし、時間的な管理をするのは派遣先企業の担当者が行います。

ややこしく考える必要はありません。要は、給料を支払うのも社会保険などに加入するのも派遣会社。しかし仕事の指示と勤務時間の管理をするのは、派遣先企業の人。ざっくりですが、こう覚えておけばよいでしょう。

請負で働くとはどういうことなのか?

請負業務…。これだけ聞くと非常に分かりにくいですよね。でも実は案外単純なもの。読んで字のごとく、会社や個人が仕事を請け負うことです。何を請け負うか、どの程度請け負うかはまちまちです。

仕事のすべてを請け負うこともあれば、その中の一部を請け負うことだってあるでしょう。例えば(株)ABCという会社が、ある製品を作るとします。その工程には1・2・3・4の段階があるとしましょう。

そのうち2と3を請負会社に発注したとします。請け負った会社は、2と3についての完成品を(株)ABCに納品することになるわけです。つまり2と3については、請け負った会社がすべての責任を持つことになるのです。

ですから2と3については、(株)ABCの社員が指示を出したり、口を出すことはしません。請負業務として働く――。それはすなわちこの請け負った会社に雇われて、その仕事に従事することになるわけです。

つまり、給料を払うのも社会保険に加入するのも、仕事の指示をするのも業務を請け負った会社です。

偽装請負とはどういうことなのか?

上記の例でいうなら、業務請負であるにもかかわらず、実際には(株)ABCの社員が、2と3についても指揮命令をすることです。なぜそんなことをするのでしょうか?それはずばり(株)ABCが人件費などのコストをおさえるためです。

また(株)ABCを表に出さず、業務請負労働者を解雇できる面も都合がいいのでしょう。業務を請け負った会社にしても、労働者派遣法の厳しい規制をのがれたい思惑があります。間違えてほしくないのは、請負として働くこと自体は、なんら問題ありません。

問題なのは偽装請負、つまり請負でありながら、実際には派遣としての実態を持っていること。それから、そういう悪質な雇用をする会社は、社会保険や労災など、労働者を守る意識がないことです。

また、解雇についても正当な理由なく一方的なものとなり、労働者に泣き寝入りさせることもしばしばです。つまりは様々な面において、労働基準法に違反しているわけですね。さらには正当な報酬を払わず、ピンハネしているケースまであるのですから、悪質極まりないと言えるでしょう。

偽装請負に騙されないよう、契約書類にはきちんと目を通そう

派遣だと思っていたら悪質な偽装請負だった。こんなことにならないよう、労働者自身も自分で自分の身を守らなければいけません。そのため、まずは以下の2つのことを確認しましょう。

  • 派遣として働くのであれば、派遣契約書はきちんと取り交わしたか?そしてその契約書には派遣契約内容が明示されているか?
  • 業務請負として働くのであれば、仕事先で指揮命令をしている人の所属はどこなのか?雇用条件について明示された書類をもらったか?

もし、何かおかしいと感じたら、決してうやむやにしてはいけません。いざという時、労災などが適用されず泣きを見るのは自分自身なのですから。