落ちる理由は書類選考方法にあり!?悲しき新卒採用ウラ事情
2000年代に入ってから、新卒学生の就職活動は、まずインターネットからエントリーする方法が一般的になりました。
エントリーシートに自分の名前や出身大学、部活動、志望動機、経験してきたことなど、さまざまな質問項目を記入し、無事通過すれば、ようやく面接もしくは採用試験を受けるチャンスが与えられます。
全てのエントリーシートを見るわけではない
要するに、第一関門であるこのエントリーシートを通過しなければ、企業へ足を運ぶことなく選考が終了してしまうのです。
しかし、毎年このエントリーシートでつまづく学生が多くいます。何通出しても「残念ながら・・・」の返信。不採用通知ばかりだと、さすがに気が滅入ってしまいますよね。
でもちょっと待って。それはエントリーシートの内容が悪いせいではないかもしれません。というのも、企業の採用担当者は、エントリーシートを応募の段階ではまず「見ない」からです。
世間に名の知れた企業などは、毎年何万人もの応募があります。つまり、何万通ものエントリーシートが企業に届くわけです。採用担当者はそれに全部目を通すことなんて到底できません。時間もコストも人手もかかるからです。
そこで、企業はまず独自の基準や項目で学生の絞り込み、つまり足切りを行います。システム上で絞り込むので、必死に考えた志望動機や学生時代の経験なんて、残念ながらこの時点ではまず読まれないのが現状です。
多くの企業は大学名で絞り込む
では、その基準とはどういったものでしょうか。まず多くの企業が行っているのは「大学名」による絞り込みです。
学生就職人気ランキングに毎年名を連ねるある大手金融機関は、まず中堅大学より下のレベルの大学はほとんど切り捨てます。
そして上位レベルの大学は多めに、中堅は少なめに一次選考通過の通知を出します。うちの大学は上位校だから大丈夫と思っても安心はできませんよ。
ある大手商社は、いわゆる私大2トップと言われる大学に在籍する学生でも、一方の学生しかほとんど採用しません。
その商社は、役員をはじめ一方の大学の出身者、かつ、ある体育会に所属にしていた者が多く、もう一方の大学は常にライバル的存在だったからという、なんとも前時代的な理由のためです。
ですので、いくら自分の学校が上位校だからといっても、その企業の性質や社風などに当てはまらないと、エントリーの時点ではじかれてしまうのです。
別の大手商社は、面白いことに、前述の商社とは逆に私大2トップのもう一方の学生をよく採用します。
ある学生は、エントリーシートの「学生時代に失敗したことは?」という質問項目に「部活でのパスミス」とだけ書き、一発でアウトになりそうな内容だったにもかかわらず、最終的に採用された人もいます。
彼は、私大2トップの出身、体育会所属、帰国子女という、その商社お好みの経歴の持ち主だったので、一次を難なく通過し、コミュニケーション能力が高かったのか、最終的に採用されました。
性別、留学経験や語学スキルも絞り込みの対象に
さらに、性別でも絞り込まれます。男女雇用機会均等法によって本来は性別関係なく採用しなければならないのですが、それは表向きの話。
女子は採用したくないという企業はいまだに多く存在します。
誰もが知っている大手機器メーカーは、女性はほんのわずかを表向きに採用するだけです。
そのため、エントリーシートの時点でまず中堅大学以下を切り捨て、さらに女子学生もある程度の数を切り捨てて絞り込みます。そして大人の事情で、縁故の学生や、地方大学の学生なども、一定数すくいあげるのです。
では企業の基準に当てはまらない学生は、選考の土俵にすら上がれないのかというと、そういうわけでは決してありません。
本来足切り対象であるはずの学生でも、一次選考を通過できる場合があります。そのような学生は、たいてい年単位での留学経験や語学スキルなどが記載されています。
特に、グローバルに事業を展開している企業では、英語以外の言語を話せる人はとても重宝されます。
また、部活動の部長経験者などもすくいあげられる傾向にあります。ただ、膨大なエントリーからすくいあげるのですから、誰が見ても一目でわかる能力や経験に限られます。
大手に限らず中小企業にも目を向ける
このような足切りは、すべての企業が行っているわけではありませんが、毎年たくさんの学生が応募してくる企業の多くは、独自の基準で行っているのが現実です。
エントリーシートがなかなか通らないのは、もしかしたら有名企業ばかり応募しているからかもしれません。
中小企業でも堅実で優秀な会社はたくさんありますので、中小企業にも目を向けて見ましょう。そして、エントリーシートが通過したとしても安心はできません。
この先の面接はエントリーシートの内容をもとに進められることが多いので、エントリーシートの内容は関係ないからと適当なことを書くと、必ず面接で追及されますので、最初からきちんと真面目に記入しておきましょう。