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器用貧乏な人の仕事術。全て中途半端と嘆く必要はありません

自分は何でも器用だと誇れるのに、全てある程度の実力だから器用貧乏だと嘆いている人。しかし、器用貧乏も1つの能力です。スペシャリストとゼネラリストの違いを考えてみましょう。

何でもそつなくこなすけれど、飛び抜けて得意な事が無いという方っていらっしゃいますよね。そういう人を器用貧乏と言う場合がありますが、実はこれって今の社会では重宝される事なんです。

企業においてスペシャリストとゼネラリストの違いを前提に、家電メーカーを例にして、適材適所という観点から考えてみましょう。

スペシャリスト

先ずはスペシャリストとは、一体どういう人の事をいうのでしょうか?その事柄に精通していて、プロ中のプロであり、その分野では特別な存在。それがスペシャリストです。

スペシャリストはどこのセクションにもいらっしゃいます。開発部で設計のスペシャリストの方は、企画部からのどんな依頼にも見事に対応します。そして、他の開発部を引っ張って、技術力をどんどん上げていくのです。

営業のセクションにもスペシャリストはいます。平均的な営業マンの倍ほどの売り上げを上げ、チームの売り上げに貢献します。企画部にも、購買部にも、スペシャリストは存在します。しかし、スペシャルな存在だけあって、必ずしもどこの会社にもいるとは限りません。

しかし、社会人になると、スペシャリストが重宝されると思われがちですが、実はそうでもありません。スペシャリストは意外にも扱いにくいのです。例えば営業の例を上げますと、10人の営業マンがいたとします。

1人平均1,000万円の売り上げだったとします。営業のスペシャリストは平均の倍の売り上げという、とんでもない売り上げですから、会社的にも有り難く感じるかも知れません。

しかし、スペシャリストが2,000万円、他の9人の平均が1,000万円とすると、全員足しても11,000万円なのです。スペシャリストが加入していても、チームとしては10パーセントアップにしかなりません。20人の営業組織だと5パーセントにしかならないのです。

という事は、スペシャリスト1人の存在よりも組織力の方が重要になるのです。教育によってスペシャリストを育てようとするよりも、全員が20パーセントの売り上げアップが出来るように教育する方が、会社の数字は伸びるのです。

ゼネラリスト

次に、ゼネラリストについて。ゼネラリストは一見器用貧乏の様に見えますが、実は何でもそつなくこなしてくれるので、使い勝手がとても良いのです。もし、ゼネラリストの営業マンがいて、企画部に急な欠員が出たとします。

器用なゼネラリストがコンバートされて、そつなく仕事をこなしてくれる訳です。それによって犠牲になった売り上げは1,000万円。しかし、スペシャリストをコンバートさせると2,000万円の犠牲になりますから、ゼネラリストはコンバートしやすいのです。

また、スペシャリストは滅多にいないのに対し、ゼネラリストは沢山います。育てる事もたやすいです。ですので、企業はスペシャリストを沢山育てようとするよりも、ゼネラリストを沢山育てる方が教育コストも少なくて済み、売り上げ数字も読みやすいのです。

適材適所

では、適材適所という考え方から組織の配置を考えますと、スペシャリストのノウハウを、ゼネラリストに共有するようにし、ゼネラリストを主力の戦力にします。例えば営業の場合は、営業のスペシャリストは思い切って現場から外して、多くのゼネラリストを育てる教育係に据えるのです。

彼の素晴らしいノウハウを器用なゼネラリストたちが学び、それなりの成績を上げるというのが理想です。野球で例えても、4割バッターが1人いたところでチームは勝利出来ません。その4割バッターのノウハウを早めに共有して、皆が3割近く打てる様になると、チームの勝率は格段に上がるでしょう。

4割バッターを1人生み出そうと教育するよりも、3割近くのバッターを何人も育てようとする方が現実的かと思います。サッカーでも、1人の選手がどれだけ上手くてもチームは勝てません。1人の上手い選手のノウハウを生かして、他の選手が平均以上に上手くなる方がチームの勝率は上がるでしょう。

会社もチームですから、1人の突出したスペシャリストよりも、水準以上のゼネラリストが沢山いる方が、強い会社になれるのです。そういう事を加味した発想で、適材適所の組織編成をすれば、チーム力はグンと上がるはずです。