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二極化する企業内SNS導入結果その効果と失敗とは

景気回復の風潮も何処へやら、増税などの負担増ばかりが決定し、一国のトップの演説のように賃金上昇など本当に期待できるのか疑問ばかり増える今日この頃です。

世の中には「厳しい今こそ、社員一丸となって頑張ろう!!」と結束の強い素晴らしい会社が幾つもありますが、一方で結果ばかり追い求め、ギスギスした雰囲気の中で毎日働かざるを得ない「ブラック企業予備軍」が増加し、サラリーマンを取り巻く環境は何とも世知辛いものになっています。

どのような組織でも社員同士が気分良く働ける要因として、社内のコミュニケーションが円滑であるというのは欠かせません。個人間の好き嫌いではなく、基本的な報告・連絡・相談は勿論のこと、自分の考えていることを正確に伝え、相手も理解しようとする姿勢が上手く行けば、自然に仕事もスムーズになります。そのような事はどの企業も承知済みで、社員間のコミュニケーションを円滑にする為に様々な手法を用いています。

現在の社会では社内外問わず、メールを始めとしたコミュニケーションのデジタル化は当たり前の事になっています。そして、一時はメール等で無機質になった対人コミュニケーションが問題になった時代もありましたが、更にSNSやグループウェアなど便利なコミュニケーションツールが出現し、一層ヒューマンチックなコミュニケーションが実現出来るような環境も整うようになりました。

特にSNSは一般に広く普及し、その使い易さと気軽さを社内コミュニケーションにも流用しようと、社内SNSも急速に普及しています。しかし、この社内SNSを導入した組織から、続々と失敗例も聞かれているのです。

SNSに期待できる効果

SNSの導入メリットはコスト面の低さと、それぞれの居場所を問わず利用者間で気軽にコミュニケーションが取れる事ですが、それらが社内のコミュニケーションツールとして良い方向に働けば、何気ないコミュニケーションの中から忌憚の無い意見のやり取りも発生し、仕事の中に新たな気付きを見付ける事に繋がります。仕事をより発展させるための本音には、色々なヒントが隠れていることが多いからです。

また、本当に必要なコミュニケーションが取れるようになれば、社内で相手の顔色を伺う為のメールや事前書類も省くことが出来、非効率な仕事が減るという効果も期待できます。しかし、SNSならではの特徴を理解せずに、単に「流行っているから」とか「若い社員が気軽に意見を言えるから」という理由だけで導入すると、即立ち行かなくなるでしょう。

失敗事例1:SNS利用に縛りをつける

SNS導入時に、社員間の公私混同を避けるために多くの組織が社内での利用条件をルール化し、SNS導入を意味の無いものにしています。

最も多い事例ですが、「書き込む内容は業務に関する内容に限る」というルールを付けるだけでSNSの気軽さは一気に失せ、社内掲示板やグループウェアと何ら変わりが無いものになってしまいます。ある程度は自由な書き込みが出来た上で、同じ意見を共有する者同士が意見の発展をさせる事が出来る場でないと意味がありません。

失敗事例2:SNSを使い慣れた社員の溜まり場になってしまう

せっかく社内にSNSを導入しても、日頃からメールのやり取りが苦手な人や掲示板への書き込みが出来ない人も多く居ます。概して若者はこのようなツールを自然に使い、年配の人はこのようなツールを苦手とする人が多く、ツール自体を好まない人も少なくありません。

導入初期の訓練機関など、利用を促進する仕掛けを一緒に導入しなければ、SNSを使い慣れている人同士の仮想的村社会が社内に発生してしまうだけで、利用者だけのスラム街のようになってしまいます。

失敗事例3:プライベートのSNSと混同する社員の発生

若者に多いかもしれませんが、プライベートで使用するSNSと同じ様に勘違いしてしまい、上下関係もある組織間での緊張感を失うことによるKY発言が乱立する危険性があります。このような社員には、「社内の誰かが見ている」、ではなく「社内の誰でも見る事が出来る」という大人の常識を指導しながら使用させないと、社内で変なトラブルを抱える要因にもなります。

ここに紹介したものはSNS導入に失敗した事例の一部ですが、SNSが世の中に一気に普及した要因は色々な処で検証されており、その真理に基づけば組織内での有効利用は可能な筈です。役職の上下や部門間を超え、価値観が近い人と繋がりが持てれば、社内のコミュニケーションがより円滑になるという、理想的な結果も期待できるでしょう。