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お気に入りの定食屋が閉店(涙)ビジネスでの決断とは?

もう10年以上前の話になります。当時神奈川の東急沿線に住んでいた時、最寄り駅の近くにお気に入りの定食屋がありました。

いつも客は少ないのですが、出される料理はしっかりしたもの。中でも私のお気に入りは「から揚げ定食」でした。

大振りの鶏肉に天ぷらのような厚めの衣がついていて、外側はカリッとしていて中はジューシィ。から揚げ好きの私にはたまらない一品でした。さらにごはんも私好みの少しかために炊かれていたし、お味噌汁もきちんと出汁がとられたもので申し分ありませんでした。しかしある日、駅前にチェーンの中華屋さんができてしまったのです。

たった一つの店で状況が一変

開店したばかりのその中華屋さんには長蛇の列ができました。さすがに行列は開店して間もない頃だけでしたが、その後も安定して客が入る状況でした。私も行ってみましたが、確かに値段も手ごろだし味も悪くはありません。メニューも豊富だし、客が集まるのもうなずけます。しかしそのおかげで、私のお気に入りの定食屋は、元々それほど繁盛していた印象はありませんでしたが、ますます客が少なくなってしまいました。

客を呼び戻すためには

ある日、から揚げが食べたくなっていつものその店に行ってみると、値段が50円安くなっていました。おそらくチェーンの中華屋に対抗するための策でしょう。値段が安くなること自体は大歓迎なので、とりあえずいつものから揚げ定食を頼んでみたところ…それはいつものから揚げ定食ではありませんでした。

から揚げ自体はいつもとさほど変わりはありませんでしたが、ご飯が圧倒的に美味しくないのです。パサパサしていて、古米かあるいは古古米でも使っているのでは?という印象です。値段も下げたし、同じ物は提供できないということでしょう。値段も下げるが質も下げる…もともと大繁盛している店ではありませんでしたし、いろいろ考えた末の決断なのでしょう。しかし、私の失望感はかなりのものでした。

もしかしたらその日だけたまたまご飯の炊き方を失敗してしまったのでは?とも思い、その後も日をあけて何度か行きましたが、二度と美味しいご飯に出会うことはありませんでした。やはり質は下げられていたのです。

から揚げやお味噌汁は、以前と同じ質のものだったのかもしれません。少なくともごはんと同じような質の低下は感じられませんでした。しかし不思議なもので、ご飯が格段にまずくなると、他のものまで質が下がったような印象を受けるのです。そのうち私の足も徐々に遠のき、ふと気がつくとその店は閉店してしまっていたのです。

たくさんの選択肢、どれが最善か?

ライバル店ができて客が減った時、取るべき道はいくつかあります。

  • 質は落とさず値段を下げる。
  • 質も落として値段を下げる。
  • あえて高級志向で攻める。
  • 今までと同じでなにもしない。

他にも、ビラを配ってみるとかサービスデイを設けるとか、カードを作ってスタンプのサービスを始めるなどの方法があるかもしれません。もちろん、どの方法が最善かはやってみないとわかりませんし、どれをやっても経営は上向かなかった可能性もあります。

しかし、値段だけでなく質も下げた対策は、少なくとも私と言う顧客を一人失ってしまう結果になりました。その後、そのチェーンの中華屋さんも結局駅前から撤退したことを考えれば、あともう少し頑張る力があれば、少しは客も戻ってきたのではないかと言う気もします。

ビジネスにおいての選択肢

ビジネスをしていて、何かの選択を迫られる場合と言うのはよくあることです。その時どう判断するかは、本当に難しい問題です。しかし、選択肢がいくつあろうと、選び方としては二通りかと思います。よりメリットがあるのはどれか?という考え方と、どれが一番リスクが少ないか?と言う考え方です。

サッカーで言えば、カウンター攻撃をされることを覚悟して全員で攻撃するか、あるいは守りを固めてカウンターを狙うかという感じでしょうか。どちらを選んでも、その選択が正しかったかどうか後に判断できるとは限りません。しかし、どちらかを選ばなければならないのです。あなたはその時、どんな選択肢を選びますか?