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派遣・パート社員の時給が下がる?更なる非正規雇用増大が現実に

一時だけ盛り上がった経済対策もうやむやの状態になり、結局世の中は不景気感からの脱却はできていません。

まだ政権交代後間もないので景気回復を実感するには性急ですが、一瞬の株高・円安で必要以上に「景気好転」と煽ったことが、逆に景気に対する悲観的な見方が復活したことの要因でしょう。

消費税増税の他、復興特別法人税の前倒し廃止など税制対策も進んでいるようですが、我々国民にとっては雇用の問題も同時に重要になっています。

好景気とは言わないまでも、産業と雇用が安定していれば「増税でも頑張って働けば何とかやり繰り出来る」というシンプルな発想が通用するものですが、今の世の中は完全に「頑張って働いても賃金には反映されず、先の保証もない。増税だけがのしかかる」という構図を、子供でも認識しているような雰囲気になっています。

非正規雇用が溢れる世の中になる

経済対策の中には当然のように雇用対策も含まれていますが、此の度、非正規社員や契約社員などの有期雇用(いわゆる非正規雇用)の契約期間が最長5年から10年へ延長するという方針を政府が固めたようです。

表向きには「企業の雇止めを防ぎ、パートや契約社員が5年を超えて働きやすくする狙い」とか「起源を限定したプロジェクト等で、高度な専門知識や技能を持つ人材が働きやすいようにする狙い」、ということですが、全体的な景気が好転しなければ企業の雇止めは続き、「高度な専門知識や技能を持つ人材」は、活躍できる場そのものが少ない為に一向に育たないという構図が見て取れます。

非正規雇用の現実を想像しよう

第一に、無期雇用に変更できる権利が持てるようになるまで10年間使い続けてくれる企業があるのでしょうか?更に、10年もの間、無期雇用への変更を夢見て頑張れる人がどれくらいいるのでしょうか?

想定できる結果として、単に非正規雇用者が増えるだけになり、派遣社員やパートでの雇用が増大します。すると、既存の正社員から非正規雇用へ契約を変更させられる人材も相当数に上る可能性も出てきます。

派遣社員の待遇は、あくまでも派遣会社が握っている

非正規雇用者が増えるという事は、企業側が派遣やパートを更に使い易くなるでしょう。そうなることで非正規雇用者の替えが一層効くようになり、派遣やパートも低い賃金を提示されてでも、我慢して働かなくてはならない環境になると想定出来ます。

特に派遣社員は、派遣会社の過剰競争による取引価格の値引きの影響を受け易くなるため、時給が上がるどころか、逆に下げられるパターンも考えられます。パートやアルバイトは非正規雇用ながら、多くの場合は企業が直接求人を出す為、登録者を抱えている派遣会社と比較すると新規採用の獲得率が低い為です。

職場に残る競争が始まる

今までは、正社員間の競争というものは当たり前で、正社員は競争に勝つ事で地位や収入の向上がありました。しかし、今後は派遣社員や契約社員、パートやアルバイトも職場に残る為の競争が必要になるのです。

それぞれの職場で要求されるハードルが上がる一方、切り易く社会保険などの補償も薄いことに変わりないという立場。派遣社員やパートなどの非正規雇用者は、ある意味正社員よりも厳しい競争に晒されるかもしれません。