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褒めて伸ばすか叱って伸ばすか?部下を育てる科学な話

部下が失敗した時、指示通り動かなかった時、部下にやる気が見られない時に、あなたは部下を厳しく叱っていませんか?しかし叱って伸ばす場合と褒めて伸ばす場合、どちらが成果を出す部下になるのでしょうか?効果的な部下のマインドの高め方を紹介します。

部下の失敗が部下のせいじゃなかったら?

部下が失敗した時に、上司のあなたは指摘しなければならないと思われる事でしょう。部下が指示通りに動かなかった時、上司のあなたは憤りを感じられる事でしょう。部下にやる気が見られなかった時、上司のあなたは呆れてしまわれる事でしょう。部下その人に対しての、否定の気持ちが出てくるのではないでしょうか?

しかし、部下本人にもどうしようもない事だとしたら、あなたはどう思いますか?きっと、本人の気持ちを察して、何とかしてやろうという気になるのではないでしょうか?そんなあなたに、部下も感謝の気持ちで接してくるはずです。お互いにとって良い効果を生み、それが成果につながるように考えなければなりません。

本人にもどうしようもない事、例えば部下は失敗したくてしている訳ではありません。それを指摘してもあまり意味がありません。部下自身が良く分かっている事に対して、おさらいをしても意味がありません。

もちろん、失敗に気づいていなければ、提示してあげる必要はあります。しかし、気づいた後は、くどくならないようにしなければなりません。指示通りに動かなかった場合は、不可抗力の場合や、うっかりの場合、反抗の気持ちの場合があります。

不可抗力の場合を除いては、あなたの指示が部下の心に届いていないという事です。そうさせる原因を部下に見出すのではなく、意図的にあなた自身に原因を探してみましょう。人を変えるよりも自分を変えた方が手っ取り早いからです。あなたが変わると部下も後から追いかけてきます。

厳しく叱る弊害

厳しく叱ることにはたくさんの弊害があります。叱られている状態は、部下にとって心地良くない状態となります。人はセルフイメージというのを誰しもが持っていて、叱られた状態はセルフイメージから外れた状態だからです。

セルフイメージを分かりやすく説明しますと、自分らしさです。自分が思っている自分のイメージ。「僕はマラソンは得意だけど、短距離走は苦手」とか、「僕はコーヒーはよく飲むけど、紅茶はあまり飲まない」とか、「僕は3人くらいだとカラオケが好きだけど、大勢のカラオケは嫌い」とか、自分に対するイメージを持っています。

これは過去の習慣が集まって出来たイメージで、自分はここ以上ではないけれど、ここ以下でもないというレベルを持っているんです。ですので、周りの状況がそのイメージの中にある時は、快適に過ごす事が出来るのですが、その枠をより高いレベルに離れても、低いレベルに離れても、不快な状態になり、呼吸が乱れたり、正常な判断が出来なくなったりします。

ですから、上司に叱責されている状態だと、セルフイメージの外の状態にしてしまう事になりますから、冷静な精神状態にはならず、あまり効果的な方法ではありません。叱責するのは相手の気付きを促すのみにとどめておきましょう。

褒めて伸ばす利点

逆に褒めて伸ばす事は効果的です。人は褒められると嬉しいからです。仮に褒められる事がセルフイメージの外の行為であったとしても、現在のセルフイメージよりもハイレベルな状態の位置にある事ですから、部下のセルフイメージは上がります。

そうすると、部下は気分よく仕事に取り組む事が出来るという訳です。厳密に言いますと、セルフイメージの外にある事柄が起きた場合は、結局セルフイメージの中の事柄に戻ってきます。

例えば、営業成績が月に800万円~1200万円前後の売上というセルフイメージを持った部下が、今月はたまたま成績を落として、300万円だったとします。そうすると、やばい数字だと感じて来月は何とか800万円~1200万円の間に無意識のレベルで戻そうと行動を取ります。(本当に戻るかどうかは別として)

逆に2000万円の売上だったとしても、結局元に戻そうと無意識が働きかけるように、脳の仕組みは出来ております。

褒められた状態が、あまりにもその部下にとってセルフイメージ以上の事柄であれば、結局いつものイメージの範疇に戻りますから、セルフイメージ自体を少しずつ上げていくために、毎日繰り返し褒め続ける事が重要なのです。

逆に叱り続けると、同じ理由でセルフイメージは下がっていきますから注意が必要です。人間の特性をうまく生かして、あざとくならない程度に褒めて伸ばして下さい。