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手に職の本当の意味は?資格取得自体が目的にならない資格の考え方

手に職を付けると良い、という理由で資格を取る方がいらっしゃいますが、実際は手に職を付けるという意味は、それを役に立たせてこそのお話です。資格のための資格ではなく、資格が活かせる仕事をして初めて「手に職が有る」というものだと思います。目的から逆算した資格取得の考え方が重要です。

その資格を取るのは何のため?

何となく今の仕事に前向きになれなくなって「手に職を付けた方が良い」と、とりあえず資格を取ろうとする人がいます。もちろん、資格を取る事は悪い事ではありません。何となく資格を取るというのでも、取らないよりはマシです。

しかし、どうせ一生懸命勉強をして資格を取るのであれば、その資格は役に立たせたいですよね。そのためには、一体その資格を何のために取るのかを考えてみる必要が有ります。例えば、人気の資格「ファイナンシャル・プランニング技能士」を持っている人に、その資格は何のために取ったのかをヒアリングすると、大きく2つに分かれます。

「今の仕事をずっと続けるかどうか分からないので、とりあえず転職してもいいように、何か資格を取ろうと思って取った」という方。こういう方に、「じゃあ、転職する場合の業界は、金融か保険を狙っているの?それとも独立系のファイナンシャルプランナーを希望するの?」と聞くと、「別に業界とかは絞ってないよ。全くの白紙」っていう答えが返ってきます。

「全くの白紙なのに何故ファイナンシャルプランナーの資格を取ったの?」と聞くと、「別に、人気の資格だし、何となく役に立つかなと思って」ここまで露骨な表現で答える人は少ないでしょうけれど、内容を咀嚼すると、つまりはこういう事って方が多いのではないでしょうか?目的有りきで資格を取ったのではなく、資格を取る事自体が目的になっているんです。

もう一つのパターンはこういう人です。「ファイナンシャルプランナーの資格を取った理由は?」と聞くと、「直接仕事には役に立たないかも知れないけれど、お金の勉強はしたくて、その目標に資格試験を据えた方が、勉強のやり甲斐が有るなぁと思ったので取りました。結果的に資格が役に立つ日が来る可能性も有りますからね」という方。

この場合は資格が目的ではなく、お金の事を学ぶという目的有りきになっています。その勉強のモチベーションのために資格試験を受け、その副産物として、ひょっとしたらいずれ役に立つかも知れない、というストーリーが出来上がっています。

前者と後者では、アプローチが大きく変わってきます。前者の場合は資格を取った時点でゴールですが、後者の場合は資格を取っても、お金の事は今後も学び続ける訳ですよね。ですから、その有用性は異なります。

仕事に役立てるための資格

では、仕事に役に立てる、つまり本当の意味で手に職をつける人は、どういう思考プロセスを踏んでいるのでしょうか?

まずは、仕事に対するビジョンが明確かどうかが重要です。どんな仕事をどんな風にしていくのか、それにはどんな知識や知恵が必要で、どんな資格が必要なのか。

そこで初めて、必要な資格が浮き上がってくる訳です。この仕事をするためにはこの資格が無いと駄目だとか、この資格が有ったほうが有利だとか、仕事のビジョンを先に打ち出さなくてはなりません。

そのビジョンから逆算をして、その中の手段の一つに資格があるのです。そして、無事に資格を取得してからは、その資格の優位性を活かしてその業務を遂行する。これによって資格が初めて活きた資格、資格を活かせたという事になります。

資格マニアの人

しかし、資格が目的にならないようにと申しましたが、実は例外も有ります。それは、資格コレクター。彼らはたくさんの資格を取る事自体を目的としていて、中にはその勉強法をノウハウとしてまとめて発信している場合があります。

コレクターは手に職を付けるとかではなく、あくまでも趣味に近い事ですから、十分にそれが目的と言えると思います。

要は、自分の中でテーマが明確かどうか、何となく資格を取るとか、何となく勉強してみるという事ではなく、保有資格をたくさん集めるという目的が有れば、それに向かって勉強する事が手段となる訳です。

もちろん、資格に限らず、何をするにしても、ご自身の中ではっきりとしたテーマを持って、それに向かって何かに励むという順序で物事を考えることが、論理的なのではないでしょうか。