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鵜呑みにしてはいけない!求人にまつわるトラブルと防止策【前編】

希望の職種、より良い待遇、福利厚生の有無…。就職を真剣に考える時、指針となるのは現代様々な形で提供されている求人募集ですよね。一方で求人募集を見て応募したのに、いざ入社してみたら「書いてあった条件と全く違った!」というトラブルが増加していることをご存じですか?

先日NHKで非常にショッキングな報道が流れました。公共職業安定所、つまりは国の機関であるハローワークにて取り扱っている求人票の募集要項が、実際入社してみたら条件が違うのだがどうすればいいかという内容の相談が500件以上寄せられているという事実。

信頼に値すると思いがちなハローワークの求人でさえ、詐称された内容のものがあるというのでは一体何を基準にして就職を考えればいいのか…。今回は求人票の募集要項と条件が違う会社に入社してしまった人々の実体験とともに、どのように対処すればいいのかをガイドしていきます。これから就職、または転職をしようと考えている人は是非チェックしてみてください。

あれ、少ない?!給与額のトラブル

高橋さん(仮名/32歳女性)がその会社に入社したのは1年前。子育てが一段落ついたことから、正社員としての働き口を探していた高橋さん。新聞の折り込みで見つけた求人を見て応募し、晴れて正社員としての入社を果たしました。

子供がいることから土日祝日休みの会社をチョイス。給与額は18万と高橋さんの希望より少し安かったものの賞与が年2回となっていたので「自分のペースで働けて、これくらいの給与額があればいいだろう。」と考えた高橋さん。

「昇給もあるようだし、頑張って給与額を上げて一生その会社で働いていこう。」そう考えていました。与えられた仕事以外にも自ら率先して仕事をこなしていった高橋さんには、当初用意されていた仕事以上のものも任されるようになりました。

高橋さんの場合「自分が認められて仕事を任されている」という充実感から、仕事量が増えることに対しては不満はなかったそうです。むしろ「もっと頑張って色々な仕事ができるようにしよう!」と意気込んでいたといいます。

ところが一か月後に配布された給与明細が、ひたむきに仕事に打ち込んでいた高橋さんのモチベーションを一気に下げます。その内容は驚愕に値するものでした。給与額が求人の募集要項にあった金額より3万円も安い15万円だったのです

高橋さんにとって「そんな些細な額」と思えるものではありませんでした。しかしせっかく入社して、仕事自体にやりがいを感じていた高橋さんは「当初の条件と違うんじゃないの?」と訝しむ夫に、「今は研修期間だから、これから給与額が上がるんじゃない?」と不安を感じつつも楽観的な意見を述べて続行することを決断しました。

仕事の量は月日を追うごとに益々増えていきました。高橋さんは日に一時間の残業をこなしながら、不安を払うように仕事に取組みました。そんな高橋さんの思いもむなしく給与額は毎月少しずつ減額していきます。

「これはさすがにおかしい…。」高橋さんが給与額から時給を換算してみると、都道府県別で出している最低賃金を割っていました。仕事と給与額のバランスがとれていないし、そもそも求人に書かれていた条件から全くかけはなれています。

冷静に考えてみると社内の平均年齢が低いことも気になりました。30代から50代までの社員が極端に少ない社員構成は、給与額を含めた待遇が原因ではないかと考え始めた高橋さん。実家住まいの若い世代ならば給与額が低くても生活できるかもしれません。しかし所帯を持つ世代にとっては給与額は死活問題です。

結局高橋さんは自己都合退社でも失業保険のおりる1年を待って退社しました。徐々に減額していた給与額は一年後には11万円となっていました。

最初から用意されていなかった!詐称された求人要項

近藤さん(仮名/男性28歳)がその会社を選んだのは、「福利厚生がしっかりと整った会社に入ってほしい。」との妻の強い要望があってのことでした。近藤さんにとって3回目の転職でしたが、2回目の会社には福利厚生がない上に経営が不安定だったこともあり、近藤さん自身も転職の必要性を感じていました。

はじめに入社した会社では3年間厚生年金をかけていたこともあり、厚生年金をもらえるだけの年数を今からだったら働ける。また福利厚生が整っている会社ならば、経営が安定している会社も多いだろうと近藤さんは考えました。

3回目の転職ということもあり、これ以上家族に不安な思いをさせたくないと考えた近藤さんは「求人誌ではなく、ハローワークに出されている求人のほうが信頼できる。」と考え、就職活動を開始。希望の職種や、条件などを照らし合わせてやっと見つけた会社に入社することになりました。

(後編に続く)